追突事故の示談交渉は弁護士に依頼すべき? 知っておきたい賠償請求と保険
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平成31年8月、宮城県登米市豊里町の三陸沿岸道上り線で、乗用車が前方を走行していた別の乗用車に追突するなど車両3台が絡む事故が発生しました。
このように追突事故の被害にあって怪我をした場合、気になるのが治療費です。
通常は事故の加害者側が支払いますが、ある日突然、相手方の保険会社から、今後の治療費については支払わないなどと言われ、困ることもあるかもしれません。
通常の追突事故では、被害者が加入している保険会社は代理で示談交渉を行ってくれないため、自分で示談交渉に応じなければなりません。しかし、実際にどのように対応すればよいのかわからないという方がほとんどでしょう。
そこで今回は、追突事故の被害者が知っておくべき保険会社対応の基礎知識と、弁護士に相談するべき3つの理由を仙台オフィスの弁護士が解説します。
1、追突事故の被害者が知っておきたい保険会社対応の基礎知識
まずは被害者が知っておきたい保険会社対応の基礎知識を紹介します。追突事故の場合、被害者側の保険会社ではなく、加害者側の保険会社と交渉する必要があるので注意が必要です。
具体的な交渉内容について詳しく説明していきましょう。
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(1)追突事故では被害者側の保険会社は動いてくれない?
追突事故とは、停車中もしくは低速で動いている車両に加害者が一方的に後ろから衝突してしまう事故のことです。被害者が道路の真ん中に停車していた、駐車違反区域に停車していた、急ブレーキをかけて停止したなどの特別な状況でない限り、加害者に一方的な非があります。
すなわち、一般的な追突事故においては、加害者対被害者の過失割合は10対0で、被害者は加害者に対して損害の100%について賠償請求することができますし、加害者の車の損傷等についての賠償責任を負うことはありません。
このように、通常、追突事故において、被害者は加害者に賠償してもらうだけであるため、一見すると何ら問題ないように思えるでしょう。しかし、追突事故のように、被害者に何の非もない事故の場合、治療費などを請求するにあたって、被害者自身が加害者側の保険会社と直接交渉しなければならないという手間が生じます。被害者側の保険会社は、被害者側にも多少の過失があり、被害者側の保険から支払がある場合でないと、示談交渉に対応してくれないのです。 -
(2)加害者側の保険会社との交渉内容
では、加害者側の保険会社とは具体的にどのような交渉を行えばよいのでしょうか。
一般的には、加害者と被害者の過失割合について互いに合意した上で、最終的に示談が成立します。既に述べてきたとおり、被害者が急ブレーキを踏んだ、駐車禁止場所に駐停車していたなど明らかな過失がない限り、追突事故では後続していた加害者に一方的な責任があると考えられます。
しかし、場合によっては、上記の様な特別な事情の存在を指摘し、被害者にもいくらかの過失があると主張してくるケースがあります。その場合には、加害者側の保険会社の主張に対し、被害者は自身で過失がないことを立証しなければなりません。
このとき、普段から数多くの交通事故処理に携わっている保険会社の職員に対して、事故処理の知識をほとんど持ち合わせてない一般の方が太刀打ちできるケースはそう多くないでしょう。ドライブレコーダーの映像を解析したり、防犯カメラの映像を集めたり、目撃者の証言を証拠にしたり、駐車禁止場所であるかどうか等の交通規制の有無について調査したり、車の破損状況などを検証して、過失がないことを立証するのも難しいと思います。
このように、被害者側が毅然と適切に対応できないと、本来あるはずのない過失を認める羽目になりかねません。
2、追突事故における損害賠償請求は弁護士に依頼すべき?
以上の理由から、相手方保険会社が揉めてきたような場合は特に、追突事故の損害補償請求の交渉を被害者が直接行うのは難しいと考えられます。そのため、可能であれば交通事故の示談交渉に慣れた弁護士を介入させることをおすすめします。
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(1)示談交渉を弁護士に依頼すべき3つの理由
追突事故の示談交渉を弁護士に依頼すべき理由として、主に以下の3つが挙げられます。
①慰謝料の増額が期待できる
慰謝料の請求には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。被害者の人身損害を最低限補償する自賠責基準や、保険会社が補償額を決定する任意保険基準は一般的に低額です。それらに対して、弁護士基準は交通事故の裁判などを参考に算出されており、基本的にはもっとも高い額を支払ってもらうことができる基準といえます。
②保険会社との示談交渉を一任できる
追突事故の場合、被害者はむちうち症などの怪我を負うことも多く、その場合は整形外科などに通院することになります。弁護士に交渉を依頼すれば、保険会社と交渉を行う時間やストレスから解放され、治療に専念することができます。示談交渉においても、無茶な要求を突っぱねてくれるほか、治療費や休業損害などに関し、的確なアドバイスを受けられるといったメリットもあります。
③後遺障害等級認定の申請をサポートしてもらえる
治療が終了してもがん固な症状が残ってしまった場合は、その症状について、後遺障害等級認定の申請をすることになります。
後遺障害等級認定の申請方法は2つあります。
ひとつは、加害者の保険会社に依頼する方法です。これを「事前認定」といいます。保険会社に任せておけばいいので楽な反面、提出された書類を確認することができず、適切な認定を受けられない可能性があります。
もうひとつは、被害者自身が申請する方法です。これを「被害者請求」といいます。自分で必要書類を集めてその内容を確認した上で進めることができるので、必要に応じて医師に修正をお願いすることもでき、適切な認定を受けることのできる可能性が高まる反面、書類を自分で用意しなければならないため、非常に手間がかかりますし、書類の不備などが理由で認定に至らないことすらありえます。被害者請求をご希望の場合には、申請の代理を弁護士に依頼することで、スムーズに認定を得やすくなります。
後遺障害等級認定がなされると、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができるようになるため、賠償額が大幅に増額されるというメリットがあります。後遺障害等級認定は、治療が終了する前から動き出すことで認定される可能性が高くなるので、早めの相談をおすすめします。 -
(2)弁護士に依頼する場合の費用は?
追突事故の示談交渉を弁護士に依頼する際の費用について気になる方も多いと思います。
まず、交通事故被害者からの相談の場合、初回の相談を無料で受けてくれる事務所が多いので積極的に活用すると良いでしょう。また、保険の特約に「弁護士費用特約」がついている場合は、特約を利用することが可能です。限度額こそありますが、一般的にいって、「追突事故でむちうちになった」といった程度の比較的軽傷の方の場合であれば、弁護士費用の全額が特約でまかなえることが多いと思います。もっとも、負担額は保険によって異なるので、自分の加入している保険会社に問い合わせてみてください。
3、まとめ
被害者側に全く過失のない追突事故において、被害者側の保険会社は示談交渉に対応してくれません。しかし、体調不良を抱えながら、被害者が加害者側の保険会社と示談交渉を進めるのは大きな負担となるでしょう。加害者側の保険会社に押し切られ、損をしてしまうことも十分考えられます。適切な補償を受けるためにも、できる限り弁護士に相談することをおすすめします。追突事故の被害にあってしまったという方、今後の保険会社への対応や後遺障害等級認定に不安を抱えている方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスにご相談ください。
仙台オフィスでは、宮城県内だけではなく、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県にお住まいの方からのご相談も受け付けております。また、ご来所いただくことが難しい場合は、電話・テレビ会議を利用した、自宅相談も対応可能です。詳しくは、『自宅からの弁護士相談』をご確認ください。
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