ボーナスに残業代を合算するのは違法!残業代を請求する方法は?

2025年01月29日
  • 残業代請求
  • 残業代
  • ボーナス
ボーナスに残業代を合算するのは違法!残業代を請求する方法は?

宮城県労働局が公表した「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、相談件数は2万3168件、そのうち労働基準法等の違反の疑いがあるものは2764件でした。

残業代問題のなかには、残業代をボーナスと一緒に支払われているといったケースもあります。

本コラムでは、残業代とボーナスをまとめて支払われることになった場合の対応や合法性について、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。


労働問題を弁護士に相談 労働問題を弁護士に相談

1、残業代をボーナスに含むのは違法

残業代をとボーナスして支払うのは合法とは言えません。なぜなら、残業代とボーナスは別物だからです。会社からの恩給的な性質をも有するボーナスと異なり、残業代は労働の対価そのものです。

  1. (1)残業代は毎月支払うのが原則

    残業代は、労働の対償として会社が労働者に支払う賃金に含まれるお金であり、残業が発生した月の給料として支給するのが基本です。
    会社が残業代を月の給料ではなくボーナスとしてまとめて支給をすることは、労働基準法第24条の賃金支払原則や、第37条の時間外、休日、深夜労働に対する割増賃金支払い義務などに違反する可能性があります。

    したがって、残業代をボーナスとまとめて合算したり他の月とまとめて支払ったりすることは原則的にはできません。
    そのため、会社から「残業代をボーナスで払う」といわれても拒否しましょう。支払われない場合は会社に請求することが可能です。

  2. (2)残業代を遅れて支払う場合は遅延損害金がつく

    残業をしたのに残業代が支払われなかった場合には、遅れた分の遅延損害金がつきます。支払期日の翌日から退職日まで年5%、退職日の翌日から支払が済むまで年14.6%になります。

2、残業が多いことがボーナスの減給対象になる?

残業代をボーナスとして支払うのは違法行為です。それでは、残業が多いことを理由としてボーナスを減らされるのは果たして合法なのでしょうか。

従業員の中には残業代の受給を目的に不要な残業をする人もいます。一般的に企業は業務効率化を目指しているため、残業は減らす方向にあります。そのため、無駄な残業が多いとみなされると、会社から能力の低さを指摘されてボーナスの査定に影響をおよぼす可能性は否定できません。

  1. (1)勝手な残業は認められない可能性がある

    残業は、通常の就業時間内で終わらない場合に時間外に行うものです。残業をするためには、残業が必要となる根拠が必要です。したがって、残業代を請求したとしても、残業の必要性が争われる可能性があります。

3、残業代が正当に支払われない場合の対処方法

もしも正当な残業代が会社から支払われない場合は、労働者がとるべき手段は複数あります。また、交渉を有利に進めるために事前の準備も大切です。
ここでは、残業代が支払われない場合の対応について解説します。

  1. (1)残業をした証拠を集める

    残業代未払いについて主張するためには、確かに残業を行ったという根拠が必要です。

    実際に証拠として役に立つのは、タイムカードなどの勤怠記録です。勤怠記録があれば時間外に業務を行っていたことが確認できます。そのため、月々のタイムカード入力が義務化されている会社に勤めている人は、毎月タイムカードを提出する前に自分でもコピーを取っておくとよいでしょう。

    タイムカードがない場合は、カレンダーや手帳に働いた時間を記録しておくと、後々の証拠として役立ちます。

  2. (2)勤務先に確認する

    最初にとるべき方法は、勤めている会社に未払い分の残業代について確認します。タイムカードと月々の給与明細などを照らし合わせることで自分でも確認できますが、念のため会社にも確認しましょう。

    そのうえで、未払い分の残業代が支払われていないことを伝え、支給してもらうよう依頼しましょう。

  3. (3)支払われない場合は、他の機関への相談を検討する

    会社に相談しても支払われない場合には、以下などの機関に相談しましょう。

    • 労働基準監督署
    • 労働組合、ユニオン
    • 弁護士


    会社との交渉においては、雇用者と労働者という力関係が表面化しがちです。強く言いづらい、話を聞いてもらえないというケースもあるでしょう。
    そのような場合は、弁護士をはじめとした第三者機関に相談することをおすすめします。
    詳しくは以下で解説します。

まずはお気軽に
お問い合わせください。
電話でのお問い合わせ
【通話無料】平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:00
メールでのお問い合わせ
営業時間外はメールでお問い合わせください。

4、残業代を請求する際の相談先は?

残業代の相談ができる機関としては主に、労働基準監督署、労働組合、弁護士が挙げられます。第三者に依頼することで適切なアドバイスを受けることができます。また、弁護士に依頼すれば、あなたの代わりに残業代請求を行うことができます。

  1. (1)労働基準監督署

    会社との間のトラブルでまず思い浮かぶのは「労働基準監督署」ではないでしょうか。労働基準監督署は、厚生労働省の出先機関として会社に対して監視を行います。違法な雇用をしている会社には厳しいチェックが入るため、相談窓口としては適しています。

    ただし、個人的な残業代請求について、代理人として交渉してくれるわけではない点に注意が必要です。

  2. (2)労働組合、ユニオン

    労働組合やユニオンは労働者で組織される集団です。賃金向上や労働者の労働環境を上げることを目的として作られています。勤務先の会社に労働組合が存在すれば、相談してみることもひとつの方法です。

    もしも自社の組合がない場合は、会社の枠を超えて組織された「ユニオン」という労働組合に相談することもできます。

  3. (3)弁護士への相談がおすすめ

    会社と残業代の支払いをめぐってトラブルが起き、解決したいときは、弁護士に依頼することをおすすめします。

    弁護士は、法律に基づき、依頼人の利益のために行動します。労働者と企業とのトラブル対応の経験豊富な弁護士に依頼すれば、専門的な知見から適切なアドバイスしてもらえるでしょう。さらには、あなたの代理人となって会社と交渉することも可能です。

5、まとめ

企業が残業代をボーナスとして支払うことは違法行為です。仮に残業代が満額支払われたとしても、実質的にはボーナスで調整され、手元に入る金額が減っている可能性があります。このような事態は労働者にとってまぎれもなく不利益です。

それでも、労働者の立場から会社に直接交渉をするのは精神的な負担が大きいものです。雇用主と労働者という圧倒的な力関係もあり、交渉面で難航することが多いことも事実です。

残業代問題で悩んでいる場合は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでご相談ください。残業代請求に対応した経験が豊富な弁護士が、残業代が適切に支給されるよう、力を尽くします。

仙台オフィスでは、宮城県内だけではなく、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県にお住まいの方からのご相談も受け付けております。また、ご来所いただくことが難しい場合は、電話・テレビ会議を利用した、自宅相談も対応可能です。詳しくは、『自宅からの弁護士相談』をご確認ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています