離婚調停中に配偶者の不貞行為が発覚! 慰謝料を請求できる可能性は?
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仙台市が公表している保健統計年報によれば、平成28年の離婚件数は1752件となっており、離婚が決して珍しい事例ではないことがうかがえます。夫婦の話し合いで離婚に関する諸問題が解決せず、離婚調停にまで至るケースもあるでしょう。
離婚調停中、これまでは気づかなかった配偶者の不貞行為が発覚したというケースもあるでしょう。そのとき、これまで提示していた条件を検討し直し、慰謝料を請求できないか考えたいと思うのではないでしょうか。しかし、慰謝料請求が認められるためには何が求められるのかを、知っておく必要があります。
今回は、離婚調停中のタイミングで配偶者の不貞行為が疑われる場合の慰謝料を請求できる可能性について、仙台オフィスの弁護士が解説します。
1、不貞行為と慰謝料について
不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由な意思のもと性的関係を結ぶことを指します。ふたりきりで食事をしていた、手をつないで歩いていたというだけでは直ちに不貞行為と認められない点に注意が必要です。
しかし、不貞行為をしていたことが明らかであれば、法律上の離婚原因にも該当しますし、不法行為として損害賠償責任が認められることがあります。法律上の離婚原因に該当すれば、不貞行為をした本人が離婚に合意しなくても、あなたが望めば裁判で離婚が認められることになります。たとえ離婚調停中であっても、夫婦である以上、不貞行為に基づく損害賠償請求が認められることはあるでしょう。
2、不貞行為の時期、それを知った時期はいつか
離婚調停中に、不貞行為を根拠にした慰謝料請求が認められるためには、不貞行為の時期やそれを知った時期が重要になります。
なぜならば、該当の不貞行為により、婚姻関係の破たんし、精神的苦痛が生じたと判断されないと、慰謝料が認められないおそれがあるためです。離婚原因が認められない可能性があります。
したがって、婚姻関係が破たんしていると認められている夫婦のどちらかが他の異性と関係をもったとしても、慰謝料などが認められない可能性があります。
3、慰謝料請求が難しいケース
前述のとおり、婚姻関係が破たんしたあとに不貞関係が始まったことが明らかであれば、慰謝料請求は難しくなります。たとえば、調停前からすでに別居しており、その期間が長期化している場合、すでに婚姻関係が破たんしていたと認められる場合があります。別居期間中に不貞行為があったとしても、慰謝料請求が認められないことがあります。
離婚そのものについては双方に異論はなく、財産分与や養育費など別の争点において離婚合意に至っていない場合もあります。この場合は最終決着がついていないだけで、もはや夫婦として修復不可能であり、関係性が破たんしていると考えられることがあります。
また、すでに離婚について合意しているのであれば、婚姻関係が破たんしていることは明らと評価されることがほとんどでしょう。このような場合、慰謝料請求が難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
そのほかにも、本人が不貞行為の存在を否定し、慰謝料を請求する側が不貞行為があった事実を証明できない場合は、慰謝料請求が認められないことがあるでしょう。
個々の事例によって判断が異なることもありますので、判断が難しいときは弁護士のアドバイスを求めることもひとつの方法です。
4、慰謝料請求が可能なケース
離婚調停中に不貞行為が発覚したケースであっても、慰謝料請求が可能なケースがあります。
たとえば、あなたが婚姻の継続を望む立場で離婚調停が行われている場合などであれば、調停や裁判において、婚姻関係の破たんがないとされる可能性があります。
したがって、不貞行為が婚姻関係を破たんさせた原因になったとして、慰謝料請求が認められる可能性があると言えます。不安がある場合は弁護士に相談することをおすすめします。
5、婚姻関係を継続させる場合の注意点
慰謝料を請求し、かつ婚姻関係を継続させたい方もいるでしょう。相手が離婚調停を起こしただけで、自分自身は離婚するつもりはないというケースです。
このときは、冷静な判断が必要です。たとえば、慰謝料を求めてきたあなたに対し、相手の愛情が戻ることはないかもしれません。離婚は回避できたとしても、配偶者が別居の既成事実を作るために家を出ていってしまう、あるいは婚姻期間中のあなたの落ち度を徹底的に攻撃してくるかもしれません。
このあたりは、可能性の問題ですし、相手がどこまで歩み寄ってくれるのかにもよります。相手の離婚意思が強固な場合に慰謝料を請求してしまうと、さらに婚姻関係を継続させようとしても関係修復がより困難になるでしょう。
難しい問題ですが、お気持ちやご家族の状況などを踏まえて冷静に判断するようにしましょう。
6、慰謝料を請求するなら証拠が必要
慰謝料を請求するためには不貞行為の証拠が求められます。証拠とは、「肉体関係があったと推察できる証拠」です。ふたりでデートをしている写真や、頻繁にLINEのやり取りをしているという程度では不貞行為とは認められないこともあります。
具体的には、次のようなものが証拠となり得ます。
- ふたりでラブホテルに出入りしている写真
- 性交渉中の動画、写真
- ラブホテル利用の領収書やクレジットカードの明細書
- 配偶者や不貞相手が不貞を認める発言をしたときの録音
- 肉体関係があったと推察できるLINEのやり取りや電話の通話記録
離婚調停中のタイミングで慰謝料請求に持ち込むためには、「いつ」あったのかを示す日時も重要です。日時が不明確な場合、婚姻関係が破たんした後のものだなどと言い逃れされてしまうおそれがあるためです。
これらの証拠は自分で集めることも可能です。しかし、冷静さを欠くばかりに違法な集め方をしてしまうことや、証拠能力が低いものばかりになってしまうリスクがあります。証拠を集める際には、あらかじめ弁護士にアドバイスをもらうことが望ましいでしょう。
7、婚姻関係破たんを証明する責任はどちらにある?
離婚調停中の段階になった今、婚姻関係破たん前の不貞行為を明らかにして慰謝料を請求することは、容易ではないことをご理解いただけでしょう。手間を考えれば、不貞の事実を追及することは意味がないように思えるかもしれません。
もっとも、婚姻関係が破たんしたことの立証責任は、不貞をした張本人である配偶者側にあります。
つまり、配偶者自身が婚姻関係が破たんしたことを立証できなければ、不貞行為が婚姻関係破たんの原因になったと認められる可能性があります。したがって、慰謝料を受け取れる可能性があるわけです。
最初から諦めることはありません。不貞行為の事実をつかんでおくだけでも意味があります。不貞行為があったと疑われる場合には、弁護士に相談し、慰謝料請求が可能かどうかのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
8、まとめ
今回は、主に離婚調停中に配偶者の不貞が発覚した場合の慰謝料請求について解説してきました。離婚調停中のタイミングであっても、婚姻関係破たん前の不貞行為であれば慰謝料請求が認められる可能性があります。
しかし、婚姻関係が破たんしていないことや不貞行為の存在・時期などについて、証拠でもって説明することは簡単ではありません。できるだけ早期に弁護士へ相談し、適切に対処することがよいでしょう。
ベリーベスト法律事務所・仙台オフィスでも相談をお受けしております。まずはご連絡ください。離婚問題に多く対応した経験を持つ弁護士が、慰謝料請求を含めた離婚問題の解決に力を尽くします。
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