【後編】児童買春をしてしまった……自首した方がいい? 弁護士が回答します
- 性・風俗事件
- 児童買春 自首
前編では、児童買春で有罪になったときの罪の重さや、自首したほうがよいと言われる理由について、仙台オフィスの弁護士が回答しました。
後半も引き続き、児童買春をしてしまったあとできることについて、自首が成立する要件や示談の解説、逮捕後の流れなどについて、弁護士が解説します。
3、自首が成立する要件とは?
ただし、自首が成立するためには、いくつかの要件が必要とされています。
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(1)捜査機関に発覚する前であること
刑法第42条では、自首が成立し罪が軽減される要件として「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したとき」としています。
この「捜査機関に発覚する前」とは、裁判例よりますと以下いずれかのことをいいます。- 捜査機関に犯罪の事実が、まったく発覚していないこと
- 犯罪事実は発覚しているが、その犯人は誰なのか、発覚していないこと
つまり、自身がすでに指名手配されていたような場合などでは、警察に出頭したとしても自首として扱われないのです。
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(2)捜査機関に対して自発的に申告していること
当然のことですが、捜査機関に対して自身の犯した犯罪の事実を自発的に申告していなければ、自首ではありません。
たとえば、捜査機関による取り調べや職務質問などにおける追及に対して、単に犯罪事実を自白していただけでは自首とはいえません。 -
(3)訴追など、自身の処分を求めていること
犯罪の事実は申告しているものの、それについて刑事責任を認めない場合は自首として扱われません。
例えば、申告が、犯罪事実の一部を隠すためのようなものや、自己の刑事責任を否定するようなものであった場合には、基本的には自主には該当しません。
4、被害者との示談も重要
示談とは、簡単に言いますと、争いごとについて、被害者と話し合いで解決することです。児童買春のように被害者へ精神的苦痛が生じていると考えられる事案では、釈放や不起訴処分、あるいは執行猶予付き判決など刑の軽減を目指すために、被害者との間で早いうちに示談交渉を成立させることが大切であることもあります。ただ、児童買春の被害者は未成年ですので、被害者の両親と示談交渉することになるでしょう。
もし判決が確定する前に被害者側との示談交渉が成立すれば、それを考慮してもらえるケースもあるでしょう。結果、起訴や懲役刑は回避できる可能性が高くなると考えられます。
5、逮捕された場合のその後の流れ
事案の重さ次第では、自首しても逮捕されてしまうことがあるでしょう。しかし、その後の過程で自首と示談成立の有無は起訴・不起訴や量刑に大きな影響を及ぼします。
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(1)逮捕
被疑者として警察に逮捕されると、起訴か不起訴かが決まるまででも最長23日にわたって留置所などで身柄拘束されることがあります。さらに、裁判の期間を含めると長期間の勾留となる可能性もあるでしょう。
勾留期間中は、外出もメールも電話もできません。また、弁護士以外の接見(面会のこと)が禁止される「接見禁止」が付けられ、ご家族であろうと面会ができなくなることもあります。逮捕によって受ける影響は、公私にわたって大きなものになってしまうことは否定できません。
ただし、自首や示談が成立しているなどの理由から検察官が容疑者在宅の捜査・起訴で十分と判断した場合、「逮捕」などの身柄の拘束を受けないこともありえます。 -
(2)送検
警察による逮捕中の取り調べが終わり、逮捕後48時間以内に身柄が検察官へ送られます。これを「送致」といいます。事件の内容、および自首や示談交渉成立が考慮された場合、送致後に釈放されることもあるでしょう。
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(3)起訴
起訴されると刑事裁判の被告となり、裁判にかけられることになります。これは在宅起訴でも同様です。
日本における刑事裁判では、起訴されてしまうと高確率で有罪となります。有罪判決が確定すると同時に、前科がつくことになってしまいます。したがって、早期の自首や被害者との示談成立により不起訴処分を得ることが何よりも重要なのです。
6、弁護士に依頼するメリット
あなたが児童買春をしてしまったのであれば、できるだけ早いうちに今後の取るべき対応について弁護士に相談してください。
弁護士はあなたが自首する場合に捜査機関に対してどのように説明すべきかということなどについて、あなたの立場にたって親身にご説明します。さらには、被害者と連絡が取れる場合であれば、自首する前に示談の成立を目指すこともありえます。被害者への謝罪と賠償をいち早く行うことで、事件発覚を回避できる可能性もあるでしょう。
なお、弁護士に依頼していれば、自首する際も警察まで同行することもできます。その際は、逮捕・勾留を回避するために捜査機関に対して逃亡や罪証隠滅のおそれはないと説明することもありえます。
また、逮捕されたとしても弁護士はあなたの早期釈放に向けて弁護活動を行います。特に児童買春事件の場合、早期の釈放や不起訴処分、あるいは刑の軽減を目指すためには、できる限り早いうちに被害者との間で示談交渉を成立させることが重要になってくるケースがあります。
ただし、弁護士に依頼せず,個人が被害者と示談交渉を行うことは、心情面などを考慮すると極めて難しいでしょう。そもそも、捜査機関が被害者の住所・連絡先などを教えてくれるとは限りません。
弁護士を通じて、被害者の連絡先を捜査機関から教えてもらい、早期に被害者と示談交渉を開始できるよう進めていくのが良いでしょう。被害者側との示談交渉に豊富な経験と実績をもつ弁護士であれば、被害者の心情を踏まえた示談交渉と、さらに逮捕されてしまった場合でも早期釈放につながるような弁護活動が期待できるのです。
7、まとめ
もし児童買春という罪を犯してしまったら、早いうちに自首したうえで被害者との示談交渉をまとめることが、不起訴や早期の釈放などを得る上で,重要となることがあることはご理解いただけたと思います。その際、弁護士は心強く、そして頼りになる存在となるでしょう。
ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士は、あなたや被害者の状況を考え、あなたにとって最良の結果となるように尽力いたします。ぜひお気軽にご相談ください。>前編はこちら
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