共働き夫婦が「すれ違い」で離婚。準備すべきこと・注意点
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共働きの夫婦は、起床・食事・就寝などの生活リズムが異なることが多いため、家庭内ですれ違いが生じるケースも少なくありません。また、子どもが生まれても、母親に育児が集中したり家事が一方に偏ったりすることで、不満がたまるのもよくあることといえます。
こうしたすれ違いによる不平不満が積み重なり、離婚を真剣に検討する方もいます。そんなとき、共働きの「すれ違い」を理由に離婚をすることは可能なのかと疑問に思ったり、離婚することで、財産分与や養育費など経済的な不安も大きくなったりする方もいるでしょう。
本コラムでは、共働き夫婦がすれ違いを理由に離婚をできるのか、その方法や注意点について、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。
1、「すれ違い」を理由に離婚は認められるのか
共働き夫婦の「すれ違い」を理由に、離婚をすることはできるのでしょうか。
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(1)お互いの合意があれば離婚は可能
共働き夫婦では、以下のような理由ですれ違いが生じることがあります。
- 起床、食事、就寝などの生活リズムの違い
- 家事や育児など家庭内労働の偏り
- 休日の過ごし方の違い
- 金銭感覚のずれ
- セックスレス
このような理由ですれ違いが大きくなり、離婚を決意した場合、まずは夫婦の話し合いで離婚を目指します。話し合いによる離婚のことを「協議離婚」といいますが、協議離婚ではどのような理由であっても夫婦の合意があれば離婚をすることができます。
そのため、すれ違いが理由であっても、夫婦の合意があれば協議離婚によって離婚を成立させることができます。 -
(2)離婚するかどうか迷っている場合には第三者の意見を聞く
共働き夫婦ですれ違いが生じたとしても、なかなか離婚を決意することはできないという方も少なくないでしょう。
離婚をするかどうか迷っているという場合には、親、友人、カウンセラーといった第三者の意見を聞いてみることも有効な手段といえます。第三者に客観的な意見をもらうことで冷静になれたり、夫婦関係の修復に向けたアドバイスもしてもらえたりするでしょう。
離婚の決意が固まれば、弁護士から離婚のアドバイスやサポートを受けることができますが、離婚に迷いがある状態では弁護士によるサポートは難しいため、注意が必要です。
2、話し合いでは離婚が成立しなかった場合の流れ|調停~裁判
夫婦の話し合いで離婚が成立しなかった場合には、裁判所を介した手続きで離婚を目指します。
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(1)調停離婚
夫婦の話し合いによって離婚の合意が得られなかった場合には、家庭裁判所に離婚調停の申立てを行います。離婚調停では、裁判所の調停委員が夫婦の間に入るため、二人で話し合いをするのが難しいという夫婦には向いている手続きといえます。
ただし、離婚調停は、あくまでも話し合いの手続きですので、調停を成立させるためには、夫婦が離婚に合意をしていることが必要になります。調停での話し合いでも離婚の合意が得られない場合には、調停は不成立となってしまいます。 -
(2)審判離婚
離婚調停が不成立になったとしても、裁判官が「離婚をするのが相当である」と判断した場合には、調停に代わる審判によって離婚が成立することがあります。このような手続きを「審判離婚」といいます。
審判離婚は、離婚調停でほぼすべての条件について合意ができたものの、調停を成立させるための期日に出頭できない場合やささいなことなどが原因で調停が不成立になりそうな場合に利用される手続きです。しかし、どちらか一方が異議申し立てをした場合には審判は無効になってしまいますので、実際にはほとんど利用されていません。 -
(3)裁判離婚
離婚調停が不成立になった場合には、最終的に裁判離婚によって離婚の成立を目指すことになります。裁判離婚では、協議離婚や調停離婚のように話し合いの手続きではなく、裁判官が離婚をするかどうかの判断をします。
そして、裁判官に離婚を認めてもらうためには、以下のような法定離婚事由が必要です。<法定離婚事由>- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 強度の精神病にかかり回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
共働き夫婦がすれ違いを理由に離婚をするためには、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを主張立証していく必要があります。
単に夫婦ですれ違いが生じているというだけでは、法定離婚事由としては認められません。すれ違いの結果、別居やモラハラ、不倫などが生じている場合には、それらの事情を具体的に主張立証していくことで離婚が認められる可能性があります。
3、共働き夫婦が離婚する際の注意点
共働き夫婦が離婚をする際には、財産分与・養育費・婚姻費用・親権など、いくつかの点で注意が必要です。
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(1)財産分与
共働き夫婦の場合、夫と妻の双方が仕事をして収入を得ていますので、比較的資産を形成しているケースが多いでしょう。そのため夫婦の共有財産が多い共働き夫婦では、離婚時の財産分与で揉める可能性がありますので注意が必要です。
特に、お互いの収入を合算して住宅ローンを組んでいるような場合には、離婚後の自宅やローンの扱いをどうするのか慎重に検討していかなければなりません。離婚したにもかかわらず、元配偶者のローンを負担し続けるケースもあります。住宅ローンの扱いが決まったら、弁護士のサポートを受けながら離婚協議書や公正証書に取りまとめておくと安心です。 -
(2)養育費
共働き夫婦の場合には、子どもの教育費にもある程度のお金をかけている家庭が多いかもしれません。離婚時の養育費は、子どもの人数・年齢、夫婦の収入に応じて決めるのが一般的ですが、裁判所が公表している養育費算定表では、一般的なケースを想定した養育費の金額相場となっています。
しかし教育費をかけていた場合には、一般的な養育費相場では、離婚後の子どもの学費、塾の月謝、習い事の費用などが足りなくなる可能性もありますので、しっかりと話し合いをして取り決めておくことが大切です。 -
(3)婚姻費用
離婚前に別居をする場合には、別居中の生活費として婚姻費用の請求をすることができます。共働き夫婦では、お互いに収入を得ていることから、婚姻費用の請求をしないこともありますが、相手よりも収入が低い場合や子ども連れて別居をする場合には、婚姻費用を請求することができますので、事前に請求が可能か調べておくとよいでしょう。
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(4)親権
夫婦ですれ違いが生じていても、子どもに対しては双方で愛情をそそいでいることもあります。その場合、離婚時の親権で揉めることがありますので注意が必要です。
子どもの親権を決める際には、親の事情だけではなく、子どもにとってどうするのが幸せであるかを踏まえて決めていくようにしましょう。
4、弁護士に相談するメリット
共働きの夫婦が離婚する場合、弁護士に相談をすることをおすすめします。
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(1)相手との話し合いを任せることができる
共働き夫婦では、お互いに仕事をしているため、すれ違いが多く離婚の話し合いが進まないこともあります。弁護士であれば、本人に代わって相手との話し合いができますので、多忙で時間が取れないという方は、まずは弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。
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(2)有利な条件で離婚できる可能性が高まる
共働き夫婦は、比較的、収入や資産も多い傾向にあります。そのため、離婚時に支払われる財産分与、養育費も高額になるケースが珍しくありません。
財産分与や養育費については、金額の相場や算定のルールなどがありますが、知識がなければ、不利な条件で離婚をしてしまうリスクがあります。
離婚後の経済的不安を少しでも解消するためには、有利な条件で離婚することが重要になりますので、話し合いの段階から弁護士に相談をすることが大切です。 -
(3)調停や訴訟のサポートが可能
夫婦の話し合いで解決することができない場合には、家庭裁判所の調停や訴訟によって解決を図ることになります。調停は、話し合いの手続きであるといっても初めての方では、調停委員に何を話せばよいのかわからないこともあります。
弁護士であれば調停に同行して、調停委員への対応やフォローをすることができますので、初めての調停でも安心して臨むことができます。
また、離婚裁判となれば煩雑な手続きや法的知識が必要になりますので、弁護士のサポートが不可欠です。話し合いの段階から弁護士に依頼をしていれば、調停や裁判を踏まえて有利に手続きを進めてもらうことができますので、離婚を決意したら、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。
5、まとめ
共働き夫婦では、さまざまな理由からすれ違いが生じることが多くなります。すれ違いが大きくなり夫婦生活を続けることが困難だと感じる場合には、離婚という選択肢もあるでしょう。
共働き夫婦が離婚をする場合には、財産分与や取り決める事項や内容が多岐にわたりますので、適切な条件で離婚をするためには離婚問題の解決実績のある弁護士のサポートが不可欠となります。
共働き夫婦で離婚をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでお気軽にご相談ください。仙台オフィスには男性弁護士だけでなく女性弁護士も在籍しており、ご相談いただきやすい環境を整えております。お気軽にお問い合わせください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています