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有給休暇の理由を聞かれるのはパワハラ? 違法性や対処法について解説

2021年04月15日
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有給休暇の理由を聞かれるのはパワハラ? 違法性や対処法について解説

仙台市がホームページ上で公開している情報によると、令和元年(平成31年)度の仙台市職員ひとりあたりの平均有給取得日数は、13.9日だったそうです。
労働者は、入社から6か月以上の在籍と、全労働日の8割以上の出勤という条件を満たせば有給休暇を取得できることが、労働基準法第39条で認められています。

令和元年(平成31年)4月からは、すべての使用者に対して年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが義務付けられましたが、日本の有休取得率は世界的に見ても極めて低く、上司や職場の理解を得られにくいという実態があります。有給休暇を申請する際、上司から理由を聞かれたり、理由によって有給休暇の取得を拒否されたりするのは違法ではないかと、疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

本コラムでは、仙台オフィスの弁護士が、有給休暇の法律上の取り扱いと、理由を聞かれることに違法性はあるのか、そして取得を拒否された場合の対処法について解説します。

1、有給休暇の申請時に理由を聞かれることの違法性

原則として有給休暇取得に理由の申告は不要ですが、例外的に理由が必要になる場合がありえます。どのようなケースで違法と判断されるのか、申請理由を聞かれた際のポイントを押さえていきましょう。

  1. (1)どのような理由でも基本的に有給休暇は取得できる

    冒頭で述べたとおり、有給休暇は労働者の権利であり、本来この権利を行使するにあたって理由を述べる必要はありません。最高裁でも「休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」と述べられています。つまり、原則として上司が申請の理由を問いただす法的根拠はなく、労働者側も申請理由について答える義務はありません。答えないことに抵抗があれば「私用」「所用」などと伝えれば十分です。
    聞く必要のない理由を執拗に詮索するような行為は、プライバシーの侵害やパワハラ、セクハラなどにあたる可能性もあります。

  2. (2)「時季変更権」の判断に利用するなら適法

    では、会社が有給休暇の理由を確認する必要性についても解説しておきましょう。
    労働者が繁忙期に有給休暇を取得することで、事業の正常な運営をさまたげる場合、会社は有給取得日を「変更」することができます(労働基準法第39条5項但し書き)。これを時季変更権といいます。会社は有給の取得を拒否することはできませんが、労働者に要請し、取得時季をずらしてもらうことができます。この時季変更権を行使すべきか否かを判断する場合に、必要かつ妥当な範囲であれば、理由を聞く行為は問題ありません。

    たとえば、繁忙期に有給休暇を申請した社員が複数名いた場合を考えてみましょう。その中の何名かに出勤してもらわなければ、通常営業ができないとします。その場合、有給休暇取得の理由などによって取得する緊急性、重要性、優先順位を判断することが想定されます。
    こうしたケースでは判断材料として有給休暇の取得理由を聞くことに妥当性が生じえます。

  3. (3)違法と判断されるケース

    前述のように、時季変更権が認められている以上、理由を聞かれたからといってただちに違法となるわけではありません。また、申請書に理由欄が設けられることや、労働者が任意で理由を伝えることも問題ありません。
    違法と判断されやすいのは、以下のような場合などが考えられます。

    • 理由を言わなければ取得できない。
    • 理由によって取得を拒否される。
    • 取得することで不利益な扱いを受ける。(人事考課に響く、賞与が減額されるなど)
    • 「時季を変更してほしい」と聞いていたのに、別の日にも一切取得させてもらえない。
    • 退職時の有休消化について時季変更を要求される。

    申請にあたって毎回理由を聞かれるといった場合、時季変更の確認とは言い難く、違法性が疑われることがあります。なお、時季変更権は、代替要員がいる場合や慢性的に忙しいことを理由に安易に行使できるわけではありません。会社は労働者が自由に休暇を取得しても正常な運営ができるように配慮したうえで、それでも業務に支障が出る場合に限り、時季変更権を行使することができます。ときに会社が時季変更権を濫用することがあるので、おかしいと感じたら会社の人事部などに確認するとよいでしょう。

2、有給休暇申請の際に嘘の理由を伝えたらどうなる?

時季変更権を行使された場面においては、可能な範囲で申請の理由を伝えておくのもトラブルを回避する手です。就業規則に「申請には虚偽の申告をしないこと」などと明記されている場合、処分対象になってしまうことがあります。
そもそも理由を述べる義務はないので、やむを得ず理由を述べるのであれば「私用」などで通すことが賢明です。わざわざ嘘の理由を述べる必要はありません。
万が一嘘が知られてしまった場合、職場での信頼を失うおそれがあります。上司や同僚と良好な関係を築き続けたいのであれば、嘘をつかないに越したことはないでしょう。なるべく職場の繁忙期を避けて申請する、他の人でも業務の代替が可能になるように引き継ぎをしておくなど、一定の配慮を心がけることも大切です。

3、有給休暇の取得を拒否されたときの対処法

それでは、もしも有給申請を拒否されてしまったら、労働者は取り下げるしかないのでしょうか。
まず、本当に事業の正常な運営をさまたげるのか、代替要員はいないのかも含めて確認する必要があります。
確認の結果、時季変更もやむを得ないと判断したのであれば、いつに変更できるのかも併せて相談してください。
以下の場所への相談も検討してみましょう。

  1. (1)労働組合へ相談する

    労働組合は労働者の味方となり、相談や職場への対応をおこなってくれるはずです。
    コンプライアンス部門や人事部門などが対応してくれるケースも一応あります。職場に居づらくならないように、相談するにしても匿名での相談が可能かを確認しておくとよいでしょう。

  2. (2)労働基準監督署へ相談する

    労働基準監督署へ相談してみるのもひとつの手です。状況を説明して違法性があるか確認してもらい、対処法のアドバイスを受けられます。
    ただし、労働基準監督署は、証拠がない場合など、動いてもらうことが難しいことも多いです。会社の違法性を申告する場合は、就業規則や出勤・有休残日数の記録、取得を拒否された際のメールまたはやり取りを録音した音声データなど、実際に理由なく有給休暇を拒否された証拠を残しておいてください。

  3. (3)弁護士へ相談する

    上司が平気で申請を却下する、相談しても取得を妨害されるといった状況であれば、弁護士への相談が有効でしょう。
    有給休暇を申請する際、嘘の理由を述べなければならないほどの職場環境であれば、パワハラや嫌がらせを受けた方もいるかもしれません。その場合、損害賠償請求ができる可能性があります。また、裁判に発展してしまった場合でも、弁護士であれば依頼者の代理人となって権利を主張してくれます。状況によって柔軟に対応してもらえるのが特徴です。

4、まとめ

今回は有給休暇の理由を聞かれることの違法性と、取得を拒否された場合の対処法を中心に解説しました。
申請の際に理由を聞かれても、場合によっては認められることを知っておきましょう。また、正当な理由なく取得を拒否された場合には、違法性が疑われます。大原則として労働者には自由に有給休暇を取得する権利があることを知り、違法性が考えられる場合は適切な場所への相談を検討しましょう。
ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスでもご相談をお受けしております。労働者の正当な権利を行使できるように全力でサポートしますので、一度ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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