浮気(不倫)相手から慰謝料を請求された! 支払う義務はある?
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宮城県が公表している「令和3年人口動態統計(確定数)の概況」によると、宮城県の離婚率は、平成14年をピークに増減しながらも、減少傾向で推移しているようです。
離婚に至るまでには、夫婦間の事情やさまざまな出来事があるものですが、浮気や不倫(不貞行為)による問題は、夫婦関係に亀裂が入る大きなきっかけとなり得ます。
一方で、不倫(浮気)をしていたものの相手と関係を終わらせ、夫婦関係を修復するケースもあるでしょう。しかし、相手に別れを告げたことで、不倫相手(浮気相手)とトラブルに発展してしまうことがあります。では、その相手から「慰謝料を支払ってほしい」と請求された場合、金銭を支払う必要はあるのでしょうか。
本コラムでは、不倫相手(浮気相手)から慰謝料を請求された場合の支払い義務や対処法について、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。
不倫による慰謝料請求のことでお悩みの方は、最後までご覧ください。
1、浮気・不倫は不貞行為? 浮気相手からの慰謝料請求に応じる義務はある?
慰謝料とは、加害者の不法行為によって被害者が受けた精神的苦痛を補うために支払われるお金のことをさします。そのため、法的に慰謝料請求が認められるのは、不法行為があったことが前提です。
では、浮気・不倫関係は、不法行為に該当するのでしょうか。
この問題をひも解くにあたり、まず押さえておきたいのが「不貞行為(ふていこうい)」です。不貞行為とは、夫婦関係にある一方が、自由意思で配偶者以外の異性と性的な関係を持つことをいいます。不貞行為は不法行為に該当しますが、これはあくまでも婚姻関係にある場合です。
つまり、浮気・不倫関係にある当事者の一方(もしくは両方)が婚姻していた場合、不貞行為を理由に慰謝料を請求できるのは、当事者の配偶者のみです。当事者の配偶者は、当事者の2人(夫または妻と浮気相手)に対して、慰謝料を請求することが可能です。
一方で、浮気をしている当事者の間に、基本的には不法行為は存在しません。そのため、浮気相手から不倫関係だけを理由に慰謝料を請求されても、法律上直ちに応じる義務はないといえます。
2、浮気相手からの慰謝料請求が認められるケース
浮気をしている当事者同士は、共同で不貞行為という不法行為をした加害者になるため、基本的には、法律上慰謝料が認められません。ただし、不法行為は不貞行為だけに限られません。不法行為に該当する行為が他にあった場合には、慰謝料請求が認められる可能性があるので注意が必要です。
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(1)妊娠・中絶に不誠実な対応があった場合
浮気相手の女性が妊娠したり、お互いの合意によって人工中絶したりすることは、不法行為にはならず慰謝料請求を認める法的根拠にはなりません。
しかし、妊娠を告げられた後中絶を無理やり迫った、逃げて連絡がつかなかったため中絶のタイミングを失わせたなど、不誠実な対応をとっていた事実がある場合は、不法行為と判断される可能性があります。
また、妊娠が性行為を強要した結果であったような場合や、中絶をさせるために暴言や暴行、強迫があった場合にも不法行為が成立する可能性があるでしょう。 -
(2)内縁として保護される場合
浮気・不倫関係にある場合、同居して事実婚状態(重婚的内縁関係)であったとしても、浮気相手は内縁としての法律上の保護は受けられないのが原則です。しかし、長期にわたって内縁関係が続いていたような場合には、法律上の保護の対象になる可能性があります。
そのため、不当に内縁関係を破棄した場合や、さらに別に浮気相手がいた場合などは、慰謝料請求が認められることもありうるでしょう。 -
(3)浮気相手に未婚と偽っていた場合
未婚であると偽って、浮気相手と交際していたような場合は注意が必要です。
既婚者だと知っていれば性的な関係にはならなかったとして、貞操権が侵害されたことを理由に慰謝料請求をされた場合は、請求が認められる可能性があります。
もっとも、実際に慰謝料請求が認められるのかについては、さまざまな要素や事情を考慮する必要があります。そのため、弁護士などに相談したうえでアドバイスを受けることをおすすめします。
3、浮気相手から慰謝料請求を受けた場合の対処法
浮気相手から別れ話をきっかけに慰謝料を請求された場合、まず浮気相手がどのような事実にもとづいて慰謝料請求しているのかを確認する必要があります。
基本的に浮気相手に対しては、法的に慰謝料を支払う義務はありません。「不倫で人生を無駄に過ごしてしまった分、慰謝料を請求する」「離婚するといったのに約束と違う」などの理由のみであれば、たとえ裁判を起こされたとしても慰謝料請求は基本的に認められないと考えられます。
もっとも法的な支払い義務がなくても、浮気相手の慰謝料請求に対して何の対応もしなければ、相手の感情は収まらないことも多いでしょう。トラブルを大きくしないためにも、まずはしっかりと相手の意見に耳を傾けたうえで、話し合いによる解決を図っていくこともひとつの方法ではあります。
なお、話し合いで合意ができた場合は、合意の内容を示談書にまとめて、後日の紛争にも対応できるようにしておくと安心でしょう。
4、浮気相手からの慰謝料を請求された場合に弁護士へ相談するべき理由
浮気相手から慰謝料を請求された場合、適切な対応をとらなければ深刻なトラブルに発展する可能性があります。しかし、感情的にもつれた状態で、冷静に話し合いを進めるのは簡単なことではありません。そのため、弁護士に相談したうえで解決を図ることをおすすめします。
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(1)代理人として交渉できる
弁護士は、代理人として浮気相手と交渉することができます。当事者同士では感情的になり話し合いが進まなかったとしても、第三者である弁護士が介入することによって、冷静な話し合いになることがあります。
また、関係を終わらせる相手と話し合うことは心理的な負担にもなりますが、弁護士に依頼することで直接話す必要はなくなります。そのため、精神的な負担を軽減することもできるでしょう。 -
(2)早期に解決できる可能性が高くなる
慰謝料額を請求された場合、金額が妥当なのかを個人で判断するのは難しいでしょう。
弁護士であれば、金額の妥当性や、そもそも支払う義務があるのかなど、状況に応じた適切な判断が可能です。また、たとえ不法行為の事実があったとしても、根拠ある金額を提示し、適切な慰謝料額を算出することができます。
弁護士は、しっかりと状況を把握したうえで、最善の解決策を講じることができるので、結果として、早期の解決につながることが期待できます。 -
(3)嫌がらせを受けた場合も適切な対応ができる
浮気相手からの慰謝料請求に加えて、職場や自宅での付きまといといった嫌がらせを受けることもあります。
弁護士にご相談いただければ、浮気相手と直接話す必要はなくなり、やりとりをすべて任せることができます。罪に該当するような嫌がらせを行っている場合、身の危険を感じる場合などは、警察への相談を検討するなど、状況が改善するよう適切なサポートを行います。 -
(4)示談書の作成や裁判対応も任せることができる
当事者同士の話し合いで合意できた場合は、示談書を作成することが大切です。しかし、法的に有効で、後日の紛争を予防する文言を漏れなく記載するのは簡単ではありません。その点、弁護士であればケースごとに応じた的確な示談書を作成することができます。
また、裁判を提起された場合は、少しでも有利な結果に導けるよう最後まで徹底的なサポートを受けることができるので、力強い味方になるでしょう。
5、まとめ
不倫相手(浮気相手)からの不倫・浮気関係を理由とした慰謝料請求については、基本的には支払い義務は生じません。しかし不倫・浮気相手に対する不法行為があったと判断されるような事実があれば、慰謝料の支払い義務が生じる可能性があるため、注意が必要です。
不倫・浮気相手からの慰謝料請求には、感情的なもつれが起因になっていることも少なくありません。
不倫・浮気相手から慰謝料請求を受けた場合、当事者だけでの話し合いは深刻なトラブルを生じさせる可能性もあるため、弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスでは、婚姻関係にある夫婦間のトラブルだけではなく、男女問題に関する法的トラブルのご相談にも応じております。仙台オフィスでは、仙台市だけではなく、宮城県全域を含んだ東北6県(福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県)からのご相談も受け付けており、離婚・男女問題に関して知見のある弁護士が親身になってサポートいたします。おひとりで悩むことなく、ぜひお気軽にご相談ください。
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