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カルタヘナ法違反で罪に問われる理由と刑事事件化した後の流れ

2023年10月17日
  • その他
  • カルタヘナ法違反
カルタヘナ法違反で罪に問われる理由と刑事事件化した後の流れ

令和5年3月、赤く発光するように遺伝子を組み換えたメダカを未承認で飼育・販売し、カルタヘナ法違反容疑で千葉県在住の会社員など5人が逮捕されたとの報道がありました。カルタヘナ法違反による逮捕は、これが全国で初めてのことです。

カルタヘナ法は、正式名称を「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」といいます。遺伝子組換え(遺伝子組み換え)等に関する規制が定められており、違反した場合には逮捕・起訴されて刑罰を科される可能性があるため、注意が必要です。

本コラムでは、カルタヘナ法によって禁止されている行為、違反時に科される刑罰や刑事手続きの流れなどについて、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、カルタヘナ法とは?

カルタヘナ法とは、日本が締約国となっている「カルタヘナ議定書(生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書)」を実施するために立法された法律です。

カルタヘナ議定書は、生物の多様性の保全および持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性がある遺伝子組換え生物等(Living Modified Organism=LMO)について、安全な移送・取り扱いおよび利用分野における保護確保を目的としています。

カルタヘナ法も、上記のカルタヘナ議定書の目的や具体的なルールを踏襲して、日本国内において遺伝子組換え生物等の移送・取り扱い・利用を規制するために制定されました。

参考:「カルタヘナ議定書(生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書)」(外務省)

2、カルタヘナ法違反の行為・罰則

遺伝子組換え生物等に関してカルタヘナ法の規制に違反すると、刑事罰の対象となる可能性があります。

  1. (1)カルタヘナ法によって規制される行為

    カルタヘナ法では、遺伝子組換え生物等の「第一種使用等」「第二種使用等」「輸入」「輸出」が、以下のとおり規制されています。

    ①  第一種使用等(同法第2条第5項)
    遺伝子組換え生物等の環境中への拡散を防止する措置を講じずに行う使用等※です。
    ※使用等:食用・飼料用その他の用に供するための使用・栽培その他の育成・加工・保管・運搬・廃棄、およびこれらに付随する行為(同条第2項)

    遺伝子組換え生物等の第一種使用等を行う際には、その種類ごとに第一種使用等に関する規程を定め、主務大臣の承認を受けなければなりません(同法第4条)。

    ② 第二種使用等(同法第2条第6項)
    遺伝子組換え生物等の環境中への拡散を防止する措置を講じた上で行う使用等※です。

    遺伝子組換え生物等の第二種使用等を行う際には、以下のいずれかの措置を執らなければなりません(同法第12条、第13条)。
    • 当該第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が主務省令で定められている場合には、当該拡散防止措置
    • 当該第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が主務省令で定められていない場合には、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置

    ③ 輸入
    生産地の事情その他の事情からみて、その使用等により生物多様性が損なわれるおそれがないとはいえない遺伝子組換え生物等を、そうであると知らないで輸入するおそれが高い場合などには、輸入の都度主務大臣に対する届け出が義務付けられます(同法第16条)。

    ④ 輸出
    遺伝子組換え生物等を輸出する場合には、原則として輸入国に対し、輸出しようとする遺伝子組換え生物等の名称など所定の事項を通告しなければなりません(同法第27条)。
    また、輸出する遺伝子組換え生物等の包装・容器・送り状のいずれかには、使用等の態様など所定の事項を表示する必要があります(同法第28条)。

    ただし、以下のいずれかに該当する場合には、上記の事前通告および表示の義務が免除されます(カルタヘナ法施行規則第36条)。
    • カルタヘナ議定書の締約国以外の国に対して輸出する場合
    • 輸入国における使用等に当たり、当該輸入国が定める基準に従い拡散防止措置が執られる場合
    • 食用、飼料用または加工用として輸出する場合
    • 輸入国がバイオセーフティに関する情報交換センターに対し、事前通告の免除を通報している遺伝子組換え生物等を輸出する場合
    • 輸入国にとって最初の遺伝子組換え生物等の輸入に該当しない場合(同じ遺伝子組換え生物等の2回目以降の輸入)


    また、遺伝子組換え生物等の譲渡・提供・使用等の委託を行う者は、相手方に対して主務省令所定の事項に関する情報を提供しなければなりません(同法第26条)。

    これらの規制に違反した場合は、主務大臣による措置命令(行政処分)の対象になるほか(同法第10条、第14条など)、直ちに刑事罰の対象となる可能性があります。

  2. (2)カルタヘナ法違反の行為に科される罰則

    遺伝子組換え生物等に関する第一種使用等・第二種使用等との関係で、以下の行為は刑事罰の対象とされています。

    違反行為の内容 根拠条文 法定刑
    • 主務大臣による措置命令に違反する行為
    カルタヘナ法第38条 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金または併科
    ※両罰規定により、法人にも100万円以下の罰金(同法第45条)
    • 主務大臣の承認を受けずに第一種使用等をする行為
    • 偽りその他の不正の手段により第一種使用等の承認等を受ける行為
    同法第39条 6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金または併科
    ※両罰規定により、法人にも100万円以下の罰金(同法第45条)
    • 学識経験者や登録検査機関の役員、職員等による秘密保持義務違反等
    同法第40条 6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
    • 生物検査の業務停止命令違反
    同法第41条 6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
    • 主務省令で定められていない拡散防止措置について、主務大臣の確認を受けずに第二種使用等をする行為
    • 偽りその他の不正の手段により、第二種使用等の確認を受ける行為
    • 届け出をせず、または虚偽の届け出をして遺伝子組換え生物等を輸入する行為
    • 遺伝子組換え生物等の譲渡、提供、使用等の委託に際して、主務省令所定の情報を提供せず、または虚偽の情報を提供する行為
    • 事前通告をせず、または虚偽の通告をして遺伝子組換え生物等を輸出する行為
    • 主務省令所定の事項を表示せずに遺伝子組換え生物等を輸出する行為
    同法第42条 50万円以下の罰金
    ※両罰規定により、法人にも100万円以下の罰金(同法第45条)
    • 主務大臣に対する報告義務違反
    • 立ち入り検査等の拒否、妨害、忌避
    • 質問に対する陳述の拒否、虚偽陳述
    • 登録検査機関の役員、職員による帳簿保存義務違反、無許可での生物検査業務の全部廃止、立ち入り検査の拒否等、陳述拒否等
    同法第43条 30万円以下の罰金
    ※両罰規定により、法人にも100万円以下の罰金(同法第45条)
    登録検査機関の役員、職員による以下の行為
    • 帳簿の保存義務違反
    • 無許可での生物検査業務の全部廃止
    • 立ち入り検査等の拒否、妨害、忌避
    • 質問に対する陳述の拒否、虚偽陳述
    同法第44条 30万円以下の罰金

3、カルタヘナ法に関する刑事手続きの流れ

カルタヘナ法違反の疑いで警察から連絡が来た場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。

<逮捕される場合>
① 逮捕・勾留請求
逮捕から72時間以内に検察官が勾留請求を行い、罪証隠滅や逃亡のおそれがあると認められれば、裁判官により勾留状が発せられます。
勾留請求が行われない場合には釈放されますが、捜査は続くことは多々あります。

② 起訴前勾留~起訴
最長20日間の起訴前勾留期間中に、検察官が被疑者を起訴するかどうか決定します。
不起訴となった場合や、略式命令で罰金が科された場合には、その時点で釈放されて刑事手続きは終了です。

③ 起訴後勾留~公判手続き
検察官に起訴された場合は起訴後勾留に移行し、保釈請求が認められるようになります。
起訴から1~2か月後をめどに公判手続き(刑事裁判)が開催され、有罪・無罪や量刑が審理されます。

④ 判決・刑の執行
審理が熟した段階で、裁判所は判決を言い渡します。判決に対しては控訴・上告が認められ、判決が確定すれば刑が執行されます(執行猶予が付されることもあります)。


<逮捕されない場合>
① 任意の取り調べ
警察官や検察官の要請により、任意の取り調べが行われます。

② 起訴
捜査が熟した段階で、検察官が被疑者を起訴するかどうか決定します。不起訴または略式命令の場合は、刑事手続きが終了します。

③ 公判手続き~判決・刑の執行
公判期日には、裁判所の呼び出しに応じて自ら出頭します。
その後の手続きは、逮捕される場合と同様です。

4、警察から連絡が来たら弁護士に相談すべき理由

カルタヘナ法違反の疑いで警察から連絡を受けたら、速やかに弁護士へご相談ください。

弁護士は以下のようなサポートを通じて、刑事手続きからの早期解放やストレス軽減のために尽力します。

① 取り調べに関するアドバイス
被疑者に認められた黙秘権を踏まえて、取り調べに臨む際の心構えや注意点などをアドバイスします。

② 不起訴を目指す弁護活動
罪状が軽微であれば、不起訴となる可能性が十分にあります。検察官に対して良い情状をアピールするなど、不起訴を目指す弁護活動を展開します。

③ 家族との連絡窓口
被疑者が逮捕された場合には、いつでも自由に被疑者と接見できる弁護士が家族との連絡窓口を担当し、精神的な負担を軽減します。

5、まとめ

カルタヘナ法に違反して遺伝子組換え生物等の使用等を行うと、刑事罰の対象となる可能性があります。もしカルタヘナ法違反の疑いで警察から連絡が来たら、すぐに弁護士へ相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスは、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けております。ご自身やご家族がカルタヘナ法違反を疑われた場合には、当事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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