不法投棄の量刑は重いって本当? 初犯の場合はどうなるか弁護士が解説
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不法投棄とは、一般的に、法律等に反して廃棄物を捨てる行為などのことを指します。仙台市でもさまざまな対処方法が考えられており、産業廃棄物適正処理監視指導員などが設置されています。
日常生活でもゴミの処分に困るケースは多く存在すると思います。しかし、そのような際に「このくらいなら大丈夫だろう」と安易な気持ちで投棄してしまうと、のちのち逮捕されて、罰せられる可能性もあるため注意が必要です。
そこで今回の記事では、不法投棄の概要や罰則規定について解説します。仙台市内において実際に身内が不法投棄で逮捕されてしまった場合は、本記事で記載している対処方法を参考に、事件の早期解決に向けた対策をとりましょう。
1、不法投棄とは
街や山道には「不法投棄禁止」という看板がかかげられていることもあり、多くの方がゴミを定められた場所以外に捨てることはルール違反だと認識しているはずです。しかし、法律等の規定まではご存じないという方も多いのではないでしょうか。ここでは不法投棄について解説します。
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(1)不法投棄と法律
不法投棄とは、廃棄物を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に反して処分する行為のことをいいます。生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的としており、廃棄物の不法投棄を抑制する法律です。
廃棄物とは、ゴミや粗大ゴミ、燃え殻、ふん尿、動物の死骸や汚物などの不要物です。これらを指定された所以外に捨てる行為は違法です。 -
(2)不法投棄で逮捕されるケース
軽い気持ちで行ってしまった行為でも、状況によっては警察に逮捕、起訴され、有罪となる可能性があります。具体的な不法投棄発覚の要因には、以下のようなものがあります。
●廃棄物の中に混ざっていた個人情報で特定される場合
廃棄物の中に個人名や住所などが書いてある場合や、バイクや車などの場合は登録情報から身元が発覚する場合があります。
●巡回パトロール中の警察官などに発見される場合
不法投棄は警察も警戒しており、巡回中の警察、もしくは民間人に現行犯で逮捕される可能性もあります。
●投棄先の土地の所有者に見つかる場合
防犯カメラの映像で特定され、警察に通報されるケースもあります。
●違法業者へ委託したら不法投棄となった場合
産業廃棄物の処理にはコストがかかります。この費用を惜しんで、適正ではない価格で業者に処理を頼んでしまうと、結果的に不法投棄され、依頼主も罰せられる可能性があります。
2、不法投棄の量刑
不法投棄で逮捕されてしまうと、どのような罰を科されるのでしょうか。ここでは、不法投棄で逮捕された場合の量刑について解説します。軽く捉える方も多いですが、実際には重い罪に問われることになります。
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(1)不法投棄の罰則
不法投棄の罰則は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の第25条で定められています。罰則は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金または併科」です。実際の量刑は事件の悪質性や前科前歴の有無などを考慮し、この範囲内で決まります。決して軽い罰ではありません。
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(2)執行猶予の可能性
裁判で実刑判決を受けると、長期間刑務所に収監されてしまいます。その間は会社や学校へ行くこともできず、日常生活へ多大な影響をおよぼします。もっとも、初犯で悪質性が低いケースであれば、執行猶予がつく可能性は十分考えられます。しかし、行為が悪質な場合は、初犯でも実刑となる場合もあるでしょう。
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(3)個人と法人による違い
不法投棄するのは、何も個人に限ったことではありません。もしも株式会社や社団法人などの法人格を持っている者が業務上の廃棄物を不法に廃棄した場合は、その法人に対して「3億円以下の罰金」が科されます。3億円という金額からも、不法投棄がいかに重い犯罪であるかがご理解いただけるでしょう。
3、不法投棄で逮捕された後の流れ
実際に不法投棄をして警察に逮捕されてしまった場合、その後の手続きはどのように進むのでしょうか。ここでは、逮捕後の流れについて解説します。
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(1)逮捕
まず、逮捕されると、警察施設に身柄を拘束されて取り調べをうけることになります。警察での取り調べの時間は48時間以内となり、そこで釈放するか、検察官に送検すべきかの判断がされます。
警察が検察官に事件を送致した場合、今度は検察官からの取り調べをうけることになります。検察官のおいては24時間以内に起訴または不起訴の判断を下す必要があります。この最大72時間の間は、身内の方でも面会をすることはできません。 -
(2)勾留
検察官が、身柄の拘束をしたままのさらなる取り調べが必要だと判断した場合、裁判所に勾留請求がされます。これが認められると原則10日間、追加で10日間、最大20日間勾留される可能性があります。
勾留は、証拠隠滅の可能性がある場合や逃亡の危険があると判断されるケースになどに認められる身柄拘束です。身元引受人がいない場合や、組織的な不法投棄を疑われている可能性があるときなどは勾留されてしまう可能性は否定できません。 -
(3)刑事裁判
検察官の取り調べの結果、起訴という処分が下ると刑事裁判に移行します。裁判は、検察が相当の証拠を準備して臨みますので高確率で有罪判決となり、無罪判決を得るのは非常に難しい状態となります。裁判の結果によって、刑が科されます。
不起訴となれば、裁判によって罪を裁かれることもなく、前科もつきません。
4、不法投棄事件を弁護士へ相談するメリット
もしも家族が不法投棄で警察に逮捕されてしまったら、一刻も早く弁護士に相談することをおすすめします。その理由を以下に具体的に述べていきます。
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(1)取り調べのアドバイス
前述したように、逮捕されてから最大72時間は身内の方は面会できません。その間、一人で警察に罪を追及されることになり、つい、やってもいないことを自白してしまい、裁判に発展して罪が重くなってしまう可能性があります。
そうならないよう、すぐに弁護士に相談して面会をし、取り調べで不利にならないための対応方法を助言してもらうようにしましょう。弁護士の適切な助言によって、勾留など長期にわたる身柄拘束を回避できるケースは少なくありません。早期釈放の可能性が期待できます。 -
(2)被害者との示談交渉
不法投棄事件において、早期の釈放や不起訴を得るためには、投棄した土地の管理者や投棄する際に侵入した建物の所有者などと、示談を成立させることも効果的なこともあります。示談成立の有無は、検察官による処分決定の際や裁判官による量刑判断の際にも、大きな材料となるからです。
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(3)裁判のサポート
裁判に発展した際、重すぎる処罰を下されないよう、各種書類作成はもちろん、依頼人の弁護を行います。
刑事事件においては、原則公開される刑事裁判となったとき、弁護人を付けていない場合など、国選弁護人を依頼できます。しかし、国選弁護人を依頼できるのは勾留が決定したのちに限られるため、弁護活動の着手タイミングがどうしても遅くなってしまいます。早期から事件に携わっていれば、弁護活動に必要な証拠をそろえたり、反省文の作成をサポートしたり、職場や学校などに対する働きかけにも早期から取り組むことができるでしょう。
このように、刑事事件は早期に弁護人に依頼することで、将来的にも非常に大きなメリットがあります。
5、まとめ
今回の記事では不法投棄について解説しました。不法投棄の罰則は決して軽くなく、安易な気持ちで行ってしまうと取り返しがつかなくなってしまいます。もしも、家族が不法投棄で逮捕されてしまったら、事件の早期解決と釈放に向けて早急に対策をとる必要があります。
まずは一刻も早く、弁護士に相談することをおすすめします。不法投棄による逮捕でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスへご相談ください。刑事事件の経験豊富な弁護士が、早期釈放や不起訴処分に向けて、全力でサポートします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています