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電動キックボードで事故を起こしたらどうなる? 法改正とあわせて解説

2023年06月06日
  • 交通事故・交通違反
  • 電動キックボード
  • 事故
電動キックボードで事故を起こしたらどうなる? 法改正とあわせて解説

仙台市では、令和4年5月から同年10月までの期間限定で、仙台駅東まちづくり協議会と民間企業が連携して電動キックボードのシェアリングサービスを実施しました。同年12月には、沿岸部での観光の利便性を向上するため、沿岸部の事業者や市の担当者などが参加するような電動キックボードの勉強会が開催されるなど、自治体が積極的な姿勢を示している状況が伺えます。

一方で、電動キックボードに関する全国のニュースに目を向けると、運転中の死亡事故や交通違反の摘発など、ネガティブな話題も少なくありません。

本コラムでは、電動キックボードの法律上の扱いに触れながら、電動キックボードの運転中に交通事故を起こしてしまうとどうなるのか、事故後の解決を目指すためにはどのような対応が求められるのかなどについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、電動キックボードは原付? バイク? 法律上の扱いとは

電動キックボードは、車やバイクに代わる新たなモビリティとして注目を集めていますが、法的な扱いが難しい面もあります。運転免許は必要なのか、ヘルメットを装着する義務はあるのかなど、電動キックボードについてわからないことが多いと感じている方も少なくないでしょう。
最初に、電動キックボードの法律上の扱いを確認していきます。

  1. (1)電動キックボードとは?

    電動キックボードとは、その名のとおりキックボードに電動の原動機を装備したものです。

    本来のキックボードは足で地面を蹴った勢いで進むものですが、電動キックボードは原動機を装備しているスケートボード状の三輪構造であり、両足をボードに乗せたままでも運転することができます。進行方向を変える際は、前部のハンドルを操作するのみです。

    なお、「キックボード」は海外メーカーの商品名で、正確には「キックスケーター」という名称であり、電動キックスケーターまたはキックスクーターとも呼ばれています。

  2. (2)電動キックボードの法的な立場は「原動機付自転車」や「原付二種」にあたる

    電動キックボードに装備されている原動機は、ガソリンや軽油などの燃料ではなく電気で動いています。このような特性から、電動アシスト付き自転車と混同しがちですが、定格出力(仕様で定められた出力限度)0.6kw以下の電動キックボードは、道路交通法などの法律に照らすと「原動機付自転車」という扱いです。

    そのため、電動キックボードを運転するためには原動機付自転車の運転免許証が必要となり、ヘルメットも装着しなければなりません
    また、最高速度が時速20km以下でも、前後2系統のブレーキ、前照灯、後部反射器、警音器、後写鏡といった保安部品を装備していないと整備不良となる点に注意が必要です。

    なお、定格出力が0.6kwを超えて1.0kw以下のものは、原動機付自転車ではなく小型自動二輪車、いわゆる「原付二種」にあたります。
    高出力の電動キックボードは、原付免許では運転できません。

    このように、電動キックボードは自転車やおもちゃなどに近いものではなく、原動機付自転車やバイクにあたります。

    交通法令に反する行為があれば違反として処理されるのはもちろん、交通事故を起こせば「車両の一種」としての責任を問われることは、重々心得ておかなければなりません。

2、法改正で一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に変わる

電動キックボードは、特に近距離の単独移動に適した乗り物です。ただし、原動機を装備していることから、法的には原動機付自転車・バイクと同じ扱いになるため、現行の法令では利便性が大幅に制限されてしまいます。
そこで、一定の基準を満たす電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」として規制を緩和する法改正が施行されることになりました。

  1. (1)特定小型原動機付自転車とは?

    特定小型原動機付自転車とは、令和5年7月1日から施行される改正道路交通法などにおいて、新たに登場する車両区分のひとつです。

    原動機付自転車のうち、車体の大きさ・構造が自転車道におけるほかの交通を妨げるおそれがなく、運転に関して高い技能を要さない車で、道路交通法施行規則で定める基準に該当するものが特定小型原動機付自転車である、と定義されています。

    簡単にいえば、一定の基準を満たす電動キックボードを「原動機付自転車の例外」とすることで、規制を緩和するという措置です。

    道路交通法施行規則には、次のような基準が設けられています。

    <車体の大きさ>
    • 長さ…190cm以下
    • 幅…60cm以下

    <車体の構造>
    • 原動機の定格出力が0.6kw以下である
    • 時速20kmを超えるスピードが出ない
    • 走行中に最高速度の設定を変更できない
    • AT機構(オートマチックトランスミッション:自動変速機)である
    • 最高速度表示灯が装備されている
    ※改正法施行前に製造されたものについては、令和6年12月23日まで最高速度表示灯の取り付けが猶予される


    特定小型原動機付自転車には、道路運送車両の保安基準に適合していることを示す性能等確認済シールが貼り付けられることになります。
    つまり、新たに購入した電動キックボードに性能等確認済シールが貼り付けられていなければ、保安基準を満たしていない可能性があるということです。

    改正法が施行されたあとでも、道路交通法施行規則で定められている基準を満たしていない電動キックボードは、規制緩和の対象外となる点に注意が必要です。

  2. (2)特定小型原動機付自転車と原動機付自転車の違い

    特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードは、原動機付自転車と比べるとさまざまな点で規制が緩和され、利便性が高まります。

    <規制緩和の例>
    • ヘルメットの装着が「義務」ではなく「努力義務」になる
    • PSC・SGマークなどの安全規格を満たさない自転車用ヘルメットでも運転可能
    • 16歳以上であれば運転免許が不要


    また、停車中に最高速度を時速6km以下に切り替え、さらに最高速度表示灯が点灯した状態では「特例特定小型原動機付自転車」という扱いになります。

    特例特定小型原動機付自転車の状態になると、道路標識等により特例特定小型原動機付自転車が歩道を通行することができることとされているときは、通常の電動キックボードでは認められない歩道通行も可能です。これらの点は、原動機付自転車には許されていない電動キックボードならではのメリットだといえます。

    ただし、原動機付自転車と同じ、あるいは電動キックボードに限った規制も設けられており、これらの規制を破った場合には罰則の対象となることもあるので、ルールを守って安全に利用しましょう。

    <電動キックボードの利用に関するルール>
    • ナンバープレートを装着しなくてはならない
    • 軽自動車税が課税される
    • 自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)への加入が必要
    • 16歳未満の者への特定小型原動機付自転車の提供は処罰対象になる
    • 飲酒運転は禁止
    • 二人乗りも禁止
    • 車道と歩道・路側帯の区別があるところでは車道を通行する(自転車道は通行可能)
    • 道路では左側端に寄って通行する
    • 歩道を通行する際は歩道の中央から車道寄りの部分または自転車通行指定部分を通行する
    • 歩道を通行できる場合でも歩行者優先で、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止しなくてはならない
    • 特定小型原動機付自転車は自動車用の信号機、特例特定小型原動機付自転車は歩行者用の信号機に従う
    • 一時停止・通行止め・進入禁止・駐車禁止・停車禁止などは、違反すると取り締まり対象になる
    • 信号機などで交通整理されている交差点を右折する際は必ず二段階右折、矢印信号では右折できない

3、法改正後は規制が緩くなる? 電動キックボードで交通事故を起こしたときの扱い

改正法が施行されると、特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードは従来の原動機付自転車よりも「自転車」に近い扱いになるといえます。

ただし、自転車とは違って、電動キックボードは「交通反則通告制度」の対象です。そのため、交通違反をすると、違反切符による処理を受けます。
反復して違反行為があると、公安委員会から講習を受講するよう命令され、これに従わない場合は処罰の対象です。放置駐車も禁止されており、放置違反金の対象になります。

このような点を見れば、利便性を向上させるための規制緩和とはいえ、利用にあたっては基本的な交通法規や電動キックボードに限ったルールを熟知しておく必要があるといえるでしょう。

もちろん、交通事故を起こしてしまったときも車両として扱われます。
交通事故を起こしたときは、事故の続発を防ぐための安全を講じたうえで、直ちに負傷者を救護し、事故発生を警察に報告するという義務があります。

軽微な接触でも、その場から逃げてしまえば「ひき逃げ」です。
法改正によって規制が緩和されても、交通事故を起こしてしまったときの扱いまでは緩和されないと心得ておきましょう。

4、電動キックボードの交通事故で弁護士に対応を依頼すべき理由

電動キックボードは、法改正による規制緩和を受けるといっても原動機付自転車であることに変わりはなく、法律上は「車両」の一種です。そのため、運転中に歩行者や別の車両と接触するなどの交通事故を起こしてしまった場合は、車両としての責任を負う立場になります。

交通事故の加害者になったとき、多くの方は「保険会社に対応を任せておけばいい」と考えるでしょう。たしかに、自動車やバイクによる交通事故では保険会社に対応を一任するという解決法もありますが、特に電動キックボードに関する事故では、弁護士への相談をおすすめします。

  1. (1)素早い示談交渉で厳しい刑罰の回避が期待できる

    運転者に過失があり、交通事故の相手を負傷させてしまうと、自動車運転処罰法第5条の「過失運転致傷罪」に問われます。相手が死亡してしまえば、同条の「過失運転致死罪」です。

    7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科せられるため、厳しい刑罰を回避するには、被害者との示談交渉が欠かせません。

    被害者との示談が成立すれば、検察官が「被害者と加害者の間で話し合って和解した」と評価し、刑事裁判を提起しない「不起訴」を選択する可能性が高まります。
    また、仮に起訴されたとしても、被害者と示談が成立していることは情状として有利に働きます。

    被害者との示談交渉はスピード勝負です
    示談交渉が難航していると、警察の捜査が終わって検察官へと引き継がれ、検察官が起訴に踏み切ってしまうかもしれません。

    特に電動キックボードによる交通事故は、社会的な関心の高さや警鐘の意味を込めて厳しい判断を下されてしまう危険があります。

    自転車のようなものだからと軽く考えて流れに任せていると、刑罰を受けて前科がついてしまう事態になりかねないため、早い段階で弁護士に対応を任せて処分の軽減を目指しましょう。

  2. (2)過度に重い損害賠償の負担を回避できる可能性が高まる

    交通事故の加害者になってしまった場合は、刑事上の責任だけでなく、民事上も被害者に対してケガの治療費や働けない期間の補償、精神的損害などを賠償する責任が生じます。

    通常、自動車やバイクによる交通事故では、過去に争われた同じような事故の判例をベースに賠償額が決まりますが、電動キックボードは登場から間もないため、参考となる前例が不足している状態です。

    前例が不足しているため、賠償を求められても、その金額が妥当なのか、それとも過度に高額なのか、個人では判断できません。

    過度に重い損害賠償の負担を回避するには、法律の解釈に明るく、さまざまな交通事故トラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士に相談し、対応を任せたほうが賢明です。

5、まとめ

電動キックボードは、現行の法令では原動機付自転車、令和5年7月の法改正からは一定の条件を満たす場合に特定小型原動機付自転車という扱いになる乗り物です。

手軽なモビリティとして注目されており、法改正後は規制が緩和されるなど、これから電動キックボードを利用したいと考えている方も多いでしょう。利便性が高まるという点では大いに期待されていますが、一方で、安全に利用するためにも電動キックボードに関連する交通ルールを理解しておかなければなりません。

また、電動キックボードは、改正前・改正後を問わず車両の一種であり、交通事故を起こしてしまえば、自動車やバイクと同じように処罰を受けてしまいます。

厳しい刑罰や高額の損害賠償請求を避けるためには、弁護士による迅速な示談交渉が欠かせません。

電動キックボードによる交通事故トラブルで疑問や不安を感じている方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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