借用書が無効に!? 正しい書き方と無効にならないためのポイント

2020年12月15日
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借用書が無効に!? 正しい書き方と無効にならないためのポイント

借金は多くの人の人生を狂わせ、トラブルの元凶になることが少なくありません。特に個人間のお金の貸し借りは、借用書などを作成しておかなければ、さまざまな問題が起きる可能性があります。

では、借用書の作成に関してルールはあるのでしょうか。また、借用書が無効になってしまうようなケースはあるのでしょうか。

本コラムでは、借用書に盛り込むべき内容や、借用書を無効にしないための対処法を、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士が解説します。

1、お金を貸す際に借用書を作成しておくべき理由

他人や親族にお金を貸す際は、いくら親しい間柄だとしても、借用書を作成しておくことをおすすめします。まずはその理由を解説します。

  1. (1)言い逃れさせない

    お金を貸す際に借用書を作成しておかなければ、借りるときは平身低頭だった相手が、返済の際には強気になり、「お金を借りた記憶はない」、「借りた証拠がない」などと言い出す可能性があります。その点、相手の署名捺印がある借用書を作成するなどしておけば、言い逃れが難しくなります。

  2. (2)認識のズレを生じさせない

    借用書には、借りた金額や返済の期日、利息の有無、返済口座などを明記します。必要な項目をきちんと盛り込んでおけば、双方の認識の違いによるトラブルを未然に防止することができます。
    口約束でも契約は成立しますが、内容は残りません。認識のズレが生じた場合は、水掛け論になるおそれがあるでしょう。

  3. (3)返済が滞った場合の措置も明確にできる

    お金を貸す際に一番重要になるのは、返済が滞った場合の対応を明らかにしておくことです。しかし、口約束でお金を貸した場合、返済が滞った場合の規定が曖昧になりがちです。
    返済が滞った場合は一括返済をすることや、保証人をつけることなどを規定しておくことで、貸し倒れのリスクを軽減できます。

2、金銭の貸し借りをするときに作成すべき書類

次に、お金を貸すときに作成すべき書類を説明します。それぞれの特徴と盛り込むべき内容も解説しますので、作成する際は参考にしてください。

  1. (1)借用書

    借用書は、個人間のお金や物の貸し借りの際に作成する書類です。一般的には、2通作成して、互いにし合います。
    借用書に決まった書式はありませんが、下記記の項目を盛り込んでおくとトラブルを防止できるので安心です。

    • 貸主と借り主の名前と住所
    • 署名捺印
    • 貸し付け日付
    • 貸した金額や返済期日
    • 返済方法
    • 金利の有無や返済が滞った場合の措置


    特に注意したいのが署名捺印です。署名捺印がなければ、偽造であるなどと主張される可能性がありますので忘れずに対応しましょう。
    なお、契約金額が1万円以上であれば、収入印紙を貼る必要がある点も注意が必要です。

  2. (2)金銭消費貸借契約書

    金銭消費賃借契約は、個人間の貸し借りのほか、主に金融機関や貸金業者から融資を受ける場合などに使われます。
    一般的には金銭が対象になり、2通作成した上で、双方が署名捺印の上、1通ずつ保管されます。双方が同じ書類を保管しておくことで、偽造を防ぐことができます。
    金額に応じて収入印紙を貼付する義務が生じます。

    金銭消費貸借契約書には、次のような項目を記載するのが一般的です。

    • 貸主と借り主の氏名・住所・押印
    • 貸付日
    • 貸付金額
    • 貸し付けの方法
    • 返済の時期や方法
    • 保証人や連帯保証人
    • 利息の有無や利率
      利息は法定利息を超えないように注意しましょう。
      ・10万円未満の場合は年20%
      ・10万円以上100万円未満は年利18%
      ・100万円以上の場合は年利15%
    • 遅延損害金
      遅延損害金は利息よりも高率となります。
      ・元本が10%以上100万円未満の場合は26.2%
      ・元本が100万円以上の場合は21.9%
    • 期限の利益喪失
      一定の条件を満たすと、債権者は一括返済を要求できる旨を記載しておくのが一般的です。
  3. (3)金銭消費貸借契約書兼抵当権設定契約書

    金銭消費貸借契約書兼抵当権設定契約書とは、「金銭消費貸借契約書」に「抵当権設定契約書」を付け加えたものです。簡単に言えば、担保を設定して抵当権をつける場合に取り交わす書類です。
    貸す金額や相手の信頼性によっては不動産の抵当権を設定することで、貸し倒れのリスクを大幅に軽減できます。

  4. (4)準消費貸借契約書

    準消費貸借契約書は、お金の貸し借りではなく、売買などによってお金を支払う必要がある場合に作成します。
    たとえば、商品やサービスを購入した場合は、その対価を支払わなければいけません。しかし、対価を分割払いにする、後払いにするなどのケースでは、対価と同等の金額を借りたことにして、返済をしていくという契約です。

  5. (5)債務承認弁済契約書

    債務承認弁済契約書は、すでに実行された貸し付けについて、その存在を承認し、返済を約束する契約書です。
    返済が滞っている場合などに作成します。

3、作成した書類は公正証書に

金銭の貸し借りに関する書類を作成した場合は「公正証書」にしておくと、返済が滞った場合のリスクを軽減できます。公正証書とは、公証役場で公証人によって作成される書類です。原本は公証役場に保管され、貸主と借り主が謄本を保存します。

お金を貸した際に公正証書を作成するメリットは、「債務名義」を取得できることです。

お金の返済が滞った場合、裁判所に申し立てることで、給与や財産を差し押さえる強制執行が可能です。ただし、強制執行は債務名義がなければ行うことはできません。訴訟の判決文や調停調書、公正証書で作成された金銭消費貸借契約書などが債務名義に該当します。

強制執行の申し立てを行うためには、公正証書の正本(原本と同等の効力をもつ写し)が必要です。また、「返済が滞ったら強制執行を申し立てることを認める」という旨の執行文がなければ、強制執行の申し立てが難しい点は注意が必要です。

4、無効になる可能性がある借用書とは

以下のような借用書や金銭消費貸借契約書は無効になる可能性があるので、注意が必要です。

  • パソコンで作成したもので署名捺印がない
  • 貸主や借り主が未成年や成年被後見人などの場合
  • 金銭を受領(じゅりょう)した旨の記載がない


これ以外にもあまりも非常識な内容や違法な条項がある場合は、無効になる可能性がありますので、慎重に作成しましょう。また、前述した記載しておくべき項目に漏れや記載ミスがあった場合も、無効になる可能性があるため注意が必要です。
有効な借用書を作成したい場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

5、借用書作成や債権回収を弁護士に依頼するメリット

借用書や金銭消費貸借契約書などは、個人で作成することも可能です。ただし、内容に不備があれば無効になる可能性があるほか、返済がなされなかった場合に備えてさまざまな条項を定めておく必要があります。

また、前述したように、返済が滞った際にいち早く財産を差し押さえるためには、公正証書の作成が必要です。個人で公証役場に赴き作成することもできますが、公証役場ではゼロから金銭消費貸借契約書を作成してくれるわけではありません。
そのため、弁護士へ依頼し正確な書類を作成することをおすすめします。

なお、万が一支払いが滞った場合、弁護士に債権回収を依頼することができます。
借り主がほかにも借金をしている場合は、ほかの債権者が、財産を差し押さえるなどの措置を講じる可能性や、お金を借りた人が自己破産や個人再生などの債務整理に着手するおそれもあります。
知人や親族だった場合など、相手との関係性によっては、返済を請求しにくいと感じることもあるかもしれません。しかし、どちらの場合も貸したお金が戻ってこなくなる可能性があるので、早めの対応対が必要です。

債権回収についても、弁護士に依頼することで状況に応じた適切な手だてを講じることができるので、スピーディーな解決が期待できます。

6、まとめ

お金の貸し借りを行う場合は、必ず借用書や金銭消費貸借契約書を作成しておきましょう。いくら親しい間柄であってもお金を貸すことで関係性は変化しますし、トラブルが発生しやすくなります。また、書類を作成する場合は弁護士に依頼の上、公正証書にしておくとさらに安心です。

お金を貸したいけど貸し倒れを防止したい方は、ベリーベスト法律事務所 仙台オフィスの弁護士にご相談ください。
もし、支払いが滞ってしまった場合は、相手との関係性も考慮した適切な回収プランをご提案するなど、書類作成から債権回収まで、トータルでご依頼いただけます。
また、多くの方が不安に思われる弁護士費用については、事前に丁寧にご説明し、ご納得いただいた場合のみご契約となりますので、ご安心ください。
まずは相談だけでも構いません。ご連絡、お待ちしています。

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