出会い系アプリで援交した相手が未成年だった! 逮捕される可能性は?

2024年05月02日
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出会い系アプリで援交した相手が未成年だった! 逮捕される可能性は?

令和3年、仙台放送記者の男性が、SNSを通じて知り合った仙台市の女子中学生(当時15歳)とわいせつな行為をしたとして、逮捕される事件がありました。

出会い系アプリで知り合って、性的な行為をした相手が未成年だった場合には、警察に逮捕される可能性があります。

本コラムでわかることは、大きく以下の3つです。
・ 出会い系アプリで援交した相手が未成年の場合に成立する可能性がある犯罪
・ 相手が年齢を詐称していた場合はどうなるのか
・ 未成年との援交で逮捕されたあとの流れ

出会い系アプリで援交をしてしまい逮捕されてしまった方に向けて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。


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1、未成年と出会い系アプリで援交すると、どのような罪で逮捕される?

  1. (1)児童買春罪

    出会い系アプリを利用して未成年と援交をすると、児童買春に問われるおそれがあります

    児童買春禁止法(正式には「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます)には、「児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」と規定されています。

    この「児童買春」とは18歳未満の児童に対して対償を供与し、またはその供与を約束して性交等をする行為と定義されています。
    ここでいう「性交等」には、性行為や性交類似の行為をする場合だけを指すのではなく、自己の性的好奇心を満たす目的で、未成年者の性器等(性器、肛門または乳首)を触ったり、反対に、未成年者に自分の性器等を触らせたりする場合も含まれます。
    したがって、自己の性的好奇心を満たす目的で、未成年者の性器等(性器、肛門または乳首)を触り、もしくは未成年者に自己の性器等を触らせた場合には、児童買春罪に問われる可能性があります。

  2. (2)児童ポルノ所持・製造罪

    性行為に及んでいなくても、18歳未満の児童の性的な写真や動画を撮影、所持、譲渡やネット上にアップする行為は児童ポルノ禁止法に違反することになります

    児童ポルノを「所持」・「保管」する行為は禁止されています(児童ポルノ禁止法第7条1項)。児童ポルノ所持罪・保管罪に問われた場合には、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。

    また、児童ポルノを「提供」する行為も禁止されています。児童ポルノを特定・少数の者に提供した場合には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されます(同条2項)。不特定・多数の者に提供した場合には、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」(同条6項)が科されます。

    さらに、児童ポルノを提供する目的で、児童ポルノを「製造」、「所持」、「運搬」、「本邦に輸入」または「本邦から輸出」する行為も犯罪となります。

  3. (3)青少年健全育成条例違反

    金品のやり取りがなくても、出会い系アプリで出会った未成年とわいせつな行為をした場合には、各都道府県で定める「青少年健全育成条例」に違反するとして逮捕される可能性があります。

    「宮城県青少年健全育成条例」では、保護の対象となる青少年を18歳未満の者と定めています(第14条1号)。
    第31条において、「何人も、青少年に対しみだらな性行為またはわいせつな行為をしてはならない」と定めており、罰則は「2年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」(第41条1項)と規定されています。

    また青少年に直接わいせつな行為をしていなくとも、「青少年に対して、みだらな性行為またはわいせつな行為を教え、または見せた者」も罰せられることがあります。

    さらに、自撮りポルノ写真の被害を防ぐために令和元年施行された改正により「児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止」も追加されています(第31条の2)。
    青少年に対し児童ポルノ等の提供を求めるだけでも、「30万円以下の罰金または科料」が科されることとなります。

    青少年健全育成条例では、相手が18歳未満であったと知らなかった場合でも罪に問われる可能性がありますので、注意が必要です

  4. (4)出会い系サイト規制法違反

    出会い系サイトやアプリなどで児童との援交を募集した場合、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(通称「出会い系サイト規制法」)」などに違反する可能性があります。

    出会い系サイトなどを通じて、児童(18歳未満)を相手方とした性交等の誘い、または対償を供与して異性交際の誘いを書き込みすることは禁止されています(同法第6条)。実際に交際や性行為、性交類似行為があったかどうかではなく、書き込んだだけで処罰の対象となりうる点に注意が必要でしょう

    有罪になった場合の罰則は、「100万円以下の罰金」となります(同法第33条)。

  5. (5)不同意わいせつ罪・不同意性交等罪

    出会い系アプリで出会った未成年に対して、無理やりわいせつな行為や性行為をした場合には、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪に問われることになります。

    一定の行為や原因により、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」、わいせつな行為や性交等をした場合には、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が成立します(刑法第176条、177条)。

    不同意わいせつ罪・不同意性交等罪の原因として規定されているのは、以下のようなものです

    • 暴行または脅迫
    • 心身の障害
    • アルコールまたは薬物の影響
    • 睡眠その他の意識不明瞭
    • 同意しない意思を形成、表明、全うするいとまの不存在(不意打ち)
    • 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕(フリーズ)
    • 虐待に起因する心理的反応(虐待による無力感・恐怖心)
    • 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮(上司部下・教師生徒などの立場ゆえの影響力が生じることを不安に思うこと)


    また、わいせつな行為でないと誤信させたり、人違いをさせること、または相手がそのような誤信をしていることに乗じて、わいせつな行為・性交等をしたりした場合も、不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が成立することになります。

    さらに、「相手が13歳未満の子どもである場合」、または、「相手が13歳以上16歳未満の子どもで、行為者が5歳以上年長である場合」にも不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立することになります。

    不同意性交等罪が成立した場合には、「5年以上の有期懲役」が科されることになります。また、不同意わいせつ罪が成立した場合には、「6月以上10年以下の懲役」が科されることになります。

2、未成年と援交して逮捕|現行犯逮捕・通常逮捕

  1. (1)現行犯逮捕

    「現行犯逮捕」とは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」を逮捕状なしで逮捕することをいいます。

    現行犯人については、警察などの捜査機関のみならず、一般の私人であっても逮捕することができます

    客観的に見て明らかに未成年者である児童に対し、わいせつな行為をしている現場を見とがめられた場合、現行犯逮捕される可能性はあります。

  2. (2)通常逮捕

    「通常逮捕」とは、捜査機関が被疑者の逮捕に先立ち裁判所から逮捕令状の発付を受けて行う逮捕のことです。
    「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる」、「但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない」と規定されています(刑事訴訟法第199条1項2項)。

    出会い系アプリを利用した未成年者への性犯罪の場合、相手の児童が補導され交際相手の情報を提供したり、サイバーパトロールによるネットへの書き込みが発見されたりすることで、警察に事件が発覚するケースがあります。

3、年齢を詐称されていた場合

児童が未成年であるにもかかわらず成人のふりをしていた場合であっても犯罪に問われてしまうのでしょうか。

たとえ、相手に年齢を詐称されていたとしても、相手が18歳未満であった場合は処罰される可能性はあると思っていた方がよいでしょう

18歳未満だと疑う余地がなかったと認められた場合、児童買春罪は成立しないこともあります。認否については弁護士とよく相談して取り調べを受けることが重要です。

4、未成年と援交して逮捕された後の流れ

  1. (1)逮捕・警察での取り調べ

    未成年者に対する性犯罪の場合、まずは関係者に任意で事情聴取が行われることもあります。被疑者に対して任意の取り調べに応じるように要請し、ある程度嫌疑が固まった段階で逮捕手続きがとられるということがあります。

    警察に逮捕された場合には、48時間以内に取り調べを受け、事件を検察に送致するか否かが判断されます。この間は、原則として接見禁止措置がとられ、家族であったとしても被疑者と面会することはできません。

    逮捕の段階で、アリバイが認められたり嫌疑が不十分だったりした場合には、釈放される可能性もあります。

  2. (2)検察官への送致・勾留

    検察官に事件が送致された場合には、24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、被疑者を勾留するかどうかの判断がなされます。
    被疑者の勾留が決定された場合には、10日間の身体拘束が継続することになります。さらに、勾留は追加で10日間を上限として延長することができます。

    したがって、逮捕・勾留された場合には、最長で23日間は自宅に帰ることができません

  3. (3)起訴・裁判

    検察官は、勾留期間中に被疑者の起訴・不起訴を判断することになります。
    不起訴処分となれば、被疑者は釈放され前科がつくこともありません。
    起訴された場合には、保釈請求が認められない限り、裁判まで身体拘束が継続することになります。
    起訴から約1〜2か月後に刑事裁判が開かれ、公開の法定で審理を経たうえで判決の言い渡しを受けることになります。

5、未成年との援交で逮捕されたら弁護士にご相談を

逮捕され接見禁止措置がとられると外部の人間と自由に面会することはできません。しかし、弁護士であれば例外的に自由に接見することができるため、取り調べに対処するための有効な助言やサポートを受けることができます。

また、弁護士に依頼することで被害者との示談を進めてもらえます
被害者との示談が成立すると、早期釈放や不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
未成年が被害者となる性犯罪の示談を進める場合には、被害者に対する慎重な配慮が必要となることから、示談交渉の経験が豊富な弁護士に任せておくことが重要です。

6、まとめ

出会い系アプリで出会った未成年に対するわいせつの容疑で警察から連絡が来ている場合や、ご家族が未成年者に対する性犯罪で逮捕された場合には、すぐに弁護士に相談するようにしてください。

早期釈放や不起訴処分の獲得を目指す場合には、一刻も早く弁護士に依頼して弁護活動に動いてもらう必要があります

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスには、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています