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交通事故で同乗者が死亡した場合に運転者が問われる罪とは?

2022年03月31日
  • 交通事故・交通違反
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交通事故で同乗者が死亡した場合に運転者が問われる罪とは?

令和3年、仙台市泉区内にある泉総合運動場に、暴走した車が進入するという事件が発生しました。報道によると、事件前に運転手は交通事故を起こしており、パニックに陥ったことで運転操作を誤ったものとみられているようです。

交通事故を起こし、被害者が死傷した場合は罪に問われるということを、車を運転する方であれば自覚しているでしょう。では、自分が運転していた車に同乗者がおり、その同乗者が死亡してしまったような場合は、罪に問われるのでしょうか。

本コラムでは、交通事故で同乗者が死亡した場合に運転者が問われる罪について、仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、交通事故の加害者が問われる罪と罰則

交通事故には、車両などが損壊しただけの物損事故と、死傷者が存在する人身事故があります。
物損事故は、重大な違反がない限り基本的には刑事罰に問われることはありません。
ただし、人身事故の場合は人が死傷したという重大な結果が発生しているため、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の定めによる処罰を受けます。

  1. (1)過失運転致死傷罪

    事故を起こしたいと望んで交通事故を起こすドライバーはいません。誰もがちょっとした不注意や運転ミスなどが原因で事故を起こしてしまいます。
    刑法には「故意」のない行為について罰しないという規定がありますが、法律に特別な規定がある場合はその限りではありません。

    「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第5条に定められている「過失運転致死傷罪」は、自動車を運転するうえで必要な注意を怠ったことが原因で人を死傷させた者を罰する犯罪です。
    『事故を起こそう』『人を死傷させよう』という故意がなくても、必要な注意を怠ったことで人が死傷するという結果が生じれば厳しく処罰されます。

    人が死亡した場合は「過失運転致死罪」、人を負傷させた場合は「過失運転致傷罪」に問われます。どちらも、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が予定されており、負傷の程度が軽いときはその刑が免除されることがあります。
    ただし、過失運転致死罪の場合は『負傷の程度が軽い』には該当し得ないので、厳しく処罰される事態は免れられないでしょう。

  2. (2)危険運転致死傷罪

    『事故を起こそう』と望んでいるわけではなくても、危険な運転をすれば事故を招きやすくなるのは当然です。
    自動車運転処罰法第2条には8つの行為を「危険運転」と定めており、危険運転によって人を死傷させた運転者を厳しく罰する規定を設けています
    人を負傷させた場合は「危険運転致傷罪」、人を死亡させた場合は「危険運転致死罪」に問われます。

    危険運転に該当する行為は、次の8つです。

    • ① アルコールや薬物の影響で、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた
    • ② 進行を制御できないほどの高速度で自動車を走行させた
    • ③ 進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させた
    • ④ 人または車の通行を妨害する目的をもって、重大な交通の危険を生じさせる速度で、走行中の自動車の直前に割り込んだ、または人や車に著しく接近した
    • ⑤ 車の通行を妨害する目的をもって、重大な交通の危険を生じさせる速度で、走行中の車の前方で停止する等
    • ⑥ 高速道路・自動車専用道路などで、自動車の通行を妨害する目的をもって、走行中の自動車の前方で停止したり著しく接近したりといった運転をし、走行中の自動車を停止・徐行させた
    • ⑦ 重大な交通の危険を生じさせる速度で、赤色信号またはこれに相当する信号をことさらに無視した
    • ⑧ 重大な交通の危険を生じさせる速度で、通行禁止道路を進行した


    なお、危険運転致死傷罪では、死傷の結果によって罰則が異なります。

    • 人を負傷させた(危険運転致傷罪)……15年以下の懲役
    • 人を死亡させた(危険運転致死罪)……1年以上の有期懲役


    「有期懲役」の上限は20年です。
    危険運転によって人を死亡させると最低でも1年、最長では20年、ほかの違反行為も加重されると最長で30年の懲役が科せられる重罪だといえます。

2、同乗者が死亡した場合に問われる罪

人身事故といえば、歩行者と接触した、交差点の見通しが悪く出合い頭で衝突した、居眠りでセンターラインをはみ出して対向車と衝突したといったケースを思い浮かべるでしょう。いずれも、加害者としては、歩行者やほかの車の運転者などを死傷させてしまいトラブルになることを想像するはずです。

では、自分が加害者となった事故で、自分が運転する車の同乗者が死亡してしまった場合はどうなるのでしょうか。

  1. (1)法律は同乗者を区別していない

    自動車運転処罰法に定められている過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪の条文をみると、「人」を負傷・死亡・死傷させた者を処罰する旨が明記されています。
    歩行者や相手車両の運転者・同乗者だけでなく、自分が運転する車両の同乗者も「人」です。つまり、加害者側の同乗者だけが区別されることはなく、他の被害者と同様に法律による保護の対象となります

  2. (2)同乗者を死亡させて有罪となった事例

    自らの運転が原因で同乗者を死亡させてしまい、有罪になった事例を紹介しましょう。

    平成27年11月、香川県内で同乗者3人が死亡した事例です。
    運転手は、事故の直前まで対向車線に進入して走行しており、別の車両が接近していることに気づかずハンドルを切って事故を起こしました。
    過失運転致死事件としておこなわれた裁判では、高松地裁が禁錮3年以上4年以下の不定期刑を言い渡したと報道されています。

3、重大な交通事故を起こした場合は現行犯逮捕される?

交通事故を起こしたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
しかし、ニュースや新聞に目を向けると『交通事故で現行犯逮捕』といった報道も目立ちます。実際に、令年4年1月には、仙台市若林区の交差点で、横断歩道を渡っていた高齢女性が自動車にはねられる事故が発生し、運転手の男性が現行犯逮捕されたと報じられました。

やはり、人身事故を起こすと現行犯逮捕されてしまうのでしょうか。

  1. (1)逮捕されるのは「逃亡・証拠隠滅を図るおそれ」がある場合

    「逮捕」とは、犯罪の疑いがある者の身柄を拘束し、適切な刑事手続きを受けさせるための強制処分です。

    裁判官が発付する「逮捕状」にもとづいて執行される通常逮捕が原則ですが、単に罪を犯したというだけで逮捕状が発付されるわけではありません。通常逮捕が認められるのは、容疑をかけられている者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に限られます

    たとえば、次のような事情があると、逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあると判断されやすいでしょう。

    • 定まった住居がなく、単身者で定職にもついていない
    • たびたび出頭を要請しているのに、正当な理由なく出頭しない
    • 事故発生を警察に報告せず、現場から逃走した
    • 交通前科があり、免許停止などの行政処分を受ける可能性が高い
    • 厳しい処分は避けられない事故内容である
    など
  2. (2)交通事故の加害者は現行犯逮捕されるのか?

    現行犯逮捕とは「現に罪をおこない」または「現に罪をおこない終わった」者の身柄をその場で拘束する手続きです。
    逮捕状を必要としないので、その場ですぐに逮捕が執行されます

    交通事故の現場には加害者・被害者の双方がそろっており、被害者の証言や目撃状況、加害者の自認などから犯行状況が明らかであるといった事情があるため、現行犯逮捕されることもあるでしょう。

    ただし、人身事故を起こすと必ず現行犯逮捕されるわけではありません。事故現場で現行犯逮捕されるかどうかは、結果の重大性や、事故原因の悪質性などが関係しています。
    人が死亡、あるいは死亡するおそれが高い状況なのか、かすり傷程度の軽傷なのかによって、加害者が負う刑事責任の重さが格段に違うのは当然です。厳しい処分が予想される重大な結果が生じた事故では、逮捕の危険度は大きく増すでしょう。
    また、横断歩道を歩行中の人をはねた、飲酒運転や無免許運転などの悪質な違反が背景にあったなどの状況があるときも同様です。

  3. (3)逮捕後に釈放されるケース

    刑事事件の加害者として逮捕されると、逮捕によって72時間以内、勾留によって20日間以内、合計で最長23日間にわたる身柄拘束を受けるおそれがあります。

    過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪はいずれも犯罪として処理されるため、長期の身柄拘束を強いられる可能性も否定できません。たとえば、飲酒運転のように事故直前や日ごろの飲酒状況の裏付け捜査が必要であったり、事故加害者であるのが明らかなのに否認していたりするなど、特に難しいケースは長期の身柄拘束もあるでしょう。

    一方で、単純な事故で加害者本人も事故を自認しており、積極的に供述しているようなケースでは、早期の釈放が期待できることもありえます。
    身柄つきで検察官へと送致されても勾留請求がなされず、72時間以内に釈放されるといった可能性もあります。

4、交通事故の加害者に対して弁護士ができるサポート

交通事故を起こしてしまったとき、まず相談するのは自身が加入している自動車保険の保険会社でしょう。
保険会社は被害者との示談を代行してくれますが、保険会社が解決できるのは『民事的な賠償』だけです。民事的な賠償を尽くしても、刑事責任が消えるわけではありません

交通事故を起こして被害者や同乗者を死亡させてしまうと、逮捕を含めて厳しい処分を受ける危険があります。長期の身柄拘束や厳しい刑罰を回避したいと考えるなら、弁護士のサポートが必要です。

  1. (1)早期釈放に向けたサポート

    加害者として逮捕され、身柄を拘束されている間は、会社や学校へ行くことも許されず、社会から隔離されてしまいます。拘束期間が長引くほど、その後の生活に大きな影響を及ぼしかねません。

    弁護士は、事故の状況や被害の程度、逮捕された本人の家庭環境などを確認したうえで、逃亡・証拠隠滅を図るおそれがなく、身柄拘束の必要性がないことを主張し、早期釈放を求めます。

  2. (2)処分の軽減を求める

    歩行者や相手車両の運転者・同乗者だけでなく、自分が運転する車両の同乗者を死傷させた場合も、法律に照らせば過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われます。先に紹介した事例のように、同乗者を死亡させてしまった事故で有罪判決を受けたケースも存在しています。

    弁護士は、加害者にとって有利になる事情や本人が深く反省しているといった事実をまとめ、少しでも処分が軽減されるよう、努力します。

5、まとめ

交通事故を起こしてしまい、自分が運転している車両の同乗者が死亡した場合も、法律に照らすと過失運転致死罪や危険運転致死罪に問われる可能性があります。
家族・友人・同僚など、親しい間柄の人を死亡させてしまったという強いショックを受けているなか、さらに逮捕や刑罰といった厳しい処分に直面するため、非常につらい立場に置かれることになるでしょう。精神的な負担が増す状況で冷静な判断をするのは難しいので、弁護士に相談のうえで必要なサポートを求めるのが賢明です。

交通事故の加害者となり、逮捕や刑罰に不安を抱えている、早期釈放や処分の軽減を望んでいるといった方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスにご相談ください。
刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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