協議離婚|離婚の話し合いに弁護士が同席するメリットと依頼できること
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宮城県が公表する「令和3年人口動態統計(確定数)の概況」によると、令和3年の宮城県内の離婚件数は3228組で、前年よりも325組減少しています。離婚率(人口千対)も前年が1.56であったのに対して、令和3年は1.42と下回る結果でした。
離婚をする際には、夫婦の話し合い(協議離婚)を進めていくことが一般的な方法です。しかし、協議中に相手が感情的になったり、離婚を拒否されたりするなど、当事者だけではスムーズに話し合いを進められないケースも少なくありません。そのような場合には、話し合いに弁護士を同席させるのがおすすめです。
本コラムでは、離婚の話し合い(協議離婚)に弁護士が同席するメリットや得られるサポートなどについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。
1、離婚の話し合いは夫婦間でするのが基本
パートナーと離婚をするには、以下の3つの方法があります。
- 協議離婚
- 離婚調停
- 離婚裁判
厚生労働省の「令和4年度『離婚に関する統計』の概況」によると、離婚の方法でもっとも多いのが協議離婚であり、令和2年では全体の約88%を占めています。このことからもわかるように、離婚をする場合には、まずは協議離婚によって進めていくのが一般的です。
協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚を進めていく方法です。離婚や離婚条件について夫婦の合意があれば、どのような理由であっても離婚をすることができます。
夫婦の話し合いで離婚の合意に至ったあとは、離婚届に記入・押印をし、市区町村役場に提出することで離婚が成立します。
協議離婚が不成立となったり、当事者での話し合いが困難だったりといったケースもあるでしょう。その際は、離婚調停や離婚裁判での離婚を目指すこととなります。
2、弁護士が同席することで得られるサポート
協議離婚を進める際には、弁護士を同席させることによって、いくつかのサポートを受けることが可能です。
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(1)多忙で話し合いができない方でも離婚を進められる
離婚をお考えの方の中には、仕事が忙しくて、離婚の話し合いをする時間的な余裕がないという方もいるかもしれません。
そんなときは弁護士に離婚手続きを依頼することで、弁護士が相手との離婚の話し合いを進めていくことが可能です。その場に本人が同席する必要はないため、仕事などで多忙な方でも、弁護士に希望する離婚条件を伝えておけば、弁護士が代わりに話し合いを進めて離婚に向けた準備を整えていきます。 -
(2)相手と顔を合わせる必要がなくなる
離婚の話し合いの場では、お互いに相手の不満を言い合ったり、責任追及をし合うことによって、言葉遣いが乱暴になったり、感情的になってしまうことも珍しくありません。そのような状態で話し合いをしなければならないのは、大きなストレスと言えるでしょう。
弁護士を話し合いの場に同席させれば、当事者だけの話し合いではなくなりますので、感情的な物言いが少なくなる可能性が高まります。2人だけだとどうしても感情的になってしまうという場合には、第三者である弁護士を同席させるのがおすすめです。 -
(3)離婚協議書の作成をサポートしてもらえる
協議離婚では、離婚の合意ができたら離婚届を市区町村役場に提出するだけで離婚をすることができます。そのため、養育費、慰謝料、財産分与といった離婚条件の取り決めをしたとしても、口頭での合意だけで終わらせてしまう方も少なくありません。
しかし、離婚条件の取り決めを口頭の合意だけで済ませてしまうのは、将来「言った」「言ってない」などのトラブルが生じるリスクが高くなります。そのため、必ず離婚協議書などの書面を作成することが重要です。
弁護士に依頼をすれば、離婚の話し合いだけでなく、その後の離婚協議書の作成までサポートしてもらうことができます。法律に詳しい立場としての視点から必要な条項を盛り込むことによって、将来、離婚条件をめぐるトラブル発生を防ぐことが可能です。
また、離婚条件に金銭の支払いが含まれている場合には、離婚協議書を強制執行認諾文言付きの公正証書にすることでより確実な履行を実現することもできます。
3、離婚問題を弁護士に依頼するメリット
配偶者との離婚をお考えの方は、弁護士に依頼することがおすすめです。
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(1)適切な離婚手続きを選択してもらえる
協議離婚は、夫婦が離婚をするためのもっとも一般的な方法ですが、協議で離婚の合意に至らない場合は、離婚調停や離婚裁判などの方法も検討しなければなりません。
どのような離婚方法が最適であるかは、相手の態度や離婚に至る経緯などを踏まえて検討することが必要です。
弁護士は、夫婦の状況に応じた最適な離婚手続きを提案することが可能であるため、当事者だけで離婚を進めるよりもスムーズに離婚をすることができる可能性が高くなると言えるでしょう。 -
(2)適切な条件で離婚をすることができる
協議離婚は、離婚調停や離婚裁判のように家庭裁判所の手続きが不要です。そのため、当事者の話し合いだけで離婚を成立させることができます。
しかし、離婚にあたっては、離婚するかどうかだけでなく、親権、養育費、慰謝料、財産分与などの離婚条件を決めなければなりません。
離婚に関する知識や経験がないと、どのような条件で離婚を成立させればよいかわからず、話し合いが長期化するおそれもあります。また、相手から提示された離婚条件が適切なものであるかどうかわからず、不利な条件で離婚に応じてしまうリスクもあるでしょう。
このような場合には、離婚問題の経験豊富な弁護士を同席させることにより、適切な離婚条件を定めることができますので、不利な条件で離婚に応じてしまうリスクを回避できます。 -
(3)調停への同席や裁判のサポートを受けることができる
当事者同士の話し合いで解決できない問題については、離婚調停や離婚裁判によって解決を図ることになります。
離婚調停は、基本的には話し合いの手続きになりますが、家庭裁判所という場所で調停委員を相手に話をしなければなりません。そのため、初めての方では、自分の主張をうまく伝えることができないことがあります。
弁護士に依頼をすれば、調停の申し立てだけでなく、実際の調停期日に同席してもらえるため、自分の主張を伝えることができるようサポートをしてもらうことが可能です。また、調停で提示された解決案が適切・妥当であるのかについても、弁護士であればすぐに判断することができます。
さらに、当事者間で離婚すること自体には争いが無く、財産分与や養育費額のみが争いとなっている場合には、調停でのやり取りを弁護士に委ねることも可能です。調停は平日に行われるため、お仕事や育児の都合上、出席が難しい方にとっては、弁護士に依頼する大きなメリットがあります。
また、仮に調停が不成立になった際は離婚訴訟を提起することになりますが、訴訟手続きは非常に専門的かつ複雑なものです。弁護士のサポートがなければ、適切に進めることは困難と言えるでしょう。
話し合いによる離婚が難しいと感じる場合には、早めに弁護士に相談することがおすすめです。
4、第三者を話し合いに同席させたほうがよい?
離婚の話し合いをする際には、弁護士以外にも、両親や友人などの第三者を同席させることがあります。
第三者がいる場では、感情的な姿を見せたくないと考える方も多いため、弁護士同席のときと同様に、両親や友人などの第三者を同席させることで感情的な話し合いを回避することができるという点がメリットです。
しかし、家族や友人は、公正・中立な第三者にはなりませんので、一方の当事者の味方をすることがあります。自分の味方になってくれればよいですが、相手の味方になり離婚を推し進めてくると、不利な条件で離婚をしてしまうリスクが生じます。
また、家族や友人は、弁護士とは異なり、法律の知識や経験はほとんどないのが通常です。家族や友人から離婚に関するアドバイスを受けたとしても、法的観点からみれば的外れなアドバイスであるケースも少なくありません。このようなアドバイスに基づいて離婚を進めてしまうと、かえって話がこじれてしまうこともあります。
両親や友人などの第三者を同席させることで得られるメリットもありますが、上記のようなデメリットもありますので、両親や友人を同席させる場合には注意が必要です。
適切な条件で離婚をし、将来トラブルになるのを回避するには、弁護士を同席させた方がよいでしょう。
5、まとめ
離婚をする夫婦のほとんどが協議離婚によって離婚をしています。
協議離婚は、裁判所の手続きが不要で、夫婦の話し合いだけで離婚ができるという点では非常に簡単な方法と言えるものです。
しかし、離婚だけでなく離婚条件の取り決めも必要になりますし、離婚協議書の作成もする必要があります。また、時間的余裕がない方や相手が離婚に応じてくれないというケースでは、話し合いが長期化するおそれもあります。
当事者だけでの離婚の話し合いが難しいという場合には、弁護士を同席させることを検討しましょう。弁護士が介入することにより、スムーズな話し合いを実現できる可能性が高くなります。また、少しでも有利な条件で離婚をしたいという場合にも弁護士のサポートが不可欠となりますので、まずは、弁護士に相談することがおすすめです。
配偶者との離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています