配偶者に浮気された! 弁護士に相談する前に確認しておくべきこと
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仙台市における平成29年の離婚件数は、1763件でした。離婚の原因は人それぞれ異なりますが、この統計には離婚原因の代表格のひとつである「浮気」によるものも相応に含まれていると考えられます。
配偶者の浮気に気づくと、今後の対処について戸惑ってしまう人は多いものです。さらに「浮気」といっても民法上においては離婚や慰謝料の支払いについてさまざまな要件があります。対応を誤ると状況が改善できないばかりか、配偶者との関係が悪化するだけのことになりかねません。
したがって、配偶者の浮気により慰謝料などを請求すると決意したときは、ひとりで配偶者や浮気相手と向き合おうとすることはおすすめできません。まずは男女問題の解決に実績と経験のある弁護士に相談したほうがよいでしょう。
以下では、配偶者の浮気を弁護士に相談する前に確認しておくことが望ましいと考えられる諸点について、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。
1、そもそも浮気とは?
法律上の定義において、浮気は「不貞行為」と呼ばれる行為に該当します。不貞行為とは、「配偶者以外の異性と肉体関係がある交際を行うこと」を意味するのです。
浮気の定義とは、人それぞれ異なるものでしょう。しかし、単に配偶者以外の異性とふたりきりでデートしていたり、恋人同士のようなメールをしていたりするケースでは、民法上は直ちに浮気と認められない可能性が高いでしょう。
2、浮気へのペナルティーは何がある?
民法第752条では夫婦がお互いに守るべき基本的な義務として、同居義務・協力義務・扶助義務を規定しています。この基本的な義務には、婚姻している間は他の異性と浮気つまり肉体関係を持ってはならないとする貞操義務が含まれていると解されています。
ただし、この貞操義務に違反した人、つまり浮気した配偶者や相手方に対する、刑法上の罰則は存在しません。
それでも、「浮気」が貞操義務に反しているのでであれば、自分の配偶者および不倫相手の配偶者に精神的苦痛を与える不法行為であると認められます。そこで、民法上、浮気のような不法行為をした配偶者には、損害賠償つまり慰謝料を支払う義務が生じます。
別の言い方をすれば、配偶者の浮気によって精神的苦痛を受けたら、配偶者および浮気相手に慰謝料を請求することができるということです。
また、民法第770条によりますと、浮気は 離婚事由のひとつとして挙げられています。つまり、配偶者に浮気された人は、浮気を理由に配偶者と離婚することが認められているのです。
なお、浮気した配偶者に対する慰謝料請求と浮気した配偶者との離婚は、必ずしもセットではありません。離婚せずに慰謝料を請求することはもちろん、慰謝料を請求せずに離婚することも可能です。
3、浮気についてよくあるQ&A
配偶者による浮気への対処について、よくお受けする質問に回答しました。弁護士に相談する前に、確認してみてください。
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(1)肉体関係がないと浮気ではないから、離婚も慰謝料も請求できない?
民法第770条における離婚事由として、浮気のほかに「配偶者から悪意で遺棄されたとき」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」などが定義されています。
仮に肉体関係を持たない恋愛関係であったとしても、以下のような例などが重なり、明らかに夫婦関係を破綻させる原因があると認められた場合は、慰謝料の請求および離婚が認められる可能性があります。- 相手方とのデートやメール、電話などが結婚生活に支障をきたすほどの頻度であること
- 相手方とのデート代などに浪費しているため、配偶者に生活費を渡さないこと
- 相手方とのデートなどを優先させるために、仕事や家事育児などを放棄していること
- 上記3点のような状態が、長期化していること
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(2)浮気相手が同性だったら?
民法における浮気つまり不貞行為は、相手方が異性の場合であることを想定しています。したがって、浮気の相手方が同姓の場合は、それを理由として直ちに離婚や慰謝料の請求が認められることは難しいと考えられます。
ただし、少数ながら同姓間による浮気に対して慰謝料の支払いを認めた判例は存在しますので、最初からあきらめるべきではないでしょう。また、同性相手との浮気行為が上記(1)のように夫婦関係を破綻させた原因と認められた場合は、それを理由に離婚や慰謝料の請求が認められる可能性があります。 -
(3)風俗も浮気と認められるの?
配偶者が自らの意思で風俗店に赴き、性交渉あるいは疑似性的サービスを受けていた場合は、たとえサービスを提供した相手方と恋愛関係になくても不貞行為に該当し、慰謝料や離婚の請求が認められる可能性が残っていますので、まずは弁護士に相談してみましょう。
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(4)浮気相手にも慰謝料を請求できるの?
浮気は、配偶者と浮気相手による「共同不法行為」であり、民法第719条では共同不法行為をした当事者に対して「連帯してその損害を賠償する責任を負う」と定めています。
つまり、浮気という不法行為については、配偶者だけでなく不倫相手も悪いと考えるわけですから、浮気相手にも慰謝料を請求することは可能なのです。ただし、別々に請求して過剰な額の慰謝料を受け取ることはできません。 -
(5)慰謝料の相場は?
浮気に対する慰謝料の金額は、法律で具体的な基準が定められているわけではありません。したがって、当事者間による話し合いなどに基づき、ケース・バイ・ケースで決まることが現状です。
なお、もし裁判などで慰謝料の金額が争われた場合は、以下のような事情が考慮されます。- 配偶者や浮気相手の収入、資産状況、社会的地位など
- 浮気関係にあった期間および頻度
- 浮気に至るまでの夫婦関係
- 浮気に至った原因
- 配偶者の浮気を原因とする別居の有無
- 浮気が原因で受けた精神的損害または財産的損害の程度
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(6)時効はあるの?
浮気行為に対して慰謝料を請求する権利は、民法第724条の規定により以下の年数を経過すると時効となり消滅してしまいます。
- あなたが配偶者の浮気行為を知ったときから、3年間
- 配偶者に浮気行為があったときから、20年間
時効を中断するためには、配偶者や浮気相手に対し内容証明郵便で慰謝料の支払いを請求し、かつ6ヶ月以内に訴訟を提起することなどが必要です。慰謝料の請求は離婚したあとも可能ですが、できるかぎり早めに進めておくべきでしょう。離婚後では話し合いそのものが難しくなるケースは少なくありません。離婚前に金額を確定することをおすすめします。 -
(7)注意しておくべき点は?
離婚や慰謝料の請求は、浮気するような配偶者と関係を清算できることや、慰謝料という金銭が一時的に入るメリットがあります。しかし、収入や子どものことなど、今後の生活を考えれば離婚しないほうが合理的な場合もあります。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえながら、あなたや子どもにとって配偶者の浮気という不法行為にとるべき最良の選択肢は何なのか、感情的にならずにしっかりと考えてください。
4、弁護士相談に行く前に、しておいたほうがよい準備とは?
お金さえ支払えば何回でも、何時間でも相談を受けてもらえる弁護士もいるかもしれません。しかし、限られた時間やお金のことを考えるとそうはいかないという方は多いでしょう。
1回の相談をより充実したものにしたほうが、あなた自身もメリットは多いはずです。以下では、初めて弁護士に相談する前にまとめておいていただきたい点について、ご説明します。そのためには、あなた自身による事前の準備が何よりも大事です。
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(1)事実とあなたの考えを明確化しておく
配偶者や浮気相手に対する思い、離婚する・しない、親権、慰謝料、財産分与、養育費……あなたにはさまざまなお考えや疑問点があると思います。
初めて弁護士に相談する際は、あなたが配偶者の浮気を把握した経緯や事実、弁護士に質問したいこと、そしてあなた自身が「こういう理由だから、こうしたい」などというお考えを明確に説明できるように、それらをまとめたメモなどを用意しておくとよいでしょう。
特に、このようなメモを作ることは冷静に現状を見つめ直したり、あなた自身の考えを整理したりするための良い機会となります。 -
(2)証拠をそろえておく
あなたに配偶者が浮気をしているという確信があったとしても、それを配偶者が否定すれば慰謝料を請求する話は進みません。そのような中で配偶者に浮気という不法行為の事実を認めさせ、慰謝料や離婚を請求するためには、何よりも「証拠」が重要です。
特に裁判などに至った場合は、あなたの主張を裏付けるための証拠がもっとも重視されます。過去の事例から、浮気の証拠としては以下のようなものが有力といえます。- 浮気相手とラブホテルなどに出入りしている写真、動画
- ラブホテルなど浮気相手と肉体関係があったと考えられる場所の領収書など
- 肉体関係の事実があると認められる内容のメール、SNS、通話の録音、手紙など、浮気相手との通信記録
- 浮気相手との性行為の写真
証拠が入手できない状況下で配偶者に浮気の事実を問い詰めると、配偶者は浮気相手と共謀するなどして証拠を隠滅してしまうことも想定されます。証拠を確実に集めるためには、配偶者に気づかれないように行うことが最大のポイントとなるでしょう。浮気している配偶者に対して感情的になってしまうことがあるかもしれません。しかしここはぐっとこらえ、とにかく冷静になって先に証拠集めを進めてください。 -
(3)配偶者の財産状況を把握しておく
浮気に対する慰謝料、離婚したあとの財産分与、子どもを監護する場合の養育費などを相手方へ請求する際には、配偶者の財産状況を把握しておくと良いでしょう。
そのため、あなたと配偶者が保有している預貯金や株式などの金融資産、不動産、自家用車などの財産、そしてお互いの収入状況をすべてまとめておいてください。金額を合理的に見積もることができる財産については、金額もまとめておいてください。
5、まとめ
配偶者の浮気による慰謝料や離婚についてお悩みになる機会は、生涯のうちに何度も経験することはほとんどないでしょう。したがって、慰謝料の請求を決意したときには、弁護士のような専門家に相談することが最善の策です。
しかし、弁護士でもできることに限りがあります。相談できる時間にも費用にも上限があることは言うまでもありません。浮気に関する弁護士相談をより効果的なものにするためには、あなた自身による事前の確認や準備が重要なのです。
まずはひとりで悩まず、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスまでご連絡ください。ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスでは、事前にご確認いただきたい事項についても丁寧に説明します。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています