【後編】もしかして不当なリストラかも? 行うべき対策を弁護士が解説

2019年03月19日
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【後編】もしかして不当なリストラかも? 行うべき対策を弁護士が解説

前編では、リストラの定義や解雇の種類などについて解説いたしました。
後編では、リストラと退職勧奨や整理解雇などの違いや、不当解雇にあてはまる条件、不当解雇された場合の対処方法などについて仙台オフィスの弁護士が解説いたします。

4、退職勧奨と希望退職、整理解雇は違う

退職勧奨および希望退職は、ともに整理解雇と同じリストラとしてまとめられることがあります。しかし、この「退職」と「解雇」の意味において異なるでしょう。

退職勧奨とは、会社が労働者に対して「会社を辞めたらいかがですか?」などと勧め、労働者が自発的に退職するように促すことです。また、希望退職は会社が割り増し退職金や再就職支援などの条件を提示して退職者を募集し、これに応募する労働者を待つことです。つまり、対象者は原則特定されないのです(もっとも、実際は応募資格に年齢制限などを設けている会社が多いようです)。

このように、整理解雇が会社からの一方的な通告により行われる退職であることに対して、退職勧奨による退職と希望退職はあくまで労働者が自ら会社に申し出たうえで労使ともに退職に合意していることが前提であると考えられます。退職勧奨または希望退職あるいは両方を行っても人員削減の必要ありと認められる場合に、整理解雇が行われることが多いです。

5、こんな場合は不当解雇かも? 不当解雇にあてはまる条件

判例などから一般的に不当解雇と扱われやすい解雇理由を、以下に列挙します。

  1. (1)解雇理由がささいで不明確

    解雇理由が「勤務態度が悪い」、「能力やスキルが低い」などであり、さらにそれ以上の具体的な説明がない場合は不当解雇に該当する可能性があります。

    そもそも、勤務態度が悪いという理由には程度や指導による改善の見込み、周囲への影響の度合いなど明確な基準が必要です。また、「能力やスキルが低い」という理由には、向上のための適切な指導の有無などが考慮され、それでもなお労働契約の目的を達成できないと認められるほどの水準であることが求められます。

    つまり、会社は労働者の少々の勤務態度不良や能力・スキル不足を理由に、簡単に解雇することはできないのです。そして労働者の勤務態度不良や能力・スキル不足を理由に解雇する場合は、明確な基準と理由を示す必要があるのです。

  2. (2)病気やケガが理由

    その病気が業務に耐えられないと合理的に判断できなければ、会社は労働者の病気やケガ、入院を理由に解雇することは原則できません。特に病気やケガの原因が、会社の業務に関連したものである場合はなおさらです。

  3. (3)急な解雇

    労働基準法では、会社は解雇を行う場合原則として30日前までに解雇予告を行わなくてはならないと定められています。また、解雇予告を行わずに解雇する場合、会社は最低30日分の平均賃金を解雇予告手当てとして労働者に支払う必要があります。

    相当な理由がないかぎり、基本的に会社はある日突然の解雇はできません。

  4. (4)退職の強要

    正当な理由がないにもかかわらず、会社が労働者に対して退職を迫ることは退職強要にあたります。労働者を退職させるために退職勧奨の域を超えた執拗な退職の強要は、損害賠償請求の対象になることもあります。

  5. (5)内部告発

    内部告発は正当な行為ですが、会社のガバナンスや倫理観欠如の問題から内部告発を行った労働者を不当に解雇したという実例があります。このような行為は、労働基準法のほかに公益通報者保護法にも違反しえます。

6、もし不当に解雇されてしまったら?

考えたくないことではありますが、リストラの対象として不当に解雇されてしまいそうになったときや、不当に解雇されてしまったときは、どうしたらいいのでしょうか。

  1. (1)労働組合や全労連に相談する

    会社に労働組合がある場合は、不当解雇について相談してみましょう。全国労働組合総連合(全労連)が運営する「労働問題ホットライン」などに相談することも一案です。

    ただし、いずれも労働者の連合体ですから、不当解雇を行った会社に対して何らかの強制力がある対応をできるわけではありません。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    労働基準監督署とは、会社などの使用者が労働基準関係法令を遵守しているかについて監督する、厚生労働省の出先機関です。その職員である労働基準監督官は司法警察官として労働基準関係法令の違反などが疑われる使用者について捜査を行う権限のほか、法令違反が認められ悪質と判断した使用者に対しては逮捕、送検などを行う権限を有します。

    ただし、主として、労働基準監督署は使用者に客観的な法令違反が認められる、あるいは使用者の法令違反行為に起因し被用者に被害が発生していると立証できる事案について動くことがほとんどです。したがって、不当解雇に関する問題を労働基準監督署に訴えた場合でも、解決できないことがあります。

  3. (3)弁護士に相談する

    不当解雇をされてしまった労働者は、解雇の無効や金銭的補償などを求めて会社と交渉することが一般的です。決して泣き寝入りをする必要はありません。

    しかし、一度解雇されてしまうと、その後は労働者が要求しても会社はなかなか話し合いに応じないものです。特に不当解雇を行うような会社であれば、なおさらでしょう。

    そのような場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
    不当解雇をはじめとする労働問題の解決に実績豊富な弁護士であれば、各種の法的アドバイスはもちろんのこと、あなたの代理人として会社と解雇の無効や金銭的補償などの交渉を行うことを依頼できます。

    また、会社が交渉に応じないため審判や裁判に移行した場合でも、一連の手続きや原告であるあなたの代理人として、解決に向け親身に動いてくれることが期待できます。まずは、お住まいや勤務先の近くで労働問題を取り扱っている弁護士を探し、相談してみることをおすすめします。

7、まとめ

現在は景況感がよく人手不足が深刻化していることもあり、大きな経営ミスや不祥事があった会社を除いて、以前と比べてリストラの話はあまり聞かなくなりました。しかし、いまだ不当解雇についての相談をいただくケースは少なくありません。今後のことはわからないものです。誰でもリストラの対象になることだってあり得るともいえます。

もしリストラにあってしまった場合は、それが正当なものなのかしっかりと確認してください。そして不当な場合は、労働者としての権利を守るため弁護士と相談しながら適性に対処する必要があるでしょう。ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が、あなたが不当にリストラされてしまいそうになっているとき、力を尽くします。
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