家族が痴漢を再犯!痴漢再犯で逮捕されたときの量刑や勾留期間を仙台市の弁護士が解説
- 性・風俗事件
- 痴漢
- 再犯
- 仙台
- 弁護士
仙台は車社会であり、車社会であり、公共交通機関よりも車の利用者が多いのが実情です。通勤時間帯の交通渋滞が社会問題となっています。
そのため、仙台市は現在、公共交通機関の整備に力を入れています。2015年に開業した仙台市地下鉄東西線開業の利用者数は、1日5万5100人※に上り、利用客は1年目に比べ1割強増加しました(※2017年12月時点の利用者数)。
特に仙台駅周辺エリアは利便性が良いため、人口集中が進んでいます。人口増加に伴い、公共交通機関の利用者の増加も見込まれています。
まだまだ車社会とはいえ、本コラムご覧の方は、通勤・通学に電車やバスを利用していらっしゃる方もいるのではないでしょうか。そんな場合、ご自身やご家族が痴漢事件に巻き込まれる可能性があります。
痴漢で逮捕されてしまったら、誰でも気が動転してしまうものです。特に再犯の場合、初犯の際には何とか被害者と示談でき不起訴となったものの、二回目となるとどうなってしまうのか、家族としても不安が大きくなることでしょう。
「初犯と比べて量刑の長さや勾留期間はどう変わるの?」「起訴は免れない?」「未成年の場合はどうなるのか?」そんな疑問について、仙台市の弁護士が解説します。
1、まず知っておきたい!痴漢の量刑はどのくらいなのか?
家族が再び痴漢事件を起こして逮捕されたら、どのくらいの量刑になるのか気になると思いますが、まずは、そもそも痴漢事件はどういった法律に違反していて、どれくらいの量刑なのか、確認しておきたいと思います。
-
(1)痴漢罪という犯罪はない
電車の車内などで痴漢行為をして逮捕されたというニュースはよく耳にするでしょう。
痴漢とは加害者が被害者の身体に接触する性犯罪です。ただし痴漢という言葉は法律用語ではなく、痴漢罪という刑罰も存在しません。
では、痴漢行為はどのような法律で処罰されるのかと言いますと、多くは都道府県の定める迷惑防止条例や刑法における強制わいせつ罪に違反することで罰せられます。痴漢は、加害者側が被害者の身体のどの部分にどのようにどれくらい触るかとった、その程度や態様によってそれぞれの法律に違反したとして罰せられます。 -
(2)迷惑防止条例に違反するケース
痴漢は、「公共の場所や公共の乗り物で、衣服などの上から被害者の身体を触ること」で、迷惑防止条例違反として罰せられるケースが多くあります。
「公共の場所」とは道路や公園など、「公共の乗り物」とは電車やバスなどが該当します。
ただし、条例は各地方自治体が制定するため、迷惑防止条例の罰則は全国一律ではなく、地域によって異なります。宮城県の迷惑防止条例では、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」となっていて、さらに常習性があると判断されると「1年以下の懲役刑または100万円以下の罰金」で処罰されます。
痴漢で逮捕・起訴されて裁判で有罪の判決が出ると、懲役刑や罰金刑などの刑罰を受けることになります。 -
(3)刑法の強制わいせつ罪で処罰されるケース
痴漢行為は刑法の強制わいせつ罪の「わいせつ行為」に該当するケースがあります。
刑法第176条には「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」とあり、迷惑防止条例で処罰される痴漢行為とは異なります。
わかりやすく言うと、強制わいせつ罪で処罰される痴漢行為とは、加害者が被害者の衣服などの中へ無理やり手を入れて触ることです。衣服の中へ手を入れ直接胸を触ったり、陰部などに手を差し込んだりする行為などした場合、強制わいせつ罪としてとらえられます。
強制わいせつ罪の量刑は「6ヶ月以上10年以下の懲役」で、迷惑防止条例のように罰金刑はありません。初めて痴漢をした場合であれば裁判で執行猶予判決が出るかもしれませんが、初犯でも行為が悪質な場合は実刑判決となる可能があります。
2、痴漢の再犯で逮捕されるとどうなるのか?
では、ここから痴漢の再犯で逮捕されるとどれくらい勾留され、どのような量刑を受けるのか、解説していきます。
-
(1)痴漢の再犯とは?
一般的に「再犯」とは再び罪を犯すことと思われるかもしれませんが、法律的な意味での「再犯」は、少し意味が異なります。
刑法第56条には「懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。」と規定されています。さらに刑法第57条では「懲役の長期の二倍以下」として再犯加重が規定されています。
法律的な「再犯」は、単に「再び罪を犯した」という意味ではなく「前回の刑罰が終わって5年以内に再び犯罪を実行した者」を指しています。再犯に該当した場合は前回よりも刑罰が重くなることを意味しています。 -
(2)痴漢再犯の量刑はどうなるのか?
前回の痴漢事件では示談が成立して不起訴処分になっていた場合、量刑はどうなるのでしょうか。 示談が成立して不起訴処分になっていれば前科がついていないので、刑法に規定されている再犯には該当せず、もちろん懲役刑が加重されることもありません。
ただし、警察や検察庁では前回の痴漢事件の前歴が残っているため、刑事裁判に発展すれば裁判官が「再犯のおそれあり」と判断する可能性が高くなります。 -
(3)痴漢再犯の勾留期間は長くなるのか?
前回の事件で示談が成立して不起訴処分になっている場合は、刑法で定める再犯には該当しないので、法律上の不利益を受けることはありません。痴漢再犯で逮捕された場合でも、初犯で逮捕された場合より勾留期間が長くなるということはありません。逮捕後に勾留される期間は10日間で、延長された場合はさらに10日間が上限です。初犯・再犯にかかわらず、この上限が変わることはありません。
-
(4)痴漢再犯は起訴されるのか?
再び痴漢容疑で逮捕されると、警察では前科や前歴の記録が残っているので、隠そうとしても必ずばれてしまいます。
痴漢事件で逮捕された経歴が初犯ではない場合は、検察官が「起訴する必要がある」と判断する可能性が十分に考えられます。また、再犯であっても被害者との示談が成立すれば、不起訴処分にとどまる可能性はあります。しかし、そのためには弁護士による示談交渉が必要です。 -
(5)未成年の痴漢再犯はどんな扱いになるのか?
未成年が罪を犯しても、逮捕されないわけではありません。未成年であっても14歳以上であれば、痴漢行為をすると成人と同じように逮捕・勾留されます。ただし、未成年の場合は不起訴処分とならず、すべての事件で家庭裁判所へ送致されることになります。
家庭裁判所では観護措置が必要かどうかの判断がされ、必要な場合は少年鑑別所へ移送されます。その後、少年審判が必要かどうか判断され、不要と判断されると少年審判は行われません。これは成人の場合の不起訴処分に相当します。
少年審判が必要と判断されると、少年事件として審判が開始され、家庭裁判所は処分を決定します。未成年の場合、殺人などの凶悪事件でない限り刑罰の対象にはならないので、再犯であっても痴漢事件で刑罰を受けることはありません。
3、まとめ
今回は、痴漢再犯で逮捕された場合、量刑や勾留期間は初犯よりも重くなるのか、起訴されるのか、未成年の処分はどうなるのかなどについて、解説しました。家族としては、できるだけ不起訴処分にして早期に釈放されることを望むのは当然ですが、場合によっては起訴され実刑判決を受けることも考えられます。
被害者との示談交渉がまとまれば起訴を免れることが期待できます。そのためには、逮捕されたことがわかったらすぐにでも、法律の知識や示談交渉などの経験が豊富な弁護士に相談することが大切です。
家族が痴漢の再犯で逮捕されてしまった方は、ぜひベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでご連絡ください。仙台オフィスの弁護士が迅速丁寧にサポートします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています