残業代請求の相談先は労働基準監督署?弁護士?仙台の弁護士が解説
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仙台市には仙台城をはじめとするさまざまな観光資源があり、観光産業などのサービス業
がさかんです。しかし、昨今ではサービス業界で「給与に残業代が含まれているからと言
われて残業代を支払ってもらえない」「定時でタイムカードを打刻させられる」といった
問題が相次いで起こっており、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
労働問
題について相談したいとき、相談先としては弁護士のほかに労働基準監督署も選択肢に挙
げられるのですが、労働基準監督署とは一体どのような機関なのでしょうか。
1、労働基準監督署とは
ご注意下さい。
本ページはベリーベスト法律事務所のコラム記事です。
労働基準監督署(労働局、労働基準局)のWEBサイトではございません。
労働基準監督署の所在地はこちら
名前はよく耳にするかもしれませんが、労働基準監督署(以下「労基署」)がどんなところか、知っている人は少ないと思います。そこで、ここでは労働基準監督署の残業代請求に対する対応について解説します。
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(1)労働関係の法律が守られているかどうかを監視する機関
労基署とは、簡単に言えば労働基準法をはじめとする労働関係法が守られているかどうかを監視するための機関です。労基署の役割は、労働関係の法令に基づく届出の受付や監督業務・職場の安全や健康の確保に関する指導・労働災害補償の給付がメインとなっています。
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(2)残業代請求にはどのように対応してもらえる?
労基署に未払い残業代について相談すれば、法律に則ったアドバイスを無料でしてもらえます。さらに、労基法違反などの事実を「申告」すれば、会社の労働環境そのものについて調査・勧告をしてもらえる可能性があります。相談者の話を聞いたうえで何らかの違法状態があると労基署が判断すれば、会社へ立ち入り調査を行い、違法状態を改善するよう是正勧告を行います。
もっとも、労基署は相談者個人の残業代請求を行ってくれるわけではありません。労働審判や裁判になったときに代理人としてこちらの意見を主張してくれるわけでもないのです。そのため、労基署に相談しても、未払いのままの残業代をしっかりはらってもらうという意味では根本的な解決にはなりません。 -
(3)宮城県の労働基準監督署の一覧
宮城県内で労基署に残業代請求について相談したい場合は、以下のような管轄になっています。
●仙台市、塩釜市、名取市、岩沼市、多賀城市、富谷市
亘理町、山元町、松島町、七ヶ浜町、利府町
仙台労働基準監督署
〒983-8507
仙台市宮城野区鉄砲町1 仙台第四合同庁舎
●石巻市、気仙沼市、東松島市、女川町、南三陸町
石巻労働基準監督署
〒986-0832
石巻市泉町4-1-18
石巻労働基準監督署(気仙沼臨時窓口)
〒988-0077
気仙沼市古町3-3-8 気仙沼駅前プラザ2階
●大崎市、大和町、大郷町、大衡村、加美町、色麻町、涌谷町、美里町
古川労働基準監督署
〒989-0084
大崎市古川駅南2-9-47
●白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、川崎町、村田町、大河原町、柴田町、丸森町
大河原労働基準監督署
〒989-1246
柴田郡大河原町字新東24-25
●登米市、栗原市
瀬峰労働基準監督署
〒989-4521
栗原市瀬峰下田50-8
2、残業代請求に強いのは労働基準監督署?弁護士?
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(1)弁護士に残業代請求について相談すれば、どのように対応してくれる?
弁護士は、個別具体的な事案に応じて最適な解決方法を提示して実行してくれる存在です。例えば、残業していたことを示す証拠がない場合ならば会社に対して証拠開示請求を行ってくれますし、会社がタイムカードなどの出退勤データを破棄したり隠蔽したりする可能性があれば証拠保全手続きを裁判所に申し立ててくれます。もちろん、会社との交渉も本人の代わりになって行ってくれるので、弁護士は残業代請求にあたり心強いサポーターとなってくれるでしょう。
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(2)労働基準監督署と弁護士ではどちらに相談するべきなのか
では、いざ残業代請求の相談をするとなったときには、労働基準監督官と弁護士のどちらを選べばいいのでしょうか。
労基署の場合は、無料で相談ができて、なおかつ会社が違法状態となっていれば是正勧告をして改善を促してもらえる点がメリットですが、個人の請求について具体的に何かをしてくれるわけではないので結局自分で残業代請求を行わなければならない点がデメリットです。
一方、弁護士であれば個別のケースに応じた解決方法を考案し、残業代請求に必要な書類作成や手続き、交渉を進めてもらえる点がメリットですが、無料ではありません。
労基署に相談するのも弁護士に相談するのも一長一短ではありますが、請求を根本的な解決が望めるという点を考えれば、どこかのタイミングで弁護士に相談することが重要です。
3、労働基準監督署のサービス業への対応方法
長年にわたり過重労働が社会問題化していることを受けて、厚生労働省は平成27年5月、違法な長時間労働を繰り返し行う「ブラック企業」の名前を公表する方針を打ち出しました。そのため、サービス業に対する労働基準監督署の監視も強化されてきています。
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(1)サービス業は労働基準法違反が常態化
そして、平成29年5月、実際に厚生労働省によって、労働基準関係法令違反をした会社の社名が公表されました。同年の東京商工リサーチの調査によれば、社名が公表された332社のうち、サービス業は68社(20.4%)と、建設業115社・製造業76社に次ぐ割合を占めています。
また、時間外労働の割増賃金未払いや36協定の無視といった労働基準法の違反行為をしているとして公表された会社が63社あり、そのうちサービス業が最多の26社・41.2%もの割合を占めていました。
このように、サービス業においては労働基準法をはじめとする法令違反が常態化していることがわかります。
参考:東京商工リサーチ「『労働基準関係法令の違反企業332社』企業実態調査」 -
(2)労基署による立ち入り調査頻度も高め
サービス業界では労基署による立ち入り調査の頻度も高くなっています。具体的には、卸売・小売業、宿泊・飲食業、運輸・郵便業、サービス業などで労基署の立ち入り調査が行われています。最近では、労働問題の頻発している学習塾や予備校などの教育・学習支援業にも労基署のメスが入るようになってきました。
4、まとめ
労働基準監督署は残業代の未払い問題だけでなく、労災や安全衛生など、労働に関する様々な問題に対して相談を無料で受け付けているところです。もっとも、未払いの残業代を直接請求してくれるわけではありません。
一方、弁護士に相談すれば、多少費用はかかるものの、話を聞いてもらったうえで弁護士が最適な解決プランを示し、残業代請求に向けた具体的なアクションを起こしてもらえます。弁護士が会社側と交渉を行うことで、こちら側にとってより有利な条件を引き出し、請求金額の満額あるいはそれに近い金額を取り戻すことができる可能性が高まるでしょう。
宮城県仙台市で「残業代の請求をしたいけれど、どうすればよいかわからない」「会社と交渉をするのが不安だ」などのお悩みをお持ちの方は、ベリーベスト法律事務所・仙台オフィスへお越しください。スタッフ一同、全力でお客様の力になります。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています