【前編】内縁の妻に相続権はあるのか? 相続でもめないためにやるべきこととは

2019年04月23日
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【前編】内縁の妻に相続権はあるのか? 相続でもめないためにやるべきこととは

平成28年版仙台市統計書によると、平成29年に仙台市で受理した婚姻件数は5904組にのぼります。

しかし、さまざまな事情により婚姻届を提出しないカップルも一定数存在するでしょう。婚姻届を提出しないで同居する夫婦は、内縁と呼ばれ、法律上の夫婦とは異なる扱いを受けることがあります。

特に、相続に関しては、法律上の夫婦と内縁関係では大きな違いが生じます。相続はまだまだ先と考えていても、明日何が起こるかわからないのが人生です。万が一の事態に備えて、必要な対策をとっておくことで、内縁の妻であっても一定の権利が認められる場合があります。

ここでは、内縁の妻が財産を相続する権利や、遺族年金の受け取りについて、仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、内縁の妻とは

内縁関係とは、一緒に生活し生計を共にするなど、社会的には夫婦としての実態があるものの、婚姻届を出していない夫婦関係を指します。一般的に「内縁の妻」とは、内縁関係にある男女の女性側を表す言葉です。

原則、日本では法律婚主義がとられており、民法第739条で定められている婚姻届の受理をもって、法律上の夫婦として認められます。また婚姻を無効にする要件として、民法第742条第1号「人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき」または同条第2号「当事者が婚姻の届出をしないとき」と定められています。

つまり、内縁の妻は、婚姻届を出していないことから、法律上は夫婦と認められません。また、民法上にも「内縁」という言葉は登場しません。しかしながら、近年では、内縁関係における夫婦としての社会的な実態を重視し、法律上の夫婦に準ずる関係として保護を厚くする傾向にあります。

2、内縁の妻は相続できない?! もし内縁の夫が亡くなったら

夫婦どちらかが死亡した場合に発生する相続においては、法律上の婚姻が成立しているかどうかで、大きな違いが発生します。
相続の権利があるのは、「法定相続人」と呼ばれる被相続人の配偶者や子ども、親や兄弟姉妹の他、遺言で指示された「受遺者(じゅいしゃ)」に限られます。

  1. (1)内縁の妻に相続権はない

    前提として、法律上は内縁の配偶者に「相続権」は認められていません。
    つまり、内縁の妻は内縁の夫の法定相続人になることはできません。ただし、条件を満たせば、内縁の妻でも遺産を受け取れる可能性があります。

  2. (2)内縁の妻の居住権は保護される

    財産を相続する権利はありませんが、内縁の夫が亡くなり相続が生じた場合には、内縁の妻の居住権は保護されることがあります。
    賃貸のアパートなどに事実上の夫婦や親子の関係にある者が生活しているケースで、借りた方(賃借人)が死亡したときには同居している方が賃借人の権利を継ぎ、そのまま住むことができます。(借地借家法第36条)

  3. (3)内縁の妻が死亡退職金を受け取れるケースもある

    死亡退職金は、在職中の労働者の死亡より労働契約が終了した場合に支給される退職金です。通常、就業規則などに受給者の範囲や順位などが定められています。
    近年は、受給者として内縁の配偶者を含める規定が置かれていることも多く、内縁の妻が死亡退職金を受け取ることができる可能性もあります。
    内縁の夫が勤務する会社の就業規則を確認してみるとよいでしょう。

    後編では、遺産や遺族年金を受け取る方法について、仙台オフィスの弁護士が解説します。
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ご注意ください

「遺留分減殺請求」は民法改正(2019年7月1日施行)により「遺留分侵害額請求」へ名称変更、および、制度内容も変更となりました。

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