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事実婚(内縁)解消時にも年金分割は可能? 年金分割を請求する方法

2020年10月28日
  • 離婚
  • 事実婚(内縁)
  • 年金分割
事実婚(内縁)解消時にも年金分割は可能? 年金分割を請求する方法

宮城県の公式ホームページで公表された人口動態統計によると、平成30年中に県内で離婚した夫婦は3645組だったそうです。
統計が示すように、届け出が必要な法律婚については、明確に解消(離婚)の事実がわかります。ところが届け出がなされない事実婚(内縁)の解消については、公的にその事実を証明することはできないため、実際には公表の数字よりも多くのカップルが、共同生活を解消させていると考えられるでしょう。

法律婚の場合、離婚に伴い相手に請求できるものが複数ありますが、年金分割もそのひとつです。では、婚姻届はだしていないものの、実際には婚姻関係と同様の生活を送っていた場合、年金分割を請求することはできないのでしょうか。

本コラムでは、事実婚(内縁)解消時の年金分割の扱いについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、事実婚(内縁)を解消したときも年金分割を請求できる

結論として、事実婚(内縁)を解消したときにも、法律婚の解消(離婚)と同様に年金分割を請求できる可能性があります。ただし請求できるのは、「国民年金の3号被保険者」だった期間がある方に限定されます。

  1. (1)事実婚(内縁)とは

    事実婚(内縁と呼ばれることがありますが、本コラムにおいては以下「事実婚」とします)とは、双方に結婚の意思はありながらも婚姻届を提出せずに、共同生活を営む関係をいいます。
    つまり、外から見れば法律上の夫婦と変わらないものの、婚姻届を提出していない関係といえます。

  2. (2)年金分割の概要

    事実婚における年金分割についてご説明する前に、法律婚における年金分割の概要を押さえておきましょう。

    法律婚の解消、つまり離婚をする際には、夫婦が婚姻期間中に支払ってきた年金保険料に応じて、厚生年金を分割する「年金分割」を請求できるとされます。夫婦で協力して保険料を払ってきた期間に相当する年金は、夫婦で分け合うべきという考えに基づくため、一方が専業主婦(主夫)であったとしても請求は可能です。

    しかし年金分割の制度を利用できるのは、夫婦の一方が厚生年金に加入している場合です。
    そのため、相手が非正規雇用者や自営業者で基礎年金のみの加入だった場合は、年金分割を請求することはできません。

  3. (3)事実婚の解消における年金分割

    事実婚の場合、公的に「いつからいつまで事実婚関係が続いたか」を証明することが難しいため、法律婚と同等に取り扱うことはできません。
    ただし、事実婚であっても国民年金の第3号被保険者であった期間は特定することができます。そのため、国民年金の第3号被保険者だった期間については、年金分割が認めらます。

2、事実婚における年金分割

まずは年金分割制度について理解を深めた上で、事実婚で認められる年金分割の内容を確認していきましょう。

  1. (1)年金分割制度とは

    日本の年金分割制度は、3つの部分から成り立っています。

    一つ目は、制度の土台となる「国民年金(基礎年金)」部分です。国内に住む20歳以上60歳未満の方すべてに加入義務がある年金です。

    二つ目は、民間企業や公務員として働く方が加入する「厚生年金」部分です。「基礎年金分」に加えて「報酬比例部分」を会社等と労働者が互いに負担して支払います。年金受給時には、国民年金に厚生年金分が上乗せして給付されます。

    そして三つ目は、任意で加入する「確定拠出年金」や「厚生年金基金」などです。

    年金分割の請求対象になるのは、「厚生年金」の報酬比例部分です。国民年金などを含む、すべての年金を分ける制度ではないという点は、理解しておく必要があるでしょう。

  2. (2)年金分割の方法

    年金分割の方法としては、「合意分割制度」と「3号分割制度」の2種類があります。

    ●合意分割制度
    合意分割は、婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を、当事者または家庭裁判所で案分割合を決めて分割する制度です。

    ●3号分割制度
    3号分割は、平成20年4月以降に「国民年金の第3号被保険者」であった期間があり、平成20年5月1日以降に離婚や事実婚を解消した方が請求できる制度です。

    「国民年金の第3号被保険者」に該当するのは、厚生年金保険の被保険者または共済組合の組合員の被扶養配偶者であって、20歳以上60歳未満の方です。

    3号分割制度においては相手の合意は不要で、国民年金の第3号被保険者であった方が請求すれば分割が成立します。ただし、案分割合は2分の1ずつと決まっています。

    前述したように、事実婚では国民年金の第3号被保険者と認められていた期間についてのみ、年金分割が可能です。そのため、国民年金の第3号被保険者だった期間がない場合、年金分割を請求することはできません。

3、「3号分割制度」の請求手続きと注意点

事実婚の解消に伴い年金分割を請求する場合、相手が協議に応じてくれないときなどは「3号分割制度」を利用して、請求手続きを行うことになります。

3号分割の場合、相手方の同意は必要なく、第3号被保険者であった方の請求のみで手続きを進めることができます。では、具体的にどのような手続きが必要になるのかを確認していきましょう。

  1. (1)請求手続きの流れ

    3号分割制度を利用し年金分割を請求する場合は、事実婚を解消した後に年金事務所へ「標準報酬改定請求書」と次の書類を提出します。
    なお、「標準報酬改定請求書」は、日本年金機構のホームページよりダウンロードすることが可能です。

    ●マイナンバーカード(請求書にマイナンバーを記載した場合)
    または、年金手帳または基礎年金番号通知書(基礎年金番号を記載した場合)
    ●相手の生存を証明できる書類(戸籍抄本、戸籍の個人事項証明書または住民票)
    ※請求日前、1か月以内に作成されたもの
    ●事実婚の事実があったことを示す住民票などの書類

    個人番号(マイナンバー)がわかれば省略できる書類もあるため、詳細はお近くの年金事務所に確認いただき、手続きを進めると良いでしょう。

    これらの書類が受理されると、改訂された厚生年金の標準報酬が日本年金機構より双方へ通知され、それぞれの年金受給日より年金の給付を受けることができます。

  2. (2)注意するべき点

    年金分割を請求する上で注意したいのは、請求できる期限が定められている点です。
    期限は、事実婚を解消した日の翌日から「2年間」です。また、事実婚の解消後、相手が死亡した場合は、死亡した日から起算して1か月以内に請求する必要があります。

    したがって事実婚を解消したときには、できるだけ早く年金分割の手続きを進めることが重要です。

4、事実婚を解消する場合の注意点

事実婚を解消したときには、年金分割以外でも次のような点に注意を払う必要があるでしょう。

  1. (1)取り決めを公正証書にしておく

    事実婚を解消するにあたっては、法律婚と同様に、慰謝料などを請求できる可能性があります。事実婚だった場合、当事者同士の合意のみで進めてしまうことも少なくありませんが、これらの取り決めをしたときは確定内容を公正証書にしておくと良いでしょう。

    公正証書にしておけば、後日、取り決めの内容について認識の食い違いが生じるなどのトラブルになる可能性を軽減できます。また、不払いなどがあった場合に、強制執行することも可能です。

  2. (2)「内縁関係解消調停」を利用する

    事実婚は、離婚とは異なり離婚届を提出する必要ありません。そのため、一方が解消したいと望めば基本的には解消することが可能です。
    しかし、一方が解消を望んでいない場合や不貞行為(浮気)が原因だった場合などは、解消に際しトラブルになることもあります。

    当事者同士の話し合いで解決ができない場合は、法律婚と同じように、家庭裁判所の調停を利用することができます。
    事実婚の場合は「内縁関係解消調停」を申し立てることができ、内縁関係の解消や財産に関する問題について、調停による解決を図ることができます。

    なお、年金分割についても相談は可能ですが、申し立てる際に年金分割のための情報通知書の提出が必要です。

  3. (3)弁護士に相談する

    事実婚を解消するケースでは、法律婚と同様に決めるべきことも多く、話し合いを重ねる必要があるでしょう。しかし、法律的に結婚していないという理由から、当事者間で解決しようと考えてしまう方が少なくないようです。

    しかし、事実婚の場合は、事実婚が続いていた年数や、子どもの有無や認知の問題など、状況が複雑になることも多く、それぞれのケースにあった適切な対応が必要です。
    離婚時と同様に請求できるものもあるため、事実婚を解消する際には法律の専門家である弁護士へ相談することをおすすめします。

    弁護士であれば、ケースに応じた対応策を講じることができるのはもちろんのこと、代理人として交渉することができるので、相手と顔をあわせることなく、交渉を進めることが可能です。

5、まとめ

本コラムでは、事実婚を解消する際の年金分割と、事実婚を解消する際の注意点について解説しました。
事実婚では、「国民年金の第3号被保険者」であった期間については、年金分割が可能です。事実婚だから何も請求できない……などということはありません。年金分割以外にも、財産分与など法律婚と同様に請求できるものもあるため、しっかりと話し合いを持ち納得する形で解消することが大切といえます。

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスでは、離婚問題だけではなく、事実婚の解消時の問題にも力をいれています。女性弁護士も在籍しておりますので、ひとりで問題を抱え込まず、まずはご相談ください。
しっかりとお話を伺った上で、それぞれのケースに応じた解決案をご提案し、新しいスタートが1日でも早くきることができるよう全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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