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雇い止めの理由に納得いかない……対応方法や判断ポイントについて解説

2019年10月08日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 雇い止め
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雇い止めの理由に納得いかない……対応方法や判断ポイントについて解説

平成30年3月末まで東北大学で非正規職員として勤務していた男性が、同年仙台地裁に従業員としての地位確認を求めて仙台地裁に訴訟を起こしました。男性は約13年間にわたり、有期雇用契約を7回更新しており、無期転換を申し出たところ、3月末で雇い止めとなったのです。

この男性は「更新拒絶は合理的な理由を欠く」と主張していますが、このように有期雇用契約を何度も更新していたのに雇い止めとなり、その理由に納得いかないときはどのように対応すべきなのでしょうか。

1、「無期転換ルール」ができたのをご存知ですか?

平成25年4月1日より、改正労働契約法が施行され、「無期転換ルール」が創設されたのは記憶に新しい方も多いと思います。しかし、このルールにより全国で雇い止めを理由とした訴訟が起こっています。では、無期転換ルールとは何なのでしょうか。

  1. (1)無期転換ルールとは

    無期転換ルールとは、有期雇用で働く非正規社員を期間の定めのない無期雇用の社員への転換を促すためのルールのことです。

  2. (2)無期転換ルールが適用される条件

    無期転換ルールが適用されるのは、以下の条件を満たしている場合です。

    • 平成25年4月1日以降に開始する(更新された)有期労働契約が5年を超えていること
    • 契約更新が1回以上行われていること
    • 現時点で同一の使用者との間で契約をしていること

    たとえば、平成24年4月1日から有期労働契約がスタートして数回契約更新を経た後、5年を経過したからと言って平成29年4月1日からいきなり無期雇用に転換できるわけではありません。平成25年4月1日以降に初めて契約を更新したのちに、5年以上経過していることが条件となります。

  3. (3)無期転換するには申し込みが必要

    無期雇用に転換するには、現在の有期雇用契約期間が終了するまでに、労働者側から申し込みが必要です。何もせずに無期雇用に転換されるわけではないので注意しましょう。

  4. (4)無期転換を求めて訴訟が増えている

    先述の通り、平成25年4月1日から無期転換ルールの運用が開始したため、最短で平成30年4月1日より無期転換ルールが適用される有期雇用労働者が出てきました。しかし、その4月1日の直前になって雇い止めとなり、それを不服として勤務先を訴えるケースが発生しています。では、雇い止めはどのような場合に有効となるのでしょうか。

2、雇い止めが有効かどうかの判断ポイント

企業による雇い止めの有効・無効は、企業と従業員との間で結ばれていた有期雇用契約の内容や実態などを見て総合的に判断されます。ここでは、その判断ポイントについて解説します。

  1. (1)業務内容はどうだったか

    有期雇用で働く従業員が従事する業務には、さまざまな種類があります。たとえばリゾート地でのホテルのアルバイトのように繁忙期のみの業務もあれば、通年で行う業務もあります。業務内容があるプロジェクトの実施や期間限定の仕事など臨時的なものの場合は契約終了となってもやむを得ないと判断されることがあります。一方、業務内容が臨時的なものでなく通年行われるものである場合は、雇い止めが無効になる可能性があります。

  2. (2)契約期間や更新回数

    契約期間が長い、あるいは過去に何度も契約を更新されている場合は、従業員はこれからも今まで通り勤務できるだろうとの期待が高まります。このような場合、雇い止めは無効とされる可能性が高くなります。また、契約更新手続きがずさんで、契約期間が終了してからも更新を前提とした手続きをしているような会社では、雇い止めが無効となる可能性が高くなるでしょう。

  3. (3)有期雇用契約に更新の有無について明示があったか

    有期雇用契約を締結した際に、雇用契約書に「自動的に更新する」「更新する場合がありうる」「契約更新はしない」「更新する」「更新する場合がある」などが明記されていたかどうかも判断ポイントになります。雇用契約書などにおける更新に関する文言についても、雇い止め判断の要素になると考えられます。

  4. (4)有期雇用契約に更新の判断基準について明示があったか

    雇用契約書に更新の判断基準について明示されていたかどうかも重要なポイントです。勤務成績や態度、会社の経営状態、契約期間満了時の業務量などはっきり書かれていて、勤務態度や会社の経営状況に問題がない、あるいは業務量も今まで通りであれば雇い止めが無効とされる可能性が高くなります。

  5. (5)契約終了について

    契約終了を告げられたタイミングや、退職金の有無なども大事な判断材料のひとつです。契約終了のどれくらい前に雇い止めの告知を受けたか、また解雇予告手当や退職金を受け取ったか、自分自身に雇用が継続される期待があったかどうかなどが雇い止めの有効性を判断するポイントになります。

3、雇い止めの法理

2018年以前にも、契約社員などが雇用契約を打ち切られて会社を訴えるケースは何度も起きています。そのため、その判例の積み重ねにより、雇い止めの法理(雇い止め制限の法理)が形成され、労働契約法で明文化されました。

  1. (1)対象となる有期労働契約

    雇い止めの法理の対象となる有期労働契約は、以下に該当するものです。

    • 過去に繰り返し更新された有期労働契約で、その雇い止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同じと認められるもの
    • 有期労働契約満了時に次も更新されるものと労働者が期待することについて合理的理由があること
  2. (2)雇い止めの法理のもととなった判決①東芝柳町工場事件

    雇い止めの法理のもととなった判決が2つありますが、ひとつは、昭和49年の「東芝柳町工場事件」です。これは、臨時工として働いていた従業員7名について、5~23回も雇用契約が更新されていたにもかかわらず、会社側が勤務成績や不良行為を理由に契約更新を拒否した事件です。裁判所は、雇用契約が事実上期間の定めのない契約と同じような状態になっており、契約終了は実質的に解雇となり、解雇権の濫用にあたると判断しました。(最一小判昭49.7.22 民集28-5-927 労判206-27)

  3. (3)雇い止めの法理のもととなった判決②日立メディコ事件

    雇い止めの法理のもとになったもうひとつの判例が、日立メディコ事件です。これは、ある臨時員として雇用された従業員に対し、会社側が2ヶ月の雇用契約を5回更新したのち、不況に伴う業務上の都合を理由に契約の更新を拒絶した事件です。裁判所は、この臨時員の業務はある程度の継続が期待されているものであり、雇い止めは解雇権の濫用にあたると判断しました。(最一小判昭61.12.4 労判486-6)

  4. (4)雇い止めの法理に該当する場合

    雇い止めの法理が適用されるには、労働者側からの有期労働契約更新の申し込みが必要です。労働契約期間内に申し込みができない場合は、契約期間終了後でも遅滞なく申し込みすれば、問題はないと判断される場合があります。また、会社側が労働契約の打ち切りを一方的に告げてきたときに、「それは困る」など反対する意思表示をすることでも構わないと考えられています。

4、雇い止めに遭ったらすべきこと

不条理にも雇用契約が打ち切られ、雇い止めに遭ったらすべきことが3つあります。これらは雇い止めを告げられたら直ちに着手するようにしましょう。

  1. (1)雇い止めの理由を知る

    理由が業績不振や能力不足、勤務態度不良などであれば、程度によっては客観的に合理的な理由とならず不当な雇い止めとなる可能性があります。

  2. (2)予告手当や退職金を受け取らない

    会社の中には、予告手当や退職金を支払えば雇い止めできると考えているところも少なくありません。しかし、予告手当を支払った、もしくは就業規則のとおりに退職金を支払ったとしても、雇い止めが正当なものであるかどうかは判断が難しいです。退職する意向がないのであれば、これらのお金は振り込まれてもただちに返金する、もしくは現在支払われていない賃金の一部として受け取っておく旨を、会社に対して書面で示すなどの対策を取る必要があります。

  3. (3)会社に対して書面で異議を申し立てる

    雇い止めが不当であると考える場合は、「雇い止めは受け入れられない」との意思を示すために、会社に対して書面で異議の申し立てを行いましょう。口頭では証拠が残らないため、必ず会社に提出する書面に異議を申し立てる旨を記し、内容証明郵便にて送付することが多いです。

5、雇い止めされたときの対応方法

働き続ける意思があるにもかかわらず、雇い止めを告知された場合は、自力で何とかしようとせず、労働問題の経験豊富な弁護士に相談し、対応について指示を仰ぐことをおすすめします。

  1. (1)雇い止めを受けたときに請求できるもの

    労働者が雇い止めを受けたときに会社側に請求するのは、雇い止めになった後の賃金などです。「雇い止めの前に何度も上司に呼び出されて叱責された」「妊娠を報告したら契約を打ち切ると言われた」といったハラスメントなどがあったときは、慰謝料を請求することもあります。

  2. (2)まず弁護士に相談する

    雇い止めに遭ったら、早い段階で弁護士に相談しましょう。従業員が一人で「事実上の不当解雇だ」と訴えても、会社側に「契約期間満了にともなう契約終了だ」と反論されてしまいます。弁護士に相談すれば、雇い止めが不当かどうかを見極めた上で、その後どのように対応すべきか回答をしてくれるでしょう。

  3. (3)交渉を行う

    雇い止めが不当であるとして、会社側に内容証明郵便を送った上で交渉を開始します。労働者個人が会社に交渉を求めても回答がないこともあるかもしれませんが、弁護士がついていれば、こちら側に有利になるような主張を展開し、会社側と対等に話し合うことが期待できるでしょう。

  4. (4)労働審判を申し立てる

    交渉がうまくいかない場合は、裁判所に労働審判の申し立てを行うことがあります。労働審判は裁判所と労働法の専門家から成る審判委員会で話し合いを行い、紛争解決を目指すものです。原則3回以内の期日で終了するので、裁判よりもスピーディーな解決がのぞめます。

  5. (5)労働裁判へ移行する

    当事者のどちらかが労働審判の結果に納得しない場合は、異議の申し立てを行うことがあります。この場合は、労働裁判へ移行することになります。裁判となれば争いが長期化することになりますが、弁護士がついていれば裁判でも証拠をもとに、こちら側の有利になるような論理展開をして有利な判決を導くことができる可能性が高くなります。

6、まとめ

契約社員や派遣社員などの有期雇用でも、何度も契約を更新しているうちに、その会社の正規社員になったかのような気持ちになってくるはずです。そのため、突然会社側から雇い止めを宣告されると、非常にショックを受けるでしょう。

もし雇い止めになりそうな場合、もしくは雇い止めになってしまった場合は、早めにベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでご相談ください。弁護士がお話を伺い、最善の方法で紛争の解決に尽力いたします。お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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