【前編】盗撮行為で現場から逃走。警察から後日逮捕される可能性は?
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仙台市内でも盗撮事件は発生しています。2018年6月、宮城県警仙台東署は、県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで、55歳の男性を現行犯逮捕しました。逮捕容疑はJR仙台駅近くの家電量販店内にて、女性会社員のスカートの中をスマートフォンで撮影したと報道されています。
盗撮行為により逮捕される事例の多くは現行犯逮捕によるものです。しかしながら、その場は逃れたとしても、後日逮捕されるケースもあります。盗撮行為を被害者や通行人に気づかれながらも、その場から逃亡した場合、どのような事態が起こりうるのでしょうか。
逮捕に先立ち取るべき行動とあわせて、弁護士が解説します。
1、盗撮事件で後日逮捕されるまでに起こること
盗撮が見つかったとしても、現行犯で取り押さえられなければ逮捕されることはない、と考えていると予想外の結果となるかもしれません。盗撮事件の発覚から、犯行後日に逮捕にいたるまでの一例を解説します。
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(1)被害届や通報により捜査開始
盗撮行為があったその場で声を上げることはできなかったものの、盗撮に気づいていた被害者により後から被害届が提出されることはあります。または第三者からの通報というケースもあります。これらの報告により警察に事件が認知されると、捜査が開始されます。
捜査過程で、犯行が疑われる人物は「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれます。
警察は、現場の確認、付近の不審者捜索、被害者や目撃者の証言集め、ICカードの入出場履歴の照会などを行います。近年は駅内や街頭に防犯カメラが多数設置されているため、現行犯でなくとも証拠や情報を収集する手段は増えています。 -
(2)警察による任意出頭要請
捜査によって被疑者が特定されたとしても、前触れなく逮捕されるケースがすべてではありません。まずは警察から出頭要請を受け、任意の取り調べに応じるよう要請されることが多いでしょう。取り調べはあくまで任意ですので、拒否することは法律上では可能です。
任意の取り調べに応じることが不安な場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。あらかじめアドバイスなどを受けた上で、取り調べに協力することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所であれば、任意聴取動向サービスを提供しております。
被疑者が捜査に協力し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないとみなされたら、逮捕状は請求されず、帰宅できるでしょう。ただし、疑いが晴れるまでは「在宅事件扱い」として、身柄は拘束されずに捜査は継続していくことになります。 -
(3)逮捕状請求によって犯行後日逮捕へ
盗撮の嫌疑がかけられている状態で警察からの出頭要請に応じないでいると、通常逮捕による身柄拘束に踏み切られる可能性が高まります。通常逮捕の要件である「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」と判断されるためです。
捜査の結果、逮捕が必要と判断された場合、警察は裁判所に逮捕状を請求します。裁判所により請求が認められ逮捕状が発行されると、通常逮捕が実施されることとなります。警察は、被疑者の自宅などへ向かい、被疑者に対して逮捕状を見せた上で、逮捕状が発せられている旨と、被疑事実、罪名を告知し、被疑者を逮捕します。
2、盗撮行為の罪状と刑罰
盗撮行為により逮捕される場合、どのような罪名で、どのような刑罰に処される可能性があるのでしょうか。
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(1)迷惑防止条例違反
駅や公道における盗撮行為は、迷惑防止条例違反に問われることになる可能性が高いでしょう。
迷惑防止条例は「住民の平穏な生活を守るため、他人へ迷惑をかけるさまざまな行為を禁止する」目的で、各都道府県で制定されている条令です。宮城県においては「迷惑行為防止条例(昭和42年宮城県条例第29号)」の第3条の2において、公共の場所や公共の乗り物における「卑わいな行為」を禁じており、この中に盗撮行為も禁止事項として規定されています。
具体的には、「人の下着等を撮影し、または撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器を向け」ることもしくはそのような機器を「設置すること」を禁じています。よって、実際に撮影されていなくても、機器を設置しただけで罪に問われることになります。
違反した場合には「6ヶ月以下の懲役」あるいは「100万円以下の罰金」という刑罰が科されることになります。 -
(2)軽犯罪法違反
たとえば風呂や住居、脱衣所、更衣室などで盗撮を行うと、軽犯罪法で規定されている「窃視(のぞき見)の罪」に問われることがあります。
軽犯罪法違反で有罪になった場合は、軽犯罪法第1条によって、「拘留(こうりゅう)」もしくは「科料(かりょう)」に処すると定められています。「拘留」は「1日以上30日未満とし、刑事施設に拘置する」刑罰で、「科料」とは1000円以上1万円未満の金銭を強制徴収される刑罰です。 -
(3)その他の刑法・法令違反
盗撮が行われた状況によっては、ほかの刑法に該当する可能性があります。
●住居侵入罪・建造物侵入罪
人の住居や建造物に侵入して盗撮を行うと、「住居侵入罪」(刑法130条)などが成立し、より重い刑罰が科される可能性もあります。住居侵入罪の刑罰は「3年以下の懲役」または「10万円以下の罰金」と規定されています。また、未遂であっても処罰されます。
●児童ポルノ法違反
盗撮した対象が18歳未満であった場合は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」で禁じられている「児童ポルノの製造」にあたる可能性があります。
「児童ポルノの製造」とは、18歳未満の児童の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位」が「露出され又は強調され」「性欲を興奮させ又は刺激するもの」を撮影した場合などにあてはまります(同法第7条5項)。
刑罰は「3年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」と定められています。
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