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ネガティブオプション(送り付け商法)被害に要注意! 対応策を解説

2021年07月12日
  • 個人のトラブル
  • ネガティブオプション
ネガティブオプション(送り付け商法)被害に要注意! 対応策を解説

「注文していない商品が送られてきて、代金を請求された……」。このように、購入した覚えのない商品を送り付け、代金を請求する商法は『ネガティブオプション(送り付け商法)』と呼ばれます。
ネガティブオプションに関する相談件数は、消費者庁によると近年減少傾向にあるとされていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、便乗した商品の送り付けが横行していることから、現在は注意喚起が行われています。
実際に宮城県内でも、マスクを一方的に送り付けられる事案が相次いで発生したそうです。

本コラムでは、ネガティブオプションへの対応策について、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。あわせて、令和3年7月6日に改正取引商取引法が施行されたことによって、どのような点が変わったのかも見ていきましょう。

1、よくあるネガティブオプションの事例とは?

よくあるネガティブオプションの事例について、みていきましょう。

  1. (1)高齢者に健康食品を送り付けるケース

    2013年前後には、高齢者に健康食品を送り付けるネガティブオプションが急増しました。
    たとえば、販売業者から「以前申し込んだ健康食品を送付する」と電話があり、断ったにもかかわらず強引に商品を送り付けられるといったケースです。そして、商品を受け取ったのだから代金を支払わなければならない、と消費者に思い込ませ代金を請求します。

    2013年度の調査では、被害者は80代が圧倒的に多く、威圧的に催促したり、暴言を吐いたりするなど、脅しのような行為を用いて代金支払いを迫るケースもあったそうです。

  2. (2)海産物などを代引きで送り付けるケース

    最近は健康食品のほかに、カニなどの海鮮物を送り付けるネガティブオプションの相談が寄せられることも多いようです。
    たとえば申し込んでいない魚介類が代引きで届いて、家族が注文したものだと思って宅配業者に代金を支払ってしまうといったケースです。

    魚介類は傷みやすいこともあり、同居している家族が注文したのかもしれないと本人に確認せずに支払ってしまう可能性も高くなることでしょう。
    こうした宅配業者の代金引換サービスを悪用して、ネガティブオプションが行われることも少なくないようです。

  3. (3)布マスク全戸配布に便乗したケース

    新型コロナウイルス感染症対策として、政府による布マスクの全戸配布が行われたことに便乗するネガティブオプションも発生しています。

    マスクの配布がある、ということが念頭にあるため、商品名にマスクと書かれた小包が配送されても疑問なく受け取ってしまうでしょう。しかし受け取ってしまうと、後日高額な請求書が届く恐れもあるため、消費者生活センターは、受け取らないように注意喚起しています。

2、ネガティブオプションと法律

このようなネガティブオプションでは、民法で規定する売買契約が成立していないことが多いといえます。

  1. (1)鍵になるのは売買契約の成立の可否

    売買契約は、売り主と買い主の申し込みと、承諾の意思が合致すれば成立します(民法第555条)。
    売買契約が成立すれば、売り主には商品引き渡し義務が生じ、買い主には代金支払い義務が生じます。

    ネガティブオプションの場合は、商品の一方的な送り付けなどが行われますが、これは単なる契約の申し込みに過ぎません。その申し込みに対し、消費者が承諾の意思を表示しなければ売買契約は成立しません。
    つまり販売業者が「商品を返送しなければ購入したものとみなす」と主張したとしても、受け取った側が承諾しなかったときには売買契約は成立していません。そのため商品を購入したものとみなされることはないのです。

    また売買契約が成立していなければ、消費者に代金支払い義務はなく、商品の返送義務もありません。
    しかしながら、売買契約が成立していない以上、送り付けられた商品の所有権も消費者には移転しませんので、自由に使用・処分していいというわけではありません。この場合、消費者としては、商品を販売業者へ返送するか、保管しなければならないのが原則です。

    このような場合を念頭に置いて、売買契約に基づかないで送付された商品の保管などについては、特定商取引法第59条に規定があります。

  2. (2)特定商取引法第59条

    これまで、特定商取引法第59条では、商品の送付があった日から未使用であり、販売業者による引き取りがないまま14日間が経過などすれば、販売業者は商品を請求することができないと定めていました。

    しかし、それでは被害を受けた側の負担が大きいとして、令和3年7月6日に施行された改正法では、14日間という期間が撤廃され、金銭を得る目的で一方的に送り付けられた商品は、基本的には直ちに処分することができるようになりました。たとえば、開封したり、使用したりしたとしても、消費者には支払い義務は生じません。
    ただし、改正法が施行される以前(~令和3年7月5日)に届いたものについては、従前どおりの法律が適用されるため、注意が必要です。

    なお、個人事業主や会社の事業所に対して、事業に関連した商品が送り付けられた場合には、特定商取引法は適用されません。そのため会社や個人事業主が業務に関連したネガティブオプションの被害にあったときには、業者へ承諾しない旨を通知したのち、商品を保管するないし商品を受取人払いで返送するなどの対応が必要になります。

3、ネガティブオプションへの対応策

ネガティブオプションの被害にあわないために、そしてすでに被害にあってしまった場合には、次のような点に注意して対応する必要があります。

  1. (1)身に覚えのない荷物は受け取らない

    まずは、注文した覚えのない商品については受け取らないことが大切です。郵便物や宅配便は、受け取りを拒否することができます。
    また同居する家族などの荷物を受け取る際には、本人に確認してから受け取るようにしましょう。本人の確認がすぐにとれなければ、いったん受け取りを保留することもできます。

  2. (2)支払わない

    代金引換で商品が送り付けられてきた場合には、特に注意が必要です。代金を支払ってしまえば、取り戻せなくなる可能性が高くなります。
    また請求書が同封されており「返品しなければ購入したものとみなす」といった文面があったとしても、安易に支払うことは避けて、消費生活センターなどに相談するとよいでしょう。

  3. (3)第三者へ相談する

    ネガティブオプションは、確認せずに受け取ってしまった、購入したと思い込まされてしまったなど、自分自身のミスによるものと思い込み、泣き寝入りするケースも少なくありません。
    しかし、ネガティブオプションの被害にあった場合は、対策を講じることができます。ひとりで抱えることなく第三者に相談することが大切です。ご自身だけで業者とやり取りしても、そもそも先方はだますつもりで荷物を送っています。こちらの主張に納得して、対応してくれる業者はほぼいないでしょう。
    また業者と直接やり取りをすることで電話番号などの個人情報を知られ、悪用されるリスクもあります。
    では、被害にあってしまった場合、どこに相談すればよいのでしょうか。次の章で詳しく解説します。

4、ネガティブオプションの相談先

ネガティブオプションに関しては、次のような相談先があります。

  1. (1)消費生活センターなど

    消費生活センターなどは、商品やサービスなどの消費生活全般に関する苦情や問い合わせに対応してもらえる相談先です。
    ネガティブオプションも消費生活にかかわることなので、相談することができます。
    全国共通で局番なしの「188」に電話すれば、近くの消費生活センターを紹介してもらえます。

  2. (2)弁護士

    弁護士へ依頼するのは、敷居が高いと感じる方も多いかもしれません。しかし、弁護士は法の専門家です。ネガティブオプションのような身近で起こりうる法的なトラブルに関しても、対応することが可能です。
    弁護士に相談すれば、適切な対応を助言してもらえるほか、すでに業者とトラブルになってしまったようなケースでは、内容証明郵便を弁護士名で送付する、弁護士が代理人として販売業者と交渉するなどといった対応を講じることができます。

    あなたが直接交渉すれば、業者は言葉巧みに誘導したり、どう喝したりすることで、なんとしても支払いをさせようとしてくるでしょう。しかし、弁護士が代理人となれば、法的根拠に基づき業者と交渉することができるほか、対応を一任することも可能です。

5、まとめ

本コラムでは、ネガティブオプション(送り付け商法)の被害にあってしまったときの対応策について解説しました。
最近は、マスクや消毒液など、新型コロナウイルス感染症に便乗したネガティブオプションも横行しています。ネガティブオプションかもと思ったときには、本コラムの情報をもとに焦ることなく適切な対処法をとっていくことが重要です。

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士は、ネガティブオプションなどの消費者問題の解決にも積極的に取り組んでいます。
お悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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