借金をなくす方法や減額する方法はある? 多重債務の解決手段を解説

2021年06月03日
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借金をなくす方法や減額する方法はある? 多重債務の解決手段を解説

借金がかさんでいるのに、またお金を借りてギャンブルをしてしまう……そのため、なかなか借金が減らないという悪循環に陥り、悩んでいる方やそのご家族も少なくありません。

仙台市にある、仙台市精神保健福祉総合センターでは、ギャンブルなどの依存症に苦しむ方やご家族のための相談窓口が設置されています。このような相談窓口などを利用し、借金を重ねないための努力をすることも必要ですが、すでに借金の返済ができなくなってしまっているようであれば、まずは借金を返済するべく早急に対応策を講じる必要があるでしょう。

本コラムでは、借金をなくす方法、または減額する方法について、仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、借金をなくす方法はある?

借金がかさんでしまい、収入では返済ができなくなると、さらに借金をして返済にあてる……という悪循環に陥ることがあります。しかし、これでは借金がかさむ一方で、根本的な解決には至りません。むしろ、利息が増えるので事態はますます悪化してしまいます。

借金が自分ではコントロールできないほどに膨らんでしまった場合には、「債務整理」を検討すると良いでしょう。債務整理によって、借金を減らすことや、場合によってはゼロにできる可能性があります。
また、厳密には債務整理ではないのですが、一定の条件に当てはまる場合は、過去に払いすぎた利息を取り戻す「過払い金請求」という方法も検討できるでしょう。

2、債務整理の方法

借金を減額する、または完全にゼロにするための法的な手続きを債務整理と言います。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4つの方法があります。債務整理の方法は、借金の状況や収入状況に応じて、適切に選択する必要があります。

なお、「特定調停」手続きは、手間がかかる割に効果が小さいので、現在ではあまり利用されていません。ここでは、特定調停以外の上記3つの債務整理について見ていきましょう。

  1. (1)任意整理

    任意整理とは、債権者と交渉して合意後に発生する将来の利息をカットしてもらい、残った元本を3年から5年程度で返済する方法です。

    裁判所を通さず、貸金業者等と直接交渉することで調整ができるので、取り組みやすいという点がメリットでしょう。
    また、借金の一部だけを整理することも可能です。たとえば車を手放したくない場合に、自動車ローンについては任意整理を行わないなどの選択もできます。
    ただし、借金そのものを減らせる効果は大きくありません。

    【どんな人に向いている?】
    • 月々の返済を減らしたい
    • 自宅や車を残したい
    • 保証人がついている借金がある
    • 特定の債権者からの借金のみ減額したい
    • 安定した収入があり、返済額を減らせれば計画的に返済ができる
  2. (2)個人再生

    裁判所に申立てをして「再生計画案」を認可してもらうことにより、借金の返済額を大幅(借金の総額によって、100万円から借金の総額の10分の1)に減額してもらう手続きです
    (ただし、資産が大きい場合は、資産の評価額が最低弁済額になります)。

    減額された借金は、原則として3年で返済する必要があります。

    個人再生には「住宅ローン特例」があり、住宅ローンを返済中でも家を守りながら借金を整理することができるメリットもあります。

    【どんな人に向いている?】
    • 借金総額が5000万円以下だが、任意整理では整理しきれない
    • 自宅等の財産を失いたくない
    • 安定した収入がある
    • 再生計画通りに、3年で返済できる見込みがある
  3. (3)自己破産

    自己破産とは、裁判所に申立てをして「免責」を許可決定してもらうことにより、債務を免除してもらえる手続です(ただし、税金等一部の債務は免責されません)。自己破産手続きは、大きく、「同時廃止事件」と「管財事件」に分類されます。

    自己破産をすると、生活に必要な最低限を超える財産が没収されます。全部の財産が没収されるのではなく、一定の財産は残すことができます。また、自己破産をすると、警備員や保険外交員など一部の資格が制限されますが、免責の確定と同時に復権するので、こうした資格制限は解除されます。
    破産手続開始決定後に得られた収入や財産は、借金の返済にあてる必要はなく、自由に使うことができます。

    免責許可が下りるのは、「支払い不能」が認められた場合です。
    「支払い不能」というのは、借金の総額と、現在の資産や今後得られる収入などを総合的に判断して、借金を全額返済することができない状態のことを指します。

    もちろん、自己破産で全ての借金を帳消しにするというのは、債権者に多大な負担をかけるものです。誰でも許可が下りるわけではなく「免責不許可事由」に該当する場合は、免責が認められないケースもあります。

    「免責不許可事由」は、破産法 第252条第1項に定められており、以下の事由などに当てはまる場合は、免責不許可となる可能性があります。

    • 財産を不当に減少させる行為
    • 財産の帳簿や書類を偽造、隠滅、変造する行為
    • 裁判所の調査で説明を拒み、または虚偽の説明をした
    • 不正な手段で、破産管財人などの業務を妨害した
    • 浪費又は賭博等の射幸行為により著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した
    • 負債総額や収入金額等虚偽の事実を述べ、信用取引により財産を取得した
    など


    ただし、これらの事由に該当している場合でも、実際には、裁判官の裁量による「裁量免責」が広く認められています。免責不許可事由に該当している方も、自己破産手続きを諦めるのではなく、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

    【どんな人に向いている?】
    • 借金総額が年収を超えるなど、多額になっている
    • 定期的な収入がなく、返済ができない
    • 客観的に見ても、現在の収入で返済しようとしても、最低限の生活が維持できない
    • 家や車等の財産を手放すことができる

3、過払い金請求で借金は減らせる?

貸金業者が守るべき利息は、「利息制限法」で決められています。しかしながら、過去には多くの貸金業者がいわゆる「グレーゾーン金利」の範囲で、本来守るべき金利よりも高い金利を取っていました。

【グレーゾーン金利】
平成22年に施行された「貸金業法」および「出資法」改正前の、利息制限法に定める上限金利は超えているが、出資法に定める上限金利よりは低い金利帯のこと。


債務者は、利息制限法で定められた上限金利よりも多く払い過ぎた利息を、貸金業者に対して返還要求することができます。これを「過払い金請求」と言います。過払い金請求ができる可能性が高いのは、平成20年以前に借金をしているケースです。

過払い金請求によって、多く払い過ぎた利息を返してもらうのと引き換えに、その分の借金を減額してもらう(相殺する)ことは可能です。もちろん、すでに借金を完済している人も、過払い金請求は可能です。

過払い金請求の期限は最終取引から10年以内と決まっており、最後の取引から10年以内に請求しないと、請求の権利が消滅するので、注意が必要です。

該当期間に借金をしていた方は、お金が戻ってくる可能性も十分にありますので、過払い金がないか調べてみてはいかがでしょうか。

4、借金トラブルはひとりで悩まず弁護士へ相談を

債務整理の方法を問わず、債務整理の解決を弁護士に依頼すると、次の大きなメリットがあります。

  1. (1)借金の督促が止まる

    貸金業法 第21条1項9 号において、貸金業者は、債務者等が貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士等に委託したときは、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかける、訪問する等により当該債務を弁済することを要求することが禁じられています。

    弁護士等からの受任通知到達後の直接の取立行為は貸金業法に違反する行為として刑事罰や行政処分の対象となります。

    そのため、弁護士が送付した受任通知が債権者に届いた時点で、債務者は借金の督促から一時的に解放されます。取り立ての電話やメールにおびえる生活をしている場合は、弁護士へ依頼することで、精神的な安定を取り戻すことができるでしょう。

  2. (2)交渉や手続きを代行してもらえる

    貸金業者や債権者との交渉は、当然のことながら個人が行うには難しいものです。

    弁護士に依頼すれば、代理人として交渉してもらえるので、対応を一任することができます。
    借金の原因が、浪費やギャンブルであっても、まずはひとりで抱え込まずに、弁護士に相談することをおすすめします。むしろ、そのような難しい事情があるときこそ、弁護士のサポートを得て、対応策がないか検討する必要があるでしょう。

    なお、司法書士や司法書士法人に債務処理を依頼することもできますが、対応できるのは債務総額が140万円以内に限られているので、注意が必要です。

5、まとめ

借金をなくすための方法としては、債務整理が有効と言えます。借金を借金で返すような悪循環に陥っている場合、放置すれば事態は悪化する一方です。まずは、状況を整理し、適切な方法で借金を返済することが大切です。
債務整理は、借金を返済、またはリセットし、債務者が立ち直るためにある制度です。適切に制度を利用し、新しい生活をスタートさせましょう。

ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスには、借金トラブルや債務整理の対応実績が豊富な弁護士が在籍しています。債務整理に関するご相談は無料で受け付けていますので、借金でお悩みの方はひとりで悩まず、まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています