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使用貸借していた(無償で借りていた)土地は相続の対象外?  

2020年11月18日
  • その他
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使用貸借していた(無償で借りていた)土地は相続の対象外?  

仙台市のホームページ上で掲載されている平成30年の人口動態統計によると、同年中の仙台市内の死亡者数は8996名で、前年から233名の増加となっています。一方、出生者数は8407名であり、前年から228名の減少であったことと併せて考えると、仙台市内の人口の自然減傾向にあると言えるでしょう。

親などが亡くなり、親が住んでいた建物(家)の権利関係を調べたところ、土地部分を他人から無償で借りていた「使用貸借」であることが判明するケースがあります。

もし同居の家族がいる場合には、その建物に今後も住み続けたいところでしょう。
しかし、使用貸借の相続における取り扱いを踏まえると、土地の使用貸借を続けることができず、当該建物から立ち退くことになってしまうかもしれません。

本コラムでは、使用貸借が相続においてどのように取り扱われるのかについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、使用貸借と賃貸借の違いとは?

使用貸借とは、賃貸借と同様に、不動産や動産を一定の期間貸し借りする内容の契約です。しかし法律上は、使用貸借と賃貸借には全く異なる取り扱いが定められています。

まずは、使用貸借と賃貸借の違いについて、基本的な知識を押さえておきましょう。

  1. (1)無償か有償か

    物を貸し借りする契約が、使用貸借と賃貸借のいずれに当たるかについては、賃料が無償か有償かによって基本的に決まります。

    賃料を無償とする場合は使用貸借(民法 第593条)、有償とする場合には賃貸借(民法 第601条)として取り扱われます。

  2. (2)使用借権は非常に弱い権利

    使用貸借と賃貸借を比べると、使用貸借の借り主に認められる使用借権は、賃借権(あるいは借地権)よりも非常に弱い内容の権利になっています。
    使用貸借の借り主は賃料を支払っていないので、あまりにも強い権利を認めてしまうと、貸主がいつまでも目的物を無償で貸し続けなければならず、貸主にとって不利益になるおそれがあるためです。

2、使用貸借は相続の対象になる? ならない?

では、使用貸借は相続の対象となるのでしょうか。借り主が死亡した場合と、貸主が死亡した場合に分けて見ていきましょう。

  1. (1)借り主死亡の場合

    使用貸借の借り主が死亡した場合、使用貸借は自動的に終了します。
    したがって、使用貸借は相続の対象とはなりません。

  2. (2)貸主死亡の場合

    使用貸借の貸主が死亡した場合は、使用貸借は終了せずに存続します。

    使用貸借の貸主は、借り主に対して目的物を「貸す債務」を負っているので、この「貸す債務」が相続の対象となります。
    実際には、目的物自体を相続した相続人が、亡くなった被相続人に代わって使用貸借の貸主となり、借り主に対して引き続き目的物を貸すことになるでしょう。

3、借り主死亡の場合にも使用貸借を存続させる方法

使用貸借の借り主が死亡した場合、使用貸借は自動的に終了してしまいます。

たとえば土地を使用貸借していて、その上に家を建てて家族で住んでいたものの、借り主が亡くなった場合、残された家族はそのままその家で生活したいと考えるでしょう。
ところが、使用貸借が終了してしまうと、土地に関する権利を失ってしまうので、その上に建っている家を収去しなければならなくなってしまいます。

使用貸借の借り主が死亡した場合にも、使用貸借を存続させる方法はあるのでしょうか。

  1. (1)新たな使用貸借契約を締結する

    ひとつの方法としては、貸主との間で、当該土地に関する新たな使用貸借契約を締結することが考えられます。

    もともとあった使用貸借は、借り主の死亡によって終了しますが、新たに使用貸借契約を締結することは当事者の自由です。
    まずは従前どおり、使用貸借として土地を使い続けることができないか、貸主と交渉してみましょう。

  2. (2)貸主に黙示の承諾があったものとして使用を続ける

    死亡した借り主が、貸主に関する情報を残していなければ、貸主の連絡先がわからない場合や、貸主から何ら申し入れがないというケースもあるかもしれません。

    使用貸借も契約の一種ですので、当事者の意思を合理的に解釈することによって、成否および内容が解釈されることがあります。
    このことから考えると、借り主が死亡したにもかかわらず、貸主が使用貸借の存続についての異議を述べてこないということは、貸主が使用貸借の存続を黙示に承諾している、つまりそのまま住み続けることを黙認していると解釈する余地があるでしょう。

    しかし、後々「貸したつもりはない」などとトラブルになるおそれもあります。あくまでも、契約を更新するまでの暫定的な対応と考え、新たな使用貸借についての承諾を得ておくべきでしょう。

4、使用貸借の相続税法上の取り扱い

最後に、使用貸借が相続税法上どのように取り扱われるかについても少し触れておきます。

なお、借り主死亡のケースでは、使用貸借は終了して使用借権は相続されないため、使用借権に対する相続税の課税は問題となりません。

したがって以下の議論は、貸主が死亡し、使用借権の負担付きの土地などを相続した場合における、相続税の課税に関するものになります。

  1. (1)使用借権の評価額はゼロ

    使用借権は、賃貸借に比べると法的には極めて微弱な権利です。そのため、相続税の計算上は、使用借権の評価額はゼロとなります。

  2. (2)使用貸借の対象不動産の評価額は100%で計算

    一般に、賃貸している土地(負担付き土地)を相続した場合には、その土地の相続税評価額は、以下の計算式により計算されます。

    負担付き土地の評価額=土地の評価額-借地権の評価額


    上記の計算式に沿って、使用借権の負担が付いた土地の相続税評価額を考えてみます。
    使用借権の相続税評価額はゼロですので、差し引くものがありません。つまり、土地自体の相続税評価額の100%が、そのまま負担付き土地の相続税評価額になるのです。

    貸主を相続した相続人としては、すぐには使用収益できない土地にもかかわらず、相続税評価額に応じた相続税が課されてしまうリスクがあります。

    貸主が死亡したケースでは、使用賃借が存続することは前述したとおりです。しかし、相続税の問題などから、賃借契約への変更や土地の返却を求められる可能性があることを、念頭に置いておくべきと言えるでしょう。

5、まとめ

無償で目的物を貸し借りする使用貸借は、賃貸借に比べて、借り主の権利が非常に弱いものです。貸主のタイミングで、契約はいつでも解除することができてしまいます。
また相続の場面では、使用貸借は借り主の死亡によって終了してしまうため、使用借権は相続の対象になりません。もし使用貸借の目的物を、借り主の死後も家族などが使い続けたい場合には、原則として貸主との間で、新たに契約を締結する必要があります。

使用貸借は、身近な関係において結ばれることが多いため、トラブルになってしまうと難しい対応を迫られることも少なくありません。そのような場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスには、相続に関する問題の解決実績が豊富な弁護士が在籍しています。一日でも早く、問題を解決できるよう全力でサポートしますので、お悩みを抱えている場合は、ぜひ一度ご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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