国分町の風俗店で盗撮をして高額な慰謝料を請求された方へ弁護士からのアドバイス
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平成30年10月、仙台中央署は風俗店への客引きを指示したとして、男を逮捕したという報道がありました。男は県迷惑防止条例違反での逮捕です。残念ながら違法行為をする風俗店が存在するため、迷惑防止条例などでより厳しい取り締まりをしようという気運が仙台でも高まってきています。
では、もしあなたが風俗店でつい盗撮してしまったあと、高額な慰謝料を店舗側から請求されたら……どうしたらよいのか悩むのではないでしょうか。逮捕される可能性からどうすべきかについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。
目次
1、よくある風俗トラブル4つのケースと罰則について
風俗店では盗撮以外にもさまざまな風俗トラブルが起きています。風俗店側が違法な場合と、風俗店に来るお客様が違法な場合とがあるでしょう。それぞれについて、どのような罪に問われるかを解説します。
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(1)盗撮の風俗トラブルと宮城県迷惑防止条例
風俗店ではめをはずして盗撮トラブルを起こしてしまった場合、問われる可能性がある罪としてはまず「迷惑防止条例」が考えられるでしょう。「迷惑防止条例」とは各都道府県が「公衆に著しく迷惑をかける行為を防止して、市民の平穏な生活を守る」ために制定されている条例です。もちろん、宮城県でも制定されています。
その中でも盗撮は宮城県迷惑防止条例においても禁止されている違法行為です。実際に平成30年6月には、仙台高裁事務官がペン型の隠しカメラで女性のスカートの中を盗撮したとして、仙台中央署に逮捕されています。
宮城県の迷惑防止条例第3条の2においては、下着などにカメラを向けることや設置すること自体も禁止しています。
あなたが風俗店の中で盗撮して、「公共の場」などでの行為に該当すると解釈されれば、迷惑防止条例に違反するとして、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。次のあげる軽犯罪法違反にあたる可能性もあるでしょう。 -
(2)盗撮の風俗トラブルと軽犯罪法違反
盗撮を行うと、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。しかし、実のところ軽犯罪法には盗撮そのものを規制する記載はありません。しかし、現在「のぞき見」のカテゴリーの中に盗撮は含まれるという解釈になっています。
軽犯罪法では「正当な理由がなく、人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を罰すると定められています。これが盗撮を取り締まる根拠です。「のぞき見た者」というくくりの中に、撮影も入ってくるということになります。
この軽犯罪法違反の罪に問われれば、拘留(1日~30日未満の身柄拘束)又は科料(1000円~1万円未満)となります。このように現在、軽犯罪法違反よりも県の迷惑防止条例に違反したほうがより重い刑が定められています。 -
(3)本番強要の風俗トラブルと強制わいせつ罪
風俗店でのトラブルでよく聞くのは本番を強要するトラブルでしょう。しかし、本番行為は風営法にも違反しているので、正規のサービスではありえません。もちろん、何かしらのわいせつ行為をすれば、強制わいせつ罪に問われます。強制わいせつ罪は以下のような条文で定められているものです。
刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪には罰金刑の設定はなく、懲役6ヶ月以上10年以下と刑法にて定められています。罰金刑がないのは、それだけ重たい罪だということです。 -
(4)本番強要の風俗トラブルと強制性交等罪
風俗店でのトラブルで本番強要をした結果、本番をしてしまった場合は強制性交等罪となります。強制性交等罪はかつての強姦罪のことです。刑法では以下のように定められています。
刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
上記のように本番行為までいたらなくても、肛門性交や口腔性交でも成立する罪です。そして、有罪になれば5年以上の懲役が科されます。
よくトラブルになる原因としてあげられるのは、合意があったという食い違いでしょう。密室で行われることであり、被害者が訴えれば証明するために争わなければならなくなります。その点を注意しておきましょう。
2、店側から盗撮したと風俗トラブルの慰謝料を請求されたら?
店での盗撮がバレてしまい、風俗店側から慰謝料を請求された風俗トラブルに遭遇してしまった場合、どうしたらいいのでしょう。
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(1)風俗店側に慰謝料を支払う義務はない?
「風俗店から高額な慰謝料を請求されている」という相談でしたら、風俗店に過剰に支払う義務はないといえます。
慰謝料は精神的身体的苦痛に支払われるものであり、被害にあった当事者に支払われることが多く、風俗店側へは支払う義務がないと判断されることがあります。 -
(2)風俗店側が前もって違反慰謝料を設定している場合
風俗店によっては、前もって「盗撮を行うなどの違法行為を見つけたら、いくらいくらの慰謝料をもらいます」と掲示しているところもあるでしょう。それでも、直ちに店側にお金を支払う義務が生じるわけではありません。
もしも、しつこく請求される事態に陥っているのであれば、弁護士や警察に相談してください。
3、風俗トラブルで示談交渉をするメリット
これはほかの被害者がいる事件でも同じですが、逮捕するかどうかにおいても、被害者との示談が済んでいるかどうかが重要視されます。示談交渉では、示談金を支払い被害者に対する民事責任を果たすとともに、示談書の文言に、被害者からの「これをもって、刑事処罰を求めない」などの言葉を入れこむことを目標とします。
示談金とは、損害賠償や慰謝料などが含まれます。したがって、損害賠償を後日請求される事態を防ぐことができます。また、被害者に処罰感情がないことを明確にすることで、下される処分や刑罰が軽くなる可能性が高まります。
示談交渉が良好であれば、逮捕されたとしても不起訴になる可能性も高まります。ただし、示談成立したとしても、裁判になるケースがないわけではありません。その際でも、示談交渉成立となれば、起訴を回避できたり執行猶予がついたりと刑期軽減に直接影響してくることが多いです。
少しでも早く示談交渉を進めることをおすすめします。
4、風俗トラブルを弁護士に依頼するメリット
風俗トラブルになった場合、特に警察沙汰になりそうなときや法外なお金を要求されたときは弁護士に相談することを強くおすすめします。
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(1)不当な要求をのまなくて済む
どうしても被害者と加害者という立ち位置では、相手の言いなりになってしまいやすいものです。そこに第三者であり、刑事事件の経験がある弁護士が介入することで、あまりに高額な示談金などの不当な要求は退けられることが期待きます。
今回のように盗撮された被害者ではなく、風俗店側が慰謝料を要求してくるような場合は不当な要求をされることが少なくないです。弁護士であれば、それを法的に解説して断ることができます。 -
(2)示談交渉には加害者よりも弁護士で
被害者との示談交渉は、加害者本人が進めようとすると感情が絡み、より事態が複雑化しやすいものです。被害者は加害者との面会さえも拒むことが考えられるからです。無理に交渉しようとするとさらなるトラブルとなってしまいます。
したがって、弁護士に示談を一任しすることで、交渉がスムーズに進む可能性が高いでしょう。弁護士であれば、被害者も安心して交渉に臨んでくれる可能性が高まります。 -
(3)逮捕された場合も弁護士がいれば心強い
万が一、逮捕されるような事態になったとしても、弁護士がいれば捜査をされる上でのアドバイスや、弁護活動を行えます。逮捕直後の面会は弁護士の接見のみが許されます。まずはその段階で状況を確認し、取り調べに対しての心構えをレクチャーできるでしょう。
知識がなければ、警察にいわれるままに調書を取られてしまう可能性もあります。過剰に処罰が重くなったり、やってもいない罪が増えたりしないためにも、弁護士と協力して対応することがおすすめです。
5、まとめ
今回は店で盗撮をして風俗トラブルに巻き込まれてしまった方に向けて解説しました。もしも、風俗店でのトラブルにあったのなら、一刻も早く弁護士に依頼することをおすすめします。逮捕の可能性がある場合は特に、示談交渉をすみやかに進めたほうがより前科がつかない可能性が高まるでしょう。
風俗トラブルに巻き込まれてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士に相談してください。刑事事件に対応した経験がある弁護士が、不安が解消されるよう力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています