【前編】オレオレ詐欺で受け子をやってしまった! 逮捕された場合の量刑や流れとは?

2019年03月26日
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【前編】オレオレ詐欺で受け子をやってしまった! 逮捕された場合の量刑や流れとは?

「手軽に稼げる」といった話に誘われ、軽い気持ちでオレオレ詐欺に手を染める若者が少なくありません。特にかけ子や受け子は比較的簡単にできるため、大学生や高校生がアルバイト感覚で関わってしまうこともあります。

ですがオレオレ詐欺は立派な犯罪。一度でも行うと逮捕される可能性があります。

仙台市でもオレオレ詐欺やその未遂事件が頻発しており、定期的に宮城県警から注意喚起されています。

ではもしご自分やご家族がオレオレ詐欺の受け子をやってしまうと、どんな罪で逮捕されるのでしょうか? 実刑は避けられないのでしょうか? 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、オレオレ詐欺とは?刑罰は?

オレオレ詐欺という言葉は毎日のようにテレビや新聞で目にします。ではどのような犯罪で、どの程度の刑罰が課されるのでしょうか。まずは基本事項を確認していきましょう。

  1. (1)オレオレ詐欺とは

    オレオレ詐欺とは親族や警察官、役所の職員を装って電話をかけるなどして、現金やキャッシュカードをだまし取る犯罪です。

    「オレだよオレ、金が必要なんだ。助けてくれ」と息子などを装って被害者宅に電話をかけるケースが多かったため「オレオレ詐欺」と呼ばれるようになりました。
    還付金詐欺や架空請求詐欺と同じ「振り込め詐欺」の一種です。

    平成16年の警察白書によると、平成15年以降に被害が目立ちはじめました。当初は息子や親族を装い、交通事故の示談金などの名目で現金を振り込ませるケースが多かったようです。

    その被害は徐々に拡大し、警察庁によると平成29年のオレオレ詐欺を含む特殊詐欺の認知件数は1万8212件、被害額は約394億円にものぼりました。
    中でもオレオレ詐欺が最も多く、認知件数は約8500件、被害額は約208億円です。

  2. (2)受け子はどんな罪に問われる?

    一般的なオレオレ詐欺では、主として、次のような役割分担が行われています。

    • 主犯格:かけ子や受け子に指示をするなど、犯罪を主導する
    • かけ子:被害者宅に電話をかけてだます
    • 受け子:被害者宅を訪問したり待ち合わせをしたりして、現金やカードを受け取る
    • 出し子:カードを使って口座から現金を引き出す


    主犯格には、「詐欺罪」や「組織犯罪処罰法」などの適用が予想されます。

    そしてかけ子と受け子には「詐欺罪」、出し子には「窃盗罪」などが適用されます。
    もし被害者宅で警察官が待ち伏せしているなど実際に被害がなかったとしても、「詐欺未遂罪」などが成立します。

  3. (3)詐欺罪の刑罰は重い

    詐欺罪の刑罰は、刑法第246条で以下のように規定されています。
    「人を欺いて財物を交付されたものは、10年以下の懲役に処する」

    詐欺罪に罰金刑はなく、懲役刑のみです。このことからも、重い犯罪であるということがわかります。

    またオレオレ詐欺の被害がなかなか減らず、犯罪グループなどの資金源となっていることも多いことから、警察の取り締まりが強化されています。犯罪抑止のため、厳罰化の傾向にもあります。

    主犯格に比べて、受け子の役割は小さいように思えるかもしれません。
    ですが被害者と直接接触して現金やキャッシュカードをだまし取っており、その罪は決して軽くないのです。

    また一度受け子をしてしまうと味をしめ、その後何度も受け子を担ってしまうことも多いもの。複数事件で起訴されれば、執行猶予がつかずに実刑となる可能性も高くなります。

  4. (4)詐欺とは知らなかったらどうなる?

    夫逮捕された受け子は「詐欺だとは知らなかった」と弁明することがあります。

    ですがこれほどオレオレ詐欺が横行し、テレビなどで報道されることも多いなか、1ミリも犯罪と思っていなかったという話はなかなか通用しません。

    たとえ主犯格に詳しく聞かされていなかったとしても、オレオレ詐欺とどこかで気づいていたと捜査側はとらえるでしょう。

    もちろん本当に知らなかった、気づかなかったのに、知っていたと供述する必要はありません。その場合はすぐに弁護士に相談しましょう。

2、オレオレ詐欺で逮捕された後の流れ

一般的にオレオレ詐欺では警察が自宅に来たり、現金の受け取り現場で待ち伏せしていたりして逮捕されます。突然の逮捕が多いですが、中には「受け子をしていた仲間が逮捕された。次は自分かもしれない」と、戦々恐々としている方もいるかもしれません。
では逮捕されると、どうなってしまうのでしょうか?

  1. (1)警察による逮捕後の流れ

    オレオレ詐欺で警察に逮捕されると、主として、次のような流れで捜査が進みます。

    • 警察による逮捕
    • 検察官に送致
    • 検察官による勾留請求
    • 勾留請求が認められると、10日間の勾留
    • 勾留延長が認められると、さらに10日間の勾留
    • 検察による起訴・不起訴の判断
    • 起訴の場合、裁判
    • 裁判の判決、実刑の場合は刑務所へ


    勾留とは、簡単に言うと捜査機関に身柄を拘束されることです。逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合には、身柄がおさえられて捜査が進められることが多いです。

    オレオレ詐欺は組織的に行われていることが多いため、勾留や勾留延長が認められる可能性が高いでしょう。また詐欺グループの他のメンバーとの口裏合わせを防止する目的で接見禁止処分が出ることも多く、基本的に弁護士以外とは会えなくなることが多いです。

  2. (2)逮捕による影響は多方面に及ぶ

    オレオレ詐欺の被害がなかなか減らないため、犯罪抑止のために逮捕されると実名で報道されることが少なくありません。

    親戚や友人、近所にも知られることになり、家族もつらい思いをすることになるでしょう。学校を退学処分になったり、仕事を解雇されたりする可能性もあります。

    また有罪判決を受ければ前科がつき、刑務所に入るなど、人生が一変してしまいます。

    「お金が欲しいから」「簡単に稼げると聞いたから」と軽い気持ちで手を出すと、ご自分や家族の人生に計り知れない影響を及ぼしてしまうのです。
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